Swan 琵琶湖水鳥・湿地センターラムサール条約ラムサール条約を活用しよう | ●資料集第10回締約国会議

ラムサール条約 第10回締約国会議
決議案1:20092014年戦略計画(案)

日本語訳:
琵琶湖ラムサール研究会,2008年48月.

この決議案は,締約国会議で討議されて改変され決議Ⅹ.1に採択されましたので,このページの案文ではなく,採択された決議の本文と同付属書の戦略計画文書を用いて下さい 決議Ⅹ.1].

条約事務局原文:
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「健全な湿地、健康な人々」
"Healthy Wetlands, Healthy People"
湿地条約(ラムサール,イラン,1971)
第10回締約国会議
大韓民国 昌原창원),2008年10月28日11月4日

Ramsar COP10 DR 1

決議案.1
ラムサール条約 20092014年 戦略計画

提案者:常設委員会

説明書き。この案文では対象期間が2014年までになっているが、締約国会議の開催を現在の3年に一度から4年に一度にその間隔を延ばすことを(決議案3において)締約国会議が決定した場合には、この案文も修正する必要が生じる。4年ごとのサイクルになった場合に、条約の戦略計画をその2期間(今回の場合であると20092016年)を対象とにするのか、1期間のみにするのか、締約国会議が決定する必要があるだろう。また条約事務局および常設委員会に対して戦略計画の進捗状況の中間評価を行い必要に応じて後半の調整を提案するように要請するといった追加段落を含めることも検討する必要があるだろう。

1.条約の将来実施の基礎として、決議.14によって「19972002年戦略計画」が、また決議.25によって「20032008年戦略計画」が採択されたことを想起し

2.締約国ほかによるこれら戦略計画の実施が、一段と首尾一貫しかついっそうの効力をもった条約の成果を助長してきたことを認識し、しかしこの変化著しい世界において湿地の保全と賢明な利用の確実な達成に至るにはまだ多くの課題が残りさらに増えていることをまた認識し

3.湿地の保全と賢明な利用を達成するには、湿地保全と持続可能な開発に向けていっそう広範で多部門的に取組むことが、特に、貧困の根絶や水と食料の保障、水管理の統合的取組み、気候変動と予報されるその影響、取引の地球規模化と障壁削減、民間部門の役割の増加、開発銀行や国際開発機関の影響の拡大などに関して、必要であることを意識し

4.条約のもとで湿地の賢明な利用を達成するには、特に、目録・評価・モニタリング、制度的枠組みと立法や政策、地方・国・国際的な計画策定や意思決定への湿地の賢明な利用の統合、湿地とその生態系サービスが持つ人類の福利を支え貧困を軽減する役割、気候変動の緩和と適応、湿地の再生や回復、外来侵入種、農業の影響力と影響、地域社会や先住民による管理、文化上の問題、民間部門の関与、奨励措置、対話・教育・参加・啓発と研修・能力育成、戦略的な条約湿地指定、多国間環境協定間の協力強化、湿地保全活動資金の誘引、条約のパートナー団体・科学上のネットワーク・その他の利害関係者グループとの共同作業、全世界の加盟などを含み、緊急に手当てすべき課題がまだ多くあることを重ねて認識し

5.戦略計画の実施程度や、実施のための財源の大きさ、用いる時間枠などは、各締約国の選択に任されていることを認識し

6.20092014年戦略計画は、締約国をはじめ、条約の国際団体パートナーや、政府間機関とNGOを含むその他のパートナーとの幅広い協議プロセスを通じて、条約事務局の補佐のもとに常設委員会が準備したことを特筆し

締約国会議は、

7.条約の将来実施の基礎として、この決議に付属する20092014年戦略計画を承認し、また、条約事務局に対して、第10回締約国会議が採択する決議を組み込んでこの戦略計画の本文を確定するよう、さらに確定したこの戦略計画の本文を締約国及びその実施に関わるその他全ての者が入手可能とするよう指示する

8.全ての締約国、常設委員会、科学技術検討委員会、条約事務局、国際団体パートナー、ならびに条約の地域イニシアティブに対して、20092014年戦略計画をその戦略項目と主要成果領域を通じて実施する更新された課題を担うよう強く要請する

9.他の多国間環境協定、NGO、学術団体や研究機関、専門的科学技術機関、援助組織、ならびに民間部門に対して、20092014年戦略計画の実施に貢献するよう促す


付属書
ラムサール条約 20092014年 戦略計画

前文

戦略計画の目的

1.この20092014年の戦略計画は、特に締約国に対して、しかしまた条約の常設委員会や条約事務局、科学技術検討委員会(STRP)、条約の地域イニシアティブ、国際団体パートナー(IOP)、ならびに条約に協力するその他の多くの人々に対して、これからの6年間にラムサール条約の実施に向けた自らの努力の焦点をいかに定めるか、その手引きを提供しようとするものである。

ラムサール条約の戦略計画の歴史

第1期戦略計画(19972002年)

2.ラムサール条約にとって初めての戦略計画が、19972002年の期間に対して、広範な利害関係者によって議論されたのは1995年のことであった。そうして、1996年のブリズベンでの第6回締約国会議において採択された。それは、この種の計画としては地球規模の環境条約の中ではじめて策定されたものであり、新天地を拓くものであった。当時の他の環境条約等の主要なものがこれを見習うべきモデルとした。

3.明確な「使命声明 Mission Statement」(現在の文言とは異なっていた)を据えて、その使命を果たすことに寄与する8つの「総合目標 General Objective」が表され、それらを満たすために27項目の「実施目標 Operational Objective」に分けられ、のべ 125項目の「行動 Action」が箇条書きされた。また、条約関係組織のなかで各行動を実施する責任のあるものが特定されていた。それら組織は、即ち、締約国、常設委員会、科学技術検討委員会、条約事務局、および国際団体パートナーであった。

4.この19972002年の戦略計画は、締約国が自国における戦略計画の実施の程度や、実施の財源規模、行動の実施速度を自由に選ぶことができると明記して認めていた [編注:同戦略計画段落10]。とはいえ、この戦略計画を採択したということが、条約の使命を広範な事柄や活動に亘って果たすことを全締約国の側が強力に約束するということを表すものであると合意されていた。戦略的に見れば、極めて広範囲に網がかけられてはいるが、計画の階層的な組み立てによって多数の関係領域のうちで優先すべきものを選ぶことができるようになっていた。

第2期戦略計画(20032008年)

5.20032008年の期間のための第2期の戦略計画は、第8回締約国会議(2002年、スペインのバレンシア)の決議に採択された。これには、条約の作業や熱望が、5つの総合目標と、そのもとに達成することが意図されて21項目に仕分けされた実施目標に編成されていた。実施目標のもとに着手されるべき行動が 177項目、前期と同様に担うべき条約の機関とともに記されていた。この行動のリストは、顕著に徹底したものであった。

6.採択したあとで、しかし、多くの締約国が、この計画が徹底しすぎていると、また望ましい行動の徹底的なリストよりも精密に優先順位付けされたものや最も圧力の高い問題への焦点が絞られたもののほうが条約に役立つといった意見を表明した。

第3期戦略計画(20092014年)

7.第2期を踏まえ、また第9回締約会議(2005年、ウガンダのカンパラ)での締約国からの助言や、以後の常設委員会の会合とその戦略計画小委員会の助言を得て、この20092014年の戦略計画が準備された。第3期の戦略計画は、「最終目標 Goal」が第2期の総合目標と本質的に変わりなく5項目定められ、しかしそのもとでは「戦略 Strategies」として全体的にコンセンサスが得られているたいていの締約国にとって最も重要な優先事項26項目に絞り込まれている。

戦略計画の用い方

8.過去のものと同じく、20092014年の戦略計画は、条約事務局と国際団体パートナーによって着手されるべき行動を求めているが、記される戦略のたいていのものは締約国自身に主に向けられるものである。締約国が、活動を実施する経済的・人材的能力や、さまざまにタイプの異なる湿地の保全状況やその傾向、人々の意識や選挙民の政治的意思、自国のラムサール条約担当窓口や条約担当政府機関の国・地方行政府への影響力、存在する法的・制度的枠組みなど、国によってさまざなに条件が異なっていることは理解されているところであり、従って各国はこの戦略計画を精査して自国の対応策を各国が決定するものであると理解される。

9.このような計画文書で、地球規模で「フリーサイズ」のものはありえないと言える。各締約国は、戦略計画に合意された優先課題の中で、自国における優先順位を確立し、それらを実施するための作業計画を策定し、資源の使い方を自ら考慮することができる。またその成果を、不十分な点もあるかもしれないが、のちに条約へ報告する際には、そのように自国が決めたことや自国における状況から判断して条約実施の結果を説明することができるだろう。

10.各締約国が20092014年の戦略計画を自国のニーズや能力に応じて仕立てるにあたっては、この戦略計画が締約国会議によって合意されたコンパクトに焦点を絞った優先行動のリストの形で締約国を支援しようとするものであるが、ここに示されたもの以外でも締約国会議がこれまでに採択した決議や指針に関して締約国がすでに取組みを進めている分野もあるということも思い出すことであろう。締約国がそれら追加的な公約に向けて適切に実行可能な範囲で取組みを進めることも自由である。

各国での条約実施

11.近年ますます明らかになってきていることは、条約の実施を高めて条約の使命を果たすにあたっての最大の障害が、湿地やラムサール条約のことをよく知っていて湿地の賢明な利用に献身的なまさにその人たちが国としての約束を確実に執り行うポジションに必ずしもいないということである。

12.これまで以上に、条約担当政府機関は、他の部門の職員が湿地の保全と賢明な利用という国としての約束とその理論的根拠を確実に認識するように取り組む努力を倍増させることが必要である。NGOや、特に国際団体パートナーも、国レベルから地方、個々の湿地のレベルまで行政職員に、ラムサール条約の言葉を広める手伝いの担い手になりうるであろう。

13.同様に締約国は、条約の使命に向けた作業に政府の他の部門もいっそう緊密に関与するように、条約実施の範囲を拡大し、さらにしばしばその水準を引き上げることがますます重要になってきている。国によっては、条約担当政府機関が、大きな省庁の、それも環境政策の策定に直接には関与しないようなところの、一部署に過ぎないこともあろう。そのような国においては、湿地政策を策定する審議により上級の決定権を持つ職員を巻き込むように段階を進めてゆくべきであろう。

14.このために活動的で広範な国内ラムサール委員会や国内湿地委員会を設置することの重要性を強調して過ぎることは無い。このような委員会が、委員会の決定を実施するに足る十分に上級の職員が関連する全ての部門から席を並べ、理想的には学会やNGOの代表を適切に含めて、活動的であれば、条約実施の約束も自らの問題とする認識も有意に広がり、その成功を導く要因がどんどん増すはずである。

15.湿地についての知識を広く共有することや、条約が開発してきたツールをできるだけ上手に用いるように全ての関係者を励ますことも欠かせない。

20022008年の条約実施の成果

[第10回締約国会議への国別報告の分析をもとに達成度と進展についてのまとめと、科学技術検討委員会の成果がこの章に書き入れられる。] 16.20022008年の戦略計画のもとでの条約の達成度と進展状況についての分析のまとめは、別紙情報文書として、英語・フランス語・スペイン語で、第10回締約国会議への国別報告の編集と検討ののちに、同締約国会議に供される。

条約の将来にとっての重要課題

17.将来の湿地生態系の(内陸も沿岸域も)保全や持続可能な利用とその人々への生態系サービスを確保しようとするにあたってひきつづき直面する広範な問題や課題は何か?

18.1960年代にラムサール条約を設立する背景となった力は、ひきつづく湿地の破壊とその破壊が水鳥個体群に及ぼす影響に対する懸念であった。それからほぼ35年が過ぎたにもかかわらず、2005年に「ミレニアム生態系評価 Millennium Ecosystem Assessment (MA)」が『(内陸でも沿岸域でも)湿地の劣化と喪失は他の生態系よりも高い速度で続いている』と結論している。

19.その根底にある問題は、やはりひきつづき、経済的開発とそれによる土地利用の改変が生態系の維持よりも優先されていることである。両者が密接につながっており、生態系とそのサービス/恩恵を破壊することは本質的に『人々を養ってくれる御手にかみつく』ことが事実であるにもかかわらずにである。

20.湿地とその生態系サービスの変化や、悪化、喪失を招いている主要な問題にはつぎのものが挙げられる。

  • 地球規模の水循環に果たす湿地の重要な役割に関して不十分にしか湿地のための水が得られないこと、
  • 取水の需要の増加、特にかんがい農業への需要の増加、
  • 気候変動と、増加する極端で予測できない気候の影響、および気候変動を緩和し適応する湿地の重要な役割、
  • 湿地とその生態系サービスの価値の十分な理解(湿地の価値評価)がしっかりした意思決定やトレードオフを下支えするにもかかわらず、そのような理解が欠如していること。

21.従って、気候変動を緩和し適応する湿地の重要な役割も認識し、国の環境統治が、湿地の賢明な利用と湿地の生態学的特徴の維持に影響を及ぼす政策や意思決定を、縦割りで需要に左右されたものから、生態系に根ざしたアプローチに移してゆくことが緊急課題である。

22.今後このような変化要因に対処して条約を実施してゆくためには、締約国と国内での条約実施のリーダーシップをとる責任のある条約担当政府機関が、政府内の他の部門や他の多国間環境協定担当窓口と市民社会と連携して密接なパートナーシップのもとに、難しい選択をしなければならないときにその課題に対して果たす湿地の役割と重要性が完全に認められることを確実にするように取り組むことが必要である。

23.ラムサール条約は、生物多様性条約と共同作業計画を結んでますます密接に協働してきており、湿地の分野では生物多様性条約を先導する実施パートナーを務めている。しかし生物多様性条約とのこれまでの共同作業は、その他の生物多様性・環境関連の条約・協定(例えば、ボン条約や砂漠化対処条約)とも同じく、その多くの部分が地球規模での仕組み(即ち、条約の事務局や科学的助言機関等)を通じたものであり、各国で地に着いた共同実施を果たすためには自国の各条約の担当窓口どうしの緊密な対話と共同作業が緊急に必要である。

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20092014年の戦略計画

24.20092014年の戦略計画は以下に貢献する。

  • 地球規模、各国、各地方のレベルでの、条約の目的や原則の共通理解、
  • 次の3年のあいだに取り組むべき主要な要素に焦点を絞ることによって改善された、締約国会議の決議の実施、
  • 湿地の保全と賢明な利用、その生物多様性や人類の福利への恩恵の、全てのレベルにおける進展、
  • 条約の目標を達成しようとする各国や各地方の努力の国際的調整、
  • 他部門・他機関における条約とその目標の認識の向上。

[参照]

外務省「ミレニアム開発目標」.
CBD決定 Ⅵ/26[和訳:環境省生物多様性センター所載 20 PDF].
CBD決定 VII/28Goal 1.1[英語].
外務省「CSD13の概要と評価2005/05

25.外部的には、この戦略計画はまた、特にミレニアム開発目標の達成、2009年にトルコで開催される第5回世界水フォーラムのプログラム、「2010年生物多様性目標」の達成、「海洋保護区の2012年目標」の達成、気候変動の重要問題に対する応答、持続可能な開発委員会第13回会期(CSD13)の水と衛生に関する政策決定の実施にも貢献する。

[訳注]
2010年生物多様性目標
『2010年までに、生物多様性の損失速度を顕著に減退させること』(生物多様性条約決定/26(2002年)付属書「生物多様性条約戦略計画」の使命)。
海洋保護区の2012年目標
『2012年までに、包括的で、(生態学上)代表的で、効果的に管理される、国や地域レベルの海洋保護区システムが、地球規模のネットワークに構築されていること』(生物多様性条約決定/28(2004年)付属書「保護区に関する作業プログラム」最終目標1.1の2012年までの目標)。

条約の使命

「全世界における持続可能な開発の達成に寄与するため、地方、地域及び国内行動地方や国内での行動と国際協力を通じて、全ての湿地を保全し、賢明に利用すること。」

何を達成したいのか?最終目標

条約の実施

最終目標1.湿地の賢明な利用。全ての締約国が確実に、必要かつ適切な手段と措置を策定し、採用し、用いることによって全ての湿地の賢明な利用が達成されるように取り組むこと。
 条約第3条1、第4条3、第4条4、および第4条5の実行。

追求する成果:
 全ての湿地の賢明な利用が全ての締約国において達成賢明な利用原則が全ての締約国において実施されていること。これには、より参加型の湿地管理や、湿地が提供する生態系サービスの重要性を啓発することを伴なう保全の決定も含まれる。

最終目標2.条約湿地。全ての締約国が確実に条約の「国際的に重要な湿地のリストを将来的に拡充するための戦略的枠組み及びガイドライン」を適切に実施することによって、水鳥のフライウェイ魚類個体群漁業を含む地球規模の生物多様性の保全のために重要であり、また人々の暮らしを支えるために重要である湿地の国際的なネットワークを発展させ維持すること。
 条約第2条1、第2条2、第2条5、第2条6、第3条1、第3条2、第4条1、および第4条2の実行。

追求する成果:
 締約国が、国際的に重要な湿地の国際的なネットワークを支えることを目ざして領域内の条約湿地を指定し管理しており、条約第3条および第8条2の通報義務を果たしており、かつ条約管理上のプロセスの一部としてモントルーレコードを適切に用いていること。

最終目標3.国際協力特に「ラムサール条約の下での国際協力のためのガイドライン」の積極的な適用を通じた効力のある国際協力を用いて湿地の保全と賢明な利用を高めること「ラムサール条約の下での国際協力のためのガイドライン」を積極的に適用して、湿地の保全と賢明な利用における国際協力を成し遂げること
 条約第5条の実行。

追求する成果:
 締約国が条約実施の取組みを国として、関連条約や国際機関ならびに他の締約国との効果的なパートナーシップの発展による利益を得るように、首尾一貫して進めていること。

条約の管理

最終目標4.制度的能力・効力。条約が、必要な実施機構や資金、能力を確保することによって、その使命を果たすよう前進すること。
 条約第6条、第7条、および第8条の実行。

追求する成果:
 湿地の保全と賢明な利用を成し遂げる条約の成功が増大し、それが承認された効力指標によって評価され、そのような条約の成果が政府や市民社会の他の部門においてもますます認識されること。

最終目標5.加盟国。条約への加盟を世界の全ての国に広めること。
 条約第2条4、および第9条の実行。

追求する成果:
 条約への加盟に適格な国の全てが[2014]年までに加盟していること。


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いかにして最終目標を達成するか?−戦略と主要成果領域

最終目標1.湿地の賢明な利用
全ての締約国が確実に、必要かつ適切な手段と措置を策定し、採用し、用いることによって全ての湿地の賢明な利用が達成されるように取り組むこと。

[参照]

決議Ⅷ.6:湿地目録の枠組み.
戦略1.1.湿地の目録と評価
ラムサール条約の定義による全てのタイプの湿地とその湿地資源の範囲や状態を、適切な規模で、記述し、評価し、モニタリングする。これは、条約の実施、特に全ての湿地の賢明な利用に関する条約の規定その賢明な利用原則の適用を実証する情報とするためである。[締約国、STRPが助言しIOPが補助する]
 [2014]年までの成果領域
1.1.
条約の「湿地目録の枠組み」に則った全国規模の湿地目録が、全ての国で完成されていること。その目録が、各湿地の重要性、条約湿地の基準を満たす湿地、再生に取り組むべき湿地、これまであまり指定されていない湿地タイプ、湿地が提供する生態系サービスなどの情報が盛り込まれて、可能な限り包括的なものとなっていること。[国レベル:締約国]
1.1.
全国規模の湿地目録の全ての情報を集め、それらや関連する国際的なデータベースにリンクして、容易にアクセスできるウェブサイト基盤のメタデータベースを条約事務局が運営していること。[地球規模:条約事務局]
戦略1.2.地球規模の湿地情報システム
地球規模の湿地情報システムを、パートナーシップを通じて、開発し、研究や評価、新たな条約湿地の選定と指定のために容易に利用にできる湿地のデータや情報を増進する。[締約国、条約事務局、STRPが助言しIOPが補助する]
 [2014]年までの成果領域
1.2.
ウェブサイトで、湿地の分布と状況についての地球規模のデータと情報が利用可能になっていること。[地球規模:STRP
1.2.
地球規模の湿地観測システムが、湿地の状態の変化を報告していること。[地球規模:STRP

[参照]

決議Ⅶ.6:国家湿地政策の策定・実施指針.
決議Ⅶ.7:法制度の見直し指針.
決議Ⅷ.9:環境影響評価指針.

COP10での更新が準備される新指針(案): COP10 DR 17[英語原文:Word (495 KB)PDF (287 KB)].
戦略1.3.政策、立法、制度
全ての締約国において、条約の賢明な利用規定条約の賢明な利用原則が効力を持って確実に適用されるように政策や立法、施策を、適切な制度の増強も含めて、策定し実施する。[締約国、条約事務局]
 [2014]年までの成果領域
1.3.
全ての締約国によって、国家湿地政策や同等の手段が、貧困削減戦略、水資源管理・水利効率化計画、持続可能な開発のための国家戦略など、他の戦略的計画策定過程とともに統合されて、策定されていること。[国レベル:締約国]
1.3.
締約国が、湿地に影響を及ぼすプログラムや計画に対する戦略的環境影響評価を実施していること。[国レベル:締約国]
戦略1.4.湿地の恩恵/サービスの部門横断的認識
湿地の賢明な利用を達成するための方法論を開発し普及させることによって、生物多様性の保全や、水の供給、沿岸域の保護、統合的沿岸域管理、洪水の防御、気候変動の緩和と適応、食料の保障、貧困の削減、ツーリズム、文化遺産、科学研究などに果たす湿地の重要性について、認識を高め、意思決定の際にいっそうの注意を払う。[締約国、条約事務局、STRPIOP
 [2014]年までの成果領域
1.4.
地方規模や全国規模で、貧困削減の目標や、食物や水の保障計画に対しての貢献を果たしうる湿地でのプログラムやプロジェクトが策定され実施されていること。[国レベル:締約国]
1.4.
湿地の(特に条約湿地の)生態系サービスとその価値が、全ての締約国について分析されていること。[国レベル:締約国]
1.4.
湿地の社会経済学的価値や社会的・文化的遺産としての価値が、湿地の賢明な利用と管理に十分に考慮されていること。[国レベル:締約国;地方レベル:湿地管理者]
戦略1.5.条約の役割の認識
条約に関する認識を湿地生態系管理の唯一の仕組みとしての可能性に焦点を当てて全てのレベルで高め、他の地球規模の条約や取組みの最終目標をも満たす可能性のある実施の仕組みとして条約を役立てる。[締約国、条約事務局、STRPIOP
 [2014]年までの成果領域
1.5.
地球規模の環境にかかる組織や条約が、ラムサール条約が発展させてきた湿地生態系管理や賢明な利用と保全の仕組みを認めて適用していること。[地球規模:条約事務局;国レベル:締約国]
戦略1.6.科学に根ざした湿地管理
賢明な利用概念の成功した実施を、国の政策や湿地管理計画が確実に利用可能な最善の科学的知識に基づくことによって増進する。[締約国、条約事務局、STRPIOP
 [2014]年までの成果領域
1.6.
質の高い研究が、湿地の持続可能性にとってその鍵となる重要な領域、例えば農業と湿地の相互作用、気候変動、生態系サービスの評価などに関して、完了し、適切な様式で広範に普及され、適用されていること。[地球規模:条約事務局;国レベル:締約国、IOP
1.6.
全ての湿地管理計画が、潜在的脅威に関する研究を含め、しっかりした科学的研究に基づいてつくられていること。[地球規模:条約事務局;国レベル:締約国、IOP

[参照]

決議Ⅸ.1付属書C:水関連の手引き.
決議.18:河川流域管理指針
決議Ⅸ.1付属書Cⅰ:河川流域管理追加手引き.
決議Ⅷ.1:水の配分と管理の指針.
決議Ⅸ.1付属書Cⅱ:地下水管理指針.
戦略1.7.統合的水資源管理
統合的水資源管理の政策と実施を、生態系に根ざしたアプローチを適用し、全ての締約国において、特に地下水管理や、集水域・河川流域管理、沿岸域と沿岸近くの海域のゾーニング計画策定、気候変動への適応や緩和策などに関して、それらの計画策定と意思決定過程に確実に含める。[締約国、STRPIOP
 [2014]年までの成果領域
1.7.
全ての締約国が、水資源管理と水の効率化計画に関する「持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)」の目標達成への貢献として、生態系のための水の配分と管理に関するラムサール条約の手引き(決議.1付属書)を水資源管理に関する意思決定を支えるために利用できるようにしていること。[国レベル:締約国]
1.7.
気候変動の緩和と適応への湿地の役割のための計画が策定中か完成していること。[国レベル:締約国]
1.7.
統合的水資源管理の計画策定を助長するラムサール条約の役割が、環境にかかる国際的努力の一部として確立されていること。[地球規模:条約事務局、STRP

[参照]

決議Ⅷ.16:湿地再生指針.
Ramsar Wetland Restoration mini-web site[英語].
戦略1.8.湿地再生
再生策や回復策が有益であり長期的な環境的・社会的・経済的利益が得られる湿地や湿地系で優先度の高いところを特定し、それらに必要な回復策を実施する。[締約国、条約事務局、IOP
 [2014]年までの成果領域
1.8.
全ての締約国が再生策の優先度の高い湿地を特定していること。そのうち少なくとも半分の締約国において、それらの再生プロジェクトを進めているか完了していること。[国レベル:締約国]
1.8.
条約のウェブサイトの湿地再生のページに、新たな事例研究や方法が追加されていること。[地球規模:STRP;国レベル:締約国]

[参照]

GRISの2005年時点の進捗状況:ISSGAbout the GISD」英語ページ中段参照.
戦略1.9.外来侵入種
湿地、特に条約湿地の生態学的特徴に悪影響を及ぼしている外来侵入種ならびにその可能性のあるものの国内目録をつくり、その目録とIUCNの「地球規模侵入種登録簿 Global Register on Invasive Species (GRIS)」とが相互に支えあうように確実にすることを締約国に奨励する。湿地系の外来侵入種を予防し、防除し、根絶するための手引きを開発し、その手順や行動を進める。[締約国、STRP、他機関、IOP
 [2014]年までの成果領域
1.9.
全ての締約国が、湿地、特に条約湿地の生態学的特徴に悪影響を及ぼしている外来侵入種ならびにその可能性のあるものの国内目録を備えていること。[国レベル:締約国]
1.9.
締約国が、自国の湿地生態系において侵入種が起こしている問題をいっそう包括的に特定していること。[国レベル:締約国]
1.9.
侵入種が悪影響を及ぼしている湿地の全てにおいて根絶や管理のための政策が立てられ、その結果が測定され報告されていること。[地方レベル:湿地管理者]
1.9.
包括的で最新の地球規模での手引きを、「世界侵入種計画 Global Invasive Species Programme (GISP)」との協力の下に、全ての利害関係者が利用できるようになっていること。[地球規模:STRP
1.9.
外来侵入種に関する国際的な規則にある隔たりに対処するための行動について生物多様性条約との協働が高まっていること。[地球規模:条約事務局]
戦略1.10.民間部門
湿地の保全と賢明な利用への民間部門の関与を促進する。[締約国、条約事務局]
 [2014]年までの成果領域
1.10.
民間部門において、湿地に影響を及ぼすそれらの活動や投資に対して条約の手引き等関連指針に含まれる湿地の保全と賢明な利用の概念や取組み方を条約の賢明な利用原則を適用することが、有意に前進していること。[地球規模から地方レベルまで:民間部門]
1.10.
湿地の賢明な利用と条約湿地の管理に、民間部門の従事が増加していること。[地方レベル:民間部門]
1.10.
湿地保全に役立つ消費選択を可能にするような啓発資料が利用できるようになっていること。[国レベル:民間部門、締約国]
戦略1.11.奨励措置
条約の賢明な利用規定賢明な利用原則の適用を奨励する措置を促進する。[締約国、条約事務局、IOP
 [2014]年までの成果領域
1.11.
全ての締約国において、湿地にかかる奨励措置のよりよい企画が立てられ、実施されていること。また全ての締約国において、湿地にプラスに影響を及ぼす奨励措置もマイナスに影響を及ぼすものも、よりよくモニタリングされ評価されていること奨励措置のよりよい企画を立て、実施し、モニタリングし、そのプラス面もマイナス面も評価していること。[国レベル:締約国]
最終目標2.条約湿地
全ての締約国が確実に条約の「国際的に重要な湿地のリストを将来的に拡充するための戦略的枠組み及びガイドライン」を適切に実施することによって、水鳥のフライウェイや魚類個体群を含む地球規模の生物多様性の保全のために重要であり、また人々の暮らしを支えるために重要である湿地の国際的なネットワークを発展させ維持すること。

[参照]

条約湿地拡充指針:2006年版
戦略2.1.条約湿地の指定
条約の「国際的に重要な湿地のリストを将来的に拡充するための戦略的枠組み及びガイドライン」を適用する。[締約国]
 [2014]年までの成果領域
2.1.
全ての締約国が、同戦略的枠組みを用いて、条約湿地の指定と管理についての全国的な計画と優先順位とを備えていること。それには、隣国との協力関係の下に適切に、国境をまたぐ湿地も含めていること。[国レベル:締約国]
2.1.
全ての条約湿地の情報票が、完成され、並びに適切に更新されて、提出されていること。[国レベル:締約国]
2.1.
全世界で少なくとも 2,500か所、延べ2億5千万ヘクタールが条約湿地に指定されていること。[国レベル:締約国]

[参照]

Ramsar Sites Information Service, Wetlands International[英語].
戦略2.2.条約湿地の情報
条約湿地情報サービスが、条約湿地データベースも含み、さらなる条約湿地の選定を導くツールとして、また調査研究と評価のためのツールとして、利用可能であり増強されていること、ならびにそれが条約事務局によって効果的に管理されていることを確保する。[締約国、STRP、条約事務局、IOP
 [2014]年までの成果領域
2.2.
条約湿地情報サービスが、利害関係者にとってのウェブ上の利便性が高まるように検討され、再構成され、さらに開発されていること。また、全ての湿地についての地球規模の情報・観測システムにつながっていること。[地球規模:STRP、条約事務局、IOP
2.2.
湿地情報サービスが、締約国が条約湿地のさらなる指定のための不足や優先順位を特定するのを助ける一連のツールや支援を締約国に提供していること。[地球規模:条約事務局、IOP

[参照]

決議Ⅷ.14:管理計画策定指針.
戦略2.3.湿地管理計画策定−新たな条約湿地
条約湿地指定が当該湿地の効力のある管理計画の策定のきっかけになりうることを認識しつつ、新たな条約湿地は全て指定されるまでに、効力のある管理計画策定が当然できており、そのような管理を実施する資源も確保していることという考え方をあまねく奨励する。[締約国、IOP、条約事務局]
 [2014]年までの成果領域
2.3.
新たな条約湿地指定には、その目標を満たす財政資源や人材の欠如の可能性を考慮し、指定が将来の管理計画策定の誘因として作用する可能性があることを認識して、その全て、あるいはたいていの場合に、適切な管理計画策定プロセスが確立されて提出されていること。さもなくば、そのようなゴールに向けての作業を進めるという約束がなされていること。[国レベル:締約国;地方レベル:湿地管理者]
戦略2.4.条約湿地の生態学的特徴
全ての条約湿地の生態学的特徴を、計画の策定と管理を通じて、維持する。[締約国、条約事務局、IOP
 [2014]年までの成果領域
2.4.
各国の条約湿地の全てについて、効力のある管理計画を策定することに進展があること。[国レベル:締約国;地方レベル:湿地管理者]
2.4.
生態学的特徴の維持のための管理目標が、全ての条約湿地について、その管理計画策定の一部として確立されていること。[地方レベル:湿地管理者]
2.4.
条約湿地や湿地保護区等で広いところではゾーニングの手法が取り入れられていること(勧告5.3、決議.14参照)。ならびに、面積の小さなところや特に敏感なところでは厳正保護の措置が規定されていること。[地方レベル:湿地管理者]
2.4.
部門横断的な湿地管理委員会が、関係省庁、住民代表、その他の利害関係者の参加のもとに、また適切に企業部門も含めて、条約湿地に設置されていること。[地方レベル:湿地管理者]
2.4.
全ての条約湿地について、その生態学的特徴の現状把握が完了し、条約第3条2[生態学的特徴の変化の通報義務]を実施する基礎に用いていること。[地方レベル:湿地管理者]

[参照]

条約湿地拡充指針:2006年版
戦略2.5.条約湿地管理の効力
全ての条約湿地について、その管理の取り決めに効果があるかないかを、条約の「国際的に重要な湿地のリストを将来的に拡充するための戦略的枠組み及びガイドライン」に従って判定し、概括する。[締約国、STRP
 [2014]年までの成果領域
2.5.
全ての締約国が、同戦略的枠組みを用いて、既存の条約湿地を概括し、自国の条約湿地の全てが同戦略的枠組みの規定を満たしていることを確証していること。あるいは改善の余地があるにもかかわらず改善していないところを特定していること。

[参照]

決議Ⅸ.1付属書D:履行効果指標.
同指標ファクトシート:COP9文書18[英語原文].
戦略2.6.条約湿地の現状
条約湿地の状態をモニタリングして、その生態学的特徴の悪化に対処し、条約事務局に条約湿地に影響を及ぼす変化を通報し、モントルーレコード諮問調査団を問題に対処するツールとして適用する。[締約国、条約事務局、IOP
 [2014]年までの成果領域
2.6.
人為的行動によりその生態学的特徴がすでに変化しているか、変化しつつあるか、変化するおそれがある条約湿地をもつ締約国は全て、条約第3条2の要件に従ってそれを条約事務局に報告していること。[国レベル:締約国]
2.6.
モントルーレコードに掲げられた湿地で、同レコードから外すに必要な手段について助言を提供するための諮問調査団をまだ受けていないところの全てについて、当該締約国が同諮問調査団の求めを出すこと。[国レベル:締約国]
2.6.
条約実施の効力を評価するための結果志向の生態学的指標 [訳注] のうち関連するものを実施していること。[地球規模:STRP;国レベル:締約国]
[訳注]
科学技術検討委員会が開発中のもので、一部は2005年の決議.1付属書Dに採択され、それら指標の詳しい内容がファクトシートとしてCOP9文書18に示されている。第10回締約国会議への情報文書も準備が進められている(SC37文書21)。

[参照]

決議Ⅶ.19:国際協力指針.
最終目標3.国際協力
特に「ラムサール条約の下での国際協力のためのガイドライン」の積極的な適用を通じた効力のある国際協力を用いて湿地の保全と賢明な利用を高めること「ラムサール条約の下での国際協力のためのガイドライン」を積極的に適用して、湿地の保全と賢明な利用における国際協力を成し遂げること
戦略3.1.多国間環境協定等との相乗作用
国際的ならびに地域的な多国間環境協定(MEAs)や他の政府間機関(IGOs)とパートナーとして協働する。[締約国、条約事務局IOPSTRP
 [2014]年までの成果領域
3.1.
生物多様性条約とラムサール条約との共同作業計画、ボン条約・アフリカ−ユーラシア渡り性水鳥保全協定とラムサール条約との共同作業計画が実施されており、生物多様性関連条約連絡グループにラムサール条約が引き続き参加していること。[地球規模:条約事務局、STRP;国レベル:締約国]
3.1.
砂漠化対処条約(UNCCD)や、気候変動枠組条約(UNFCCC)との共同活動を、リオ条約の合同連絡グループ(JLG)への参加を通じたものも含めて、適切に展開していること。[地球規模:条約事務局、STRP
3.1.
アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)の行動計画にラムサール条約の課題や仕組みが十分に組み入れられており、関係締約国によって実施されていること。[地域規模:条約事務局;国レベル:締約国IOP
3.1.
国連環境計画(UNEP)や、国連開発計画(UNDP)、国連食糧農業機関(FAO)、ユネスコ、世界保健機関(WHO)、世界観光機関(UNWTO)、国際熱帯木材機関(ITTO)、国連森林フォーラム(UNFF)とその森林共同パートナーシップ等の国連機関との、ならびに国連水関連機関調整委員会(UN-Water)を通じての、さらなるパートナーシップの取組みが開始されていること。[地球規模:条約事務局、STRP;国レベル:締約国、IOPの支援]
3.1.
適切な多国間環境協定と調整された情報管理および報告のシステムが、各国レベルで利用できるようになっており、広く用いられていること。[地球規模:条約事務局;国レベル:締約国]

[参照]

決議Ⅷ.30:地域イニシアティブ.
戦略3.2.条約の地域イニシアティブ
条約のもとでの地域的な取り決めの、既存のものを支援し、追加のものを助長する。[締約国、条約事務局、IOP
 [2014]年までの成果領域
3.2.
条約のもとに実行可能な地域的な取り決めが、「条約の枠組みにおける地域的取組みを発展させるための手引き」(決議.30)を適用して策定され、 新たな地域イニシアティブの適切な確立や既存のものの強化に結びついていること。 適切に、新たな取組みやセンターの設立に結びついていること。また既存の取組みが強化されていること。 [地球規模:条約事務局、常設委員会;地域規模:地域イニシアティブ、IOPの支援]
戦略3.3.国際的援助
湿地の保全と賢明な利用を支援する国際的な援助を促進するとともに、海外投資も国内投資も含めて湿地に影響を及ぼす開発プロジェクトの全てについて、環境上の安全対策や影響評価がその必須の構成要素となっていることを確保する。[締約国、条約事務局、IOP
 [2014]年までの成果領域
3.3.
二国間援助機関を有する締約国が、湿地の保全と賢明な利用にかかるプロジェクトで貧困削減等の国際的な目標と優先事項に関連するものに対しての資金援助に優先度を与えることを当該機関に奨励していること。[国レベル:締約国]
3.3.
国際的開発機関や、銀行、金融機関、民間の投資家や開発業者等から提案される補助金や貸付、開発プロジェクトなどが、環境上の安全対策や可能性のある環境影響の評価を含めていること。[地球規模:条約事務局、開発機関]
戦略3.4.情報と専門的技術の共有
湿地の保全と賢明な利用にかかる専門的技術や情報の共有を促進する。[締約国、条約事務局]
 [2014]年までの成果領域
3.4.
締約国が国別報告のための情報管理に必要とする時間が低減されており、同時により質の高い報告がいっそう折よく作成されていること。[地球規模:条約事務局;国レベル:締約国]
3.4.
条約事務局がそのウェブサイト等の手段で普及できるように、締約国が提供する情報の流れ(例えば、条約に関連する政策、条約湿地の管理計画やモニタリング結果など)が増していること。[国レベル/地域規模:締約国、IOPの支援]
3.4.
STRPによって評価された関連の研究成果が、ラムサール条約技術報告書(RTR)や、条約やIOPのウェブサイト、その他の手段を通じて、広報され広範に利用できるようになっていること。[地球規模:条約事務局、STRPIOP;国レベル:締約国]

[参照]

東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ,環境省インターネット自然研究所.
戦略3.5.国境をまたぐ湿地・流域・生物種
国境をまたぐ湿地や水文学的流域の目録や統合的管理協力、ならびに国境をまたぐ湿地依存性生物種の共同モニタリングや共同管理などを、促進する。[締約国、条約事務局、IOP
 [2014]年までの成果領域
3.5.
全ての締約国が他国との国境をまたぐ湿地を特定していること。適切に、それら国境をまたぐ湿地の共同管理の仕組みを互いにすりあわせていること。[国レベル:締約国]
3.5.
適切に、河川流域や海岸システムが国境をまたぐ締約国は、共同管理委員会や共同管理当局に加わることを検討していること。[国レベル:締約国]
3.5.
アフリカ−ユーラシア渡り性水鳥保全協定や、東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ、西半球シギチドリ類保護区ネットワーク、中央アジアフライウェイ・イニシアティブに例証される、地域的な湿地ネットワークや取組みが湿地に依存する他の移動性動物種に対しても設立されていること。[地球規模:条約事務局、STRP、他の多国間環境協定;国レベル:締約国]
最終目標4.制度的能力・効力
条約が、必要な実施機構や資金、能力を確保することによって、その使命を果たすよう前進すること。

[参照]

CEPAプログラム:2009−2014年(案)2003−2008年
決議Ⅶ.8:参加指針
戦略4.1.対話・教育・参加・啓発(CEPA
湿地の保全と賢明な利用を対話・教育・参加・啓発を通じて促進するために、条約のCEPAプログラム(決議.[x])の実施を全てのレベルで支え、助ける。また、条約の最終目標や仕組み、主要な発見などについての広範な啓発に取り組む。[締約国、条約事務局、研修センター、IOP、ラムサール条約のための能力育成諮問委員会(Advisory Board on Capacity Building for the Ramsar Convention)]
 [2014]年までの成果領域
4.1.
全ての締約国が、国の(ならびに、地方、集水域、個々の湿地まで適当なレベルの)CEPA行動計画を確立していること。[国レベル:締約国]
4.1.
全ての締約国が、条約湿地に湿地教育センターを少なくともひとつは設立していること。[国レベル:締約国]
4.1.
全ての締約国が、湿地管理計画の策定と実施において、湿地と文化的・経済的に結びついている利害関係者や、その生計を湿地に依存している人々の参加を確実にするようなやりかたを確立していること。[国レベル:締約国]
4.1.
少なくとも半数の締約国が、湿地の保全と賢明な利用に関する研修の必要性を全国的および個々の湿地レベルで評価していること。[国レベル:締約国]
4.1.
ラムサール条約のための能力育成諮問委員会が、締約国が研修や広範な能力育成のための計画を策定し活動を実施するのを助けるための実践的な助言を、締約国に提供していること。[地球規模:能力育成諮問委員会]
4.1.
条約の湿地の管理や賢明な利用と保全の仕組みを地球規模から地域規模、各国、各地方のレベルまで、広範な利害関係者によって適用されていること。[地球規模から地方レベルまで:全ての関係者]
4.1.
条約が作り上げた、例えば意思決定の枠組みやネットワーク、技術的文書などが、広範な対象者の手に届き採用されていること。[地球規模:条約事務局;国レベル/地域規模:締約国、IOPの支援]
4.1.
意味のある割合の締約国が、戦略項目1.3に特筆される政策や立法、制度的統治を実施するために必要な能力や研修の必要性を評価していること。[国レベル:締約国]
戦略4.2.条約の財政能力
締約国会議の期待を果たすように、条約の管理や仕組み、プログラムに必要な財政的資源を提供する。条約実施のための新たな追加資源を結集するための選択枝や仕組みを探究し可能にする。[締約国、条約事務局]
 [2014]年までの成果領域
4.2.
適切な資源とそれを支える財政方針が、締約国会議が決定したとおりに、条約の責任と優先課題を効果的に果たすことができるようになっていること。[地球規模:条約事務局;国レベル:締約国]
4.2.
条約のための予算が明瞭であやふやでなく準備され管理され、締約国会議が配分した予算を条約事務局が可能な限り効果的に運用していること。[地球規模:条約事務局]
戦略4.3.条約の機関の効力
締約国会議や、常設委員会、科学技術検討委員会、ならびに条約事務局が、条約の実施を支えるために高度に効果的に運営されていることを確実にする。[締約国、条約事務局]
 [2014]年までの成果領域
4.3.
全ての締約国が2011年までに、CEPA担当窓口と科学技術検討委員会担当窓口を指定していること。および、条約担当政府機関の窓口や公式連絡の外交窓口などの変更が条約事務局が適時に更新できるように届けられていること。[国レベル:締約国]
4.3.
国別報告が、締約国会議のたびに条約の戦略計画の実施状況を評価し報告するために用いられていること。[地球規模・地域規模:条約事務局]
4.3.
条約の機関が、締約国会議によって採択されたその運用規則と作業計画を果たすように適切な資金と活動支援を得ていること。[地球規模:条約事務局、締約国]
4.3.
条約事務局が、常設委員会の助言を受けて、 湿地の保全と賢明な利用に関して新たにおこった重要問題に 新たに湿地保全上の重要問題がおこったときにそれに 対応する職員配置の優先度や能力を十分に統率していること。[地球規模:条約事務局]
戦略4.4.国際団体パートナー(IOP)等との協働
条約の国際団体パートナー等と協働することによる利益を最大にする。[条約事務局、IOP
 [2014]年までの成果領域
4.4.
第11回締約国会議までに、各IOPと条約事務局が、条約ならびに各団体の目標を支えるような共同作業のプログラムを確立していること。相互に関連し適切ならば複数のIOPとの共同行動も含める。また、[2014]年までに、それらが総括され必要に応じてプログラムを改訂していること。[地球規模:条約事務局、IOP
4.4.
条約の科学面、技術面、ならびに政策面の作業への支援が、IOPの現行のプログラムのなかに統合されていること。[地球規模:IOP
4.4.
条約にとって優先度の高い問題に関する調査研究のための資金を調達しようとするIOP等の努力が、適切な提案書に対する裏書きを通じてのことを含め、支援されていること。[地球規模:条約事務局、IOP;国レベル:IOP、締約国]
最終目標5.加盟国
条約への加盟を世界の全ての国に広めること。
戦略5.1.加盟国
世界の全ての国の加盟を確保し、適切な水準の支援を提供する。[締約国、条約事務局]
 [2014]年までの成果領域
5.1.
第11回締約国会議までに少なくとも加盟国が 170か国にのぼり、第12回締約国会議までに適格な国の全てが加盟していること。[地球規模:条約事務局、常設委員会]
5.1.
この戦略計画の実施を助ける締約国への支援を、特に最近に加盟した国々に対して、提供するに十分な資金の確保に努める。[地球規模:条約事務局、常設委員会、援助する締約国]

経済上の理由により、この文書は限られた部数のみ印刷されるが、会議場で配布する予定は無い。会議出席者は各自が印刷して持参し、会議場で求めることの無いようにされたい。


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[英語原文:
ラムサール条約事務局,2008.Ramsar COP10 Draft Resolution X.1 "The Ramsar Strategic Plan 2009-2014", Convention on Wetlands (Ramsar, 1971). [Word] http://www.ramsar.org/doc/cop10/cop10_dr01_e.doc, [PDF] http://www.ramsar.org/pdf/cop10/cop10_dr01_e.pdf.]
[和訳:
琵琶湖ラムサール研究会,2008年48月.この決議案は,2008年11月に第10回締約国会議で決議Ⅹ.1に採択されましたので,このページの案文ではなく,採択された決議の本文と同付属書の戦略計画文書を用いて下さい.]
[レイアウト:
条約事務局ウェブサイト所載の当該英語ページにおおむね従い,付属書の戦略計画(案)の部分にページ内リンクと他の参照資料へのリンクを,本文の左に加えました.]
[フォロー:
解説10】, 決議Ⅹ.1決議Ⅷ.25決議Ⅵ.14.]
Swan 琵琶湖水鳥・湿地センターラムサール条約ラムサール条約を活用しよう | ●第2部主要な決議等
Valid HTML 4.01 Transitional Valid CSS 2.1

URL: http://www.biwa.ne.jp/%7enio/ramsar/cop10/cop10_dr01_j.htm
Last update: 2012-03-27, Biwa-ko Ramsar Kenkyu-kai (BRK).