欧州コンサートホール巡礼の旅


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PA装置を活用しない、生でアコースティックな楽器や声による演奏が主体のクラシックや
オペラなどのコンサートに行きますと、同じオーケストラや歌手の演奏でも、演奏する会場
の特性によって、随分と印象が違ったものになります。これは物理特性からすると当然の
事であり、いたしかたのないことですが、逆に言うと、音響特性のよいホールでよい演奏を
聴くのは、生涯の思い出に残る、本当に素晴らしい体験となります。

日本でも、10数年まえに東京のサントリーホールや大阪のザ・シンフォニーホールなどの、
音響的にも文化的建造物としても大変に素晴らしい価値のある演奏会場が出来てからは、
各地に雨後の筍のように「なんとかホール」が乱立して、それらが現在どういった運営をされ
ているかは、皆さんもご承知の事かと思います。
なかには、びわ湖ホールのように、周囲の環境にもぴったりとマッチした美しい建築デザイン
と素晴らしい音響効果、そしてなによりも食指をそそられる魅力的なプログラムを重視した、
積極的な運営による幸運な事例もいくつかあると思います(運営者のご苦労は、察するに
余りあります)。

いっぽう、クラシック音楽の本場であるヨーロッパには、ワーグナーやブルックナー、マーラー
やリヒャルト・シュトラウスたちが実際に活躍していた頃に建てられたコンサートホールの数々
が、いまも現役で格式高い演奏会場として多くの人々に愛され、親しまれ続けています。
彼等市民の、伝統的遺産を大切にする姿勢には、感心させられるものがあります。中には
プラハのティル(スタヴォフスケー)劇場のように、モーツァルトゆかりと言いますから、18世紀
後半からいまも現役で使用されている劇場もあります(この劇場は、映画「アマデウス」の
撮影でも使用されました)。映画と言えば面白いのは、いまもオペレッタでウィーンっ子に
親しまれているフォルクスオーパーは、なんと、映画007の舞台として使用された事も
あります!題名は忘れましたが、シーンの設定では東ドイツのとある人民劇場で、そこの
2階の窓から美人の暗殺者がKGBの要員の暗殺を企て、ジェイムズ・ボンドに阻止される、
というものだったかと記憶しています。

話は逸れ、前置きも長くなりました。ここ数年で、航空運賃も随分とリーズナブルになり、
ヨーロッパ方面へも、お仕着せの団体パック旅行を敬遠して、個人でフリープランを組んで
楽しむ旅行者が多くなった事は、ご同慶の至りです。筆者もご多分に漏れず、妻とふたりで
欧州あちこちのコンサートホールやオペラハウスを巡礼して参りました。とは言え、一回の
旅行で日程が組めるのは、せいぜい一週間から10日が限度。特にここ数年は、仕事の
都合で調整ままならず、97年を最後に欧州を訪問していません。 ここでは、94年1月と
95年の2月、そして97年2月の3回の欧州旅行から、演奏会とコンサートホールにまつわる
話題に的を絞って、記憶の糸をたぐり寄せて行きたいと思います。

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