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琵琶湖ラムサール研究会 ラムサール条約を活用しよう −湿地保全のツールを読み解く−

ラムサール Q&A

キーワード・インデックス

琵琶湖ラムサール研究会編 第2版(2005年1月)改6(2006年10月)


アジア太平洋地域水鳥保全戦略 Asia-Pacific Migratory Waterbird Conservation Strategy
勧告6.4や勧告7.3,ならびに決議.37で推奨される水鳥と生息する湿地環境の保全の地域的な取り組み.オーストラリアと日本の環境省およびが国際湿地保全連合中心になって支援して,取り組みを進めるアジア太平洋地域水鳥保全委員会が設立されている.ラムサール条約も代表者を同委員会に出している.
移入種 introduced species
外来種が意図的であるか否かを問わず,人間活動の結果として,生態系に脱出,放出,散布,または放置されることを「移入」という.移入された外来種が,経済,環境あるいは人の健康を害する,もしくは害する恐れのあるような場合に,その外来種は「侵入種」とみなされる.従って「移入種」という表現は,移入された外来種と意味づけられる.
参照:解説:侵入種
外来種 alien species
「外来種」は各々の生態系において,そこに原生しない種(または亜種やそれより下位の分類単位)をいい,その種子,卵,胞子,その他の増殖可能な生物体を含む.意図的であるか否かを問わず人間活動の結果として,外来種が生態系に脱出,放出,散布,または放置され,その結果として経済,環境あるいは人の健康を害する,もしくは害する恐れのあるような場合,その外来種は「侵入種」とみなされる.
参照:解説:侵入種
科学技術検討委員会(旧訳:科学技術レビューパネル)Scientific and Technical Review Panel (STRP)
条約事務局と常設委員会,またそれらを通して締約国に対して,科学的技術的な支援をするために設立された委員会.決議.5で設立され,指針など条約の科学的・技術的文書の見直しや諮問調査団等の支援などを行なう.委員会の活動内容とメンバーは3年ごとの通常締約国会議で見直しと任命を行なう.最新の運用規則が決議.28で採択された.
河川流域 river basin
支流も含めたひとつの河川の流域の,上流部から下流部までの集水域全体を包括したエリア.このような流域に含まれる個々の湖沼などの狭い範囲の保全はもとより,流域全体を統合的に保全管理しようとする概念が条約の発展に伴い開発されて,決議.18「河川流域管理」に結実した.特に大陸では国境を越えて河川流域が広がるものが数多くあり,このような河川流域の国際協力による保全が大きな課題となっている.
環境影響評価 environmental impact assessment (EIA)
湿地の生態学的特徴を変化させうる,あるいは湿地に悪影響を及ぼすおそれのある,事業,計画,プログラム,政策のすべてに対して,事前に,あるいは戦略的に湿地に及ぼす影響を評価し,湿地への悪影響を回避するようにそれらの計画を適切に修正すること.2002年に生物多様性条約が決定/7で採択した「環境影響評価の法制度・プロセス及び戦略的環境影響評価に生物多様性関連事項を組み込むためのガイドライン」にラムサール条約の実施との関連性を付記したものを,ラムサール条約締約国のためのガイドして決議.9で採択した.
管理ガイダンス手順/モニタリング手続き Management Guidance Procedure / Monitoring Procedure
モントルーレコードに登録された生態学的特徴の変化が起こっているあるいはそのおそれがあるような湿地の保全や回復を促進するために,条約が技術的支援を行なう制度.条約の科学技術委員会が中心になって,助言や現地調査による指導などを行なう.勧告4.7で「モニタリング手続き」として創設され,決議.14で「管理ガイダンス手順」と改称され,決議.12において,「ラムサール諮問調査団」と再び改められた.
管理計画,管理計画策定 management planning
個々の湿地の保全を進めるための計画づくりとその実施.第8回締約国会議でそのための新しい指針を決議.14の附属書として提供している.現状の評価と活動計画づくり,モニタリングによるその実施の再評価と計画の練り直しのプロセスを循環させる柔軟でダイナミックな取組み.
共同作業計画 Joint Work Plan
ラムサール条約と他の多国間環境協定(環境条約を含む)とのあいだにむすばれた協力の覚書に基づく作業計画.
協力の覚書 Memorandum of Cooperation
ラムサール条約と他の多国間環境協定(環境条約を含む)とのあいだにむすばれる協定書.
国別報告書 National Report
3年に一度の締約国の定期会合(締約国会議)へ加盟国が提出する報告書.前回の締約国会議以降の自国での条約の実施状況や登録湿地の生態学的変化などの情報を報告する.決議.21に従って,第7回締約国会議への国別報告書から条約事務局が報告書形式を締約国各国へ送付し,その形式に従って各国が報告書を提出するようになった.報告書は会議の6ヶ月前を期限に事務局へ提出され,事務局が条約の地域区分ごとに概要をとりまとめ,締約国会議で報告し,会議での議論の基礎情報とされる.また,国別報告書自体も条約事務局HPに掲載される(第7回以降).
参照:第9回締約国会議国別報告書フォーム第9回締約国会議国別報告書インデックス(共に条約事務局HP:英文);第9回締約国会議への日本国の報告書(環境省HP:日本語).
(湿地の)経済評価 economic valuation
湿地の価値を経済学的に評価する手法.湿地の価値,保全による利益や保全の必要性についての認識を高めるために,1996年の勧告6.10でその取組みが推奨された.1997年には,政策決定者や開発計画者がその計画段階において当該湿地の価値を経済学的に評価する際の手引きとして,「湿地の経済評価」というテキストにその評価手法がまとめられた(和訳は1999年発行).
参照:「湿地の経済評価」(釧路ウェットランドセンター 1999;英語原典),勧告6.10:湿地の経済的評価
賢明な利用 wise use
その湿地の生態系が持つ生態学的特徴を損なわないような方法で,その湿地が与えてくれる恩恵を将来の世代に引き継ぐことができるように,その湿地を活用すること.条文定訳では『適正な利用』と訳されているが近年は『賢明な利用』と使われることが多く,また英語表現『ワイズユース』がそのまま使われることもある.
広報、教育、普及啓発 Communication, Education and Public Awareness (CEPA)
湿地のワイズユースを進めていくために,利害関係者を含むさまざまな人々へ,湿地の価値や機能を広報・教育・普及啓発すること.決議.31で,2003−2008年の条約のプログラムを採択.最近『Communication』に対しては『広報』ではなく『対話』とするほうが適切だという考えも見られる.
(条約の)国際団体パートナー/パートナー団体 International Organization Partner
条約の実施に貢献してきたあるいは貢献しうる政府機関や非政府機関のうち,締約国会議が正式に条約のパートナーであると認める団体・組織.決議.3において,その地位とそれを認めるための規則が定められた.その時点で,バードライフ・インターナショナル,IUCN,国際湿地保全連合,WWFの4団体が認められている.
国際的に重要な湿地 Wetlands of International Importance
ラムサール条約が定める基準を満たす湿地.この基準を満たしていれば『国際的に重要である』と認められ,条約に登録する資格を得る.
国際的に重要な湿地のリスト List of Wetlands of International Importance / Ramsar List
ラムサール条約に登録された湿地のリストのこと.条文定訳では『登録簿』と訳されている.条約事務局のHPから常に最新のリスト全覧を,閲覧またはワードやPDFファイルでダウンロードできる.
国内(ラムサール/湿地)委員会 National (Wetland / Ramsar) Committee
締約国がその国内レベルでの条約の実施を推進するための中心的存在として設立することが奨励される委員会.国内の関係機関(政府・非政府)の調整や情報の収集,決議や勧告に対する国内での実施状況の見直しなどがその役割とされる.日本では,「ラムサール条約推進国内連絡会議」(関係省庁,登録湿地関係自治体とNPO法人 日本国際湿地保全連合で構成)がそれにあたる.これとは別に同関係自治体の自主的な取組みとして「ラムサール条約登録湿地関係市町村会議」(事務局:新潟市 市民局 環境部 環境対策課)が設立されている.
国境をまたぐ湿地 transfrontier wetland / shared wetland
ひとつながりの湿地の範囲のなかに国境が設定されて,複数の国が関係する湿地.条約ではこのような湿地の保全を効果的に推進するために関係国による協力関係の樹立を推奨しており,さらに複数国を通過する河川の流域を国際協力のもとに統合的に保全するための指針も整備しつつある.
(湿地の)再生 restoration
劣化した湿地生態系の機能を回復したり,壊された湿地生態系をもとに戻すこと.現存の湿地生態系を劣化させず,喪失しないようにすることを第一に優先したうえで,復元にも取り組むように求められている.決議.16で「湿地再生の原則とガイドライン」が採択された.第7回締約国会議の時点では「(湿地の)復元」と日本語で表現されていたが,第8回締約国会議後から「再生」が用いられている.
参加型環境管理 Participatory Environmental Management (PEM)
個々の湿地の生態系管理に,地元住民,先住民,民間,研究機関,NGO,公共団体等の参加を確保して統合的なアプローチをとり,いちだんと効率的,効果的でかつ持続可能なものにしようとする取り組み.貧困の克服に役立つことも期待され,決議.36で参加型環境管理を効果的に実施するための方法論またはガイドラインを作成するように条約の科学技術検討委員会に指示している.
サンホセレコード San José Record
登録湿地の中でワイズユース実施の実証的モデルとなるような管理計画を策定して成果をあげている湿地を記録し,その湿地での取り組みの内容を公開して,締約国各国での湿地保全の取り組みに役立てようと意図する記録システム.決議.12で提案され,決議.15で『資源が得られるならば』という前提つきでその創設が承認された.但し,創設されたとはまだ聞こえない.締約国政府とその湿地の管理当局が管理計画等の必要書類を添えて掲載(5年間)を申請する.
湿原 mire
湿地の一タイプ.泥炭が発達中の(すなわち泥炭の形成作用と集積作用が現在行なわれている)湿地で,泥炭地の一タイプでもある.泥炭の蓄積の度合や,その結果としての植生の違いにより低層,中層,高層湿原と分けられる.泥炭の集積が止まった泥炭地は湿原とはみなされない.
参照:Q&A「泥炭地」.
湿地,湿地タイプ wetland type
条約の対象とする湿地は,天然のものか人工のものかを問わず,水が流れるほとんど全ての環境を含む幅広い定義.集水域上部の林地の河川や湿原から,下流部までの湖沼や人工のため池や水田,河口部の干潟や沿岸帯(低潮時の水深が6を超えない範囲)まで含まれる.条約の運用のために42の湿地タイプに分類されている.
参照:ラムサール条約湿地分類法(「ラムサール登録湿地情報票,2006−2008年版」添付文書).
湿地情報票 Ramsar Information Sheet (RIS)
登録湿地の基礎情報を取りまとめる書式.湿地を条約に登録する際に提出する必要がある.これはまた登録湿地の生態学的特徴をモニタリングするツールとして位置づけられ,6年ごと(一回おきの締約国会議ごと)に各登録湿地の情報を更新する.書式は少しずつ改良され,最新の書式は決議Ⅷ.13に採択されたのち第9回締約国会議の決議をうけて改訂されたもので,2006−2008年に用いる版となっている.
姉妹提携 site twinning / sister sites
おもに二国間の登録湿地どうしの姉妹提携.保全のための技術交流や人事交流,研修の機会の提供などの相互支援,市民交流までさまざまな分野での提携が,両者の保全の取組みの質を向上させる機会となる可能性から決議.19などで推奨されている.日本では,釧路湿原・霧多布湿原・厚岸湖・別寒辺牛湿原とオーストラリアのクーラガング湿地・その周辺湿地,習志野市(谷津干潟)とオーストラリアのブリズベーン市の姉妹提携がある.
(ラムサール)諮問調査団 Ramsar Advisory Mission
モントルーレコードに登録された生態学的特徴の変化が起こっているあるいはそのおそれがあるような湿地の保全や回復を促進するために,条約が技術的支援を行なう制度.条約の科学技術委員会が中心になって,助言や現地調査による指導などを行なう.勧告4.7で「モニタリング手続き」として創設され,決議.14で「管理ガイダンス手順」と改称され,決議.12において,「ラムサール諮問調査団」と再び改められた.
集水域 catchment
個々の湿地へ降雨等による水を集めるすべての範囲.多くの場所で山や丘陵の分水嶺をその境界とする.個々の湖沼や湿原などの保全をすすめるためには,そこに水を供給している集水域全体へのアプローチが必要であることが1993年の「賢明な利用の概念実施のための追加手引き」(決議.6附属書)に指摘され,さらに「統合的河川流域管理」(決議.18)へ発展している.
(湿地管理への)住民参加 involvement of local communities / participation by local communities
種々のレベル(政策決定過程から実質的な保全活動や湿地の活用まで)での個々の湿地のワイズユースのための活動への地元住民(ならびに先住民)の参加および責任分担を促進すること.
小規模助成基金 Ramsar Small Grants Fund for Wetland Conservation and Wise Use (SGF)
途上国及び市場経済移行国において,この条約を円滑に実施するための活動を助成するための基金.助成対象はOECD援助享受国リストの国々.応募は締約国政府による.決議4.3で「湿地保全基金」として設立され,決議.6にて「小規模助成基金」と改称された.基金は締約国政府の拠出による条約予算の一部,締約国政府からの自主的な追加拠出や団体・個人からの寄付による.これらの国々におけるモントルーレコード登録湿地には優先的に配分されることとなっている.
常設委員会 Standing Committee
決議案や勧告案等の次期締約国会議で検討する問題について準備することをはじめとして,(通常)締約国会議のあいだの3年間の条約の活動を締約国会議を代表して実施するために,決議3.3にて設立された委員会.条約の地域区分などを考慮して(通常)締約国会議において次の3年間の委員会メンバーとなる締約国政府が選出される.
侵入種 invasive species
各々の生態系に原生しない種(または亜種やそれより下位の分類単位)が,意図的であるか否かを問わず人間活動の結果として生態系に脱出,放出,散布,または放置され,その結果として経済,環境あるいは人の健康を害する,もしくは害する恐れのあるような種を「侵入種」いう.
参照:解説:侵入種
生態学的特徴 ecological character
湿地の生物学的,化学的,ならびに物理学的な要素が相互に関係して表現される湿地の特徴をいい,具体的には,湿地生態系の中で起こっている反応などの過程,洪水制御をはじめとする湿地の様々な機能や価値,湿地から得られる生産物などによって特徴づけられる.最新の定義が決議.10で採択された.
生態学的特徴の変化 change of ecological character
前項のような生態学的特徴が,人間活動によって,劣化したり,不均衡に陥ること.前項に同じく,最新の定義が決議.10で採択された.
世界湿地の日/ワールド・ウェットランド・デイ World Wetlands Day (WWD)
ラムサール条約が締結された2月2日を記念して,1997年から設けられた記念日.条約と湿地保全の普及啓発の機会として活用することが,条約の戦略計画ならびにCEPAプログラムに位置づけられている.
戦略計画 Strategic Plan
締約国を導く条約の6ヶ年の実施計画.決議.14で,1997年から2002年までの戦略計画がはじめて策定された.決議.25で2003年から2008年までの戦略計画が策定され,5項目の総合目標のもとに21の実施目標,180の具体的行動が計画されている.
早期警戒指標 early warning indicator
湿地生態系の悪化(生態学的特徴の変化)を招く危険性(リスク)を,調査やモニタリングによってできるだけ早く察知し,そのリスクを取り除くことによって,悪化を防ごうとするリスク評価の際に,その指標となりうる生態系の構成要素.
ゾーニング/ゾーン分け zonation / zoning
登録湿地やその他の保全地域において,厳格な保護措置をとる中心地域と,周辺部で人類の利益を目指した様々な形態の賢明な利用を行なう区域や緩衝地帯を,ゾーンを分けて設ける措置.小さな湿地や特に影響を受けやすい湿地に対しては厳格な保全措置が求められ,ゾーニングは適切では無いと推奨されない.管理計画策定の中にこれらは盛り込まれる.
(湿地およびその機能の)代償/補償 compensation (for wetland losses)
ミティゲーションの3つの段階の手段(影響の回避,最小化,補償)の最後のもの.効果的な湿地の保護は,その保全が第一の選択枝であり,ミティゲーションは最後の手段.
多国間環境協定 Multilateral Environmental Agreement (MEA)
ラムサール条約の目的と関連する環境にかかる条約やプログラム等の多国間協定.ラムサール条約と協力の覚書をむすび共同作業計画をつくって共通の目標に向かって取り組みが進められている.
地域区分 regional categorization
条約の運用を円滑に行なうために設定された地域区分.決議.1において,アフリカ,アジア,新熱帯区,ヨーロッパ,北アメリカ,オセアニアの6地域に区分することが決定された.各地域から常設委員会メンバーが選出され,常設委員となった国は地域内での協力関係の強化をはかるといった機能を果たす.
(カルスト等)地下水文系 karst and other subterranean hydrological systems
決議.5において新たに条約の対象に加えられた湿地タイプのひとつ.決議.13においてこのタイプの湿地を登録するための選定基準が決議された.それによると石灰岩台地などに特有な地形であるカルスト地形ならびにその地下に形成される鍾乳洞,加えてカルスト地形以外でも水を伴うあらゆる地下の空洞と空隙,氷洞が含まれる.
地中海湿地フォーラム Mediterranean Wetlands Initiative (MedWet)
1991年に開始された地中海地域の湿地の保全と賢明な利用のための国際協力活動.地中海沿岸諸国政府,ラムサール・バルセロナ・ベルンの諸条約,欧州委員会,WWF・国際湿地保全連合といったNGOなどが協力し,ラムサール条約の常設委員会が地中海湿地委員会を設立し,この地域における条約の実施を促進しており,地域協力のひとつのモデルとされる.
泥炭地 peatlands
泥炭が堆積した生態系.植生に基づいたラムサール条約の湿地タイプでは,その複数のタイプに泥炭地も含まれる.湿原は泥炭地の一タイプ.ラムサール条約への登録が不十分な湿地のタイプと認識され,決議.11で条約に登録するための選定基準が採択され,既存の他の基準に統合された.また勧告6.1から勧告7.1を経て「泥炭地に関する地球的行動のためのガイドライン」が決議.17で採択され,ラムサール条約事務局が議長となる「泥炭地地球的行動のための調整委員会」を設立してその取り組みが進められている.
締約国会議 Conference of the Contracting Parties (COP)
条約に加盟する国々の政府の会合で,条約の実施を監督し,その発展を議論する場.会議では,条約を推進するための決議や勧告が議論され,採択される.3年に一度の(通常)締約国会議と,必要に応じて招集される特別会合とがある.2005年にウガンダのカンパラで第9回締約国会議が開かれ,次は2008年秋に韓国の昌原市で開催予定.
適正な利用 wise use
その湿地の生態系が持つ生態学的特徴を損なわないような方法で,その湿地が与えてくれる恩恵を将来の世代に引き継ぐことができるように,その湿地を活用すること.条文定訳では『適正な利用』と訳されているが近年は『賢明な利用』と使われることが多く,また英語表現『ワイズユース』がそのまま使われることもある.
登録湿地 listed site / Ramsar Site
締約国政府が条約に登録した湿地.条約が定める基準を満たしていれば『国際的に重要である』と認められ,条約に登録する資格を得る.登録のための国内での手続きは各国政府にゆだねられている.
参照:国際的に重要な湿地のリストを将来的に拡充するための戦略的枠組み及びガイドライン,第3版(2006年版),日本国内手続きについてはラムサール条約登録湿地関係市町村会議作成のHPラムサール条約登録湿地を訪ねて」参照.
(湿地およびその機能の)補償/代償 compensation (for wetland losses)
ミティゲーションの3つの段階の手段(影響の回避,最小化,補償)の最後のもの.効果的な湿地の保護は,その保全が第一の選択枝であり,ミティゲーションは最後の手段.
未来の湿地イニシアチブ "Wetlands for the Future" Initiative
米国政府が資金提供し,条約が実施する,西半球における湿地保全を促進するための支援プログラム.おもに研修と情報交換の促進による保全活動の能力向上を中心に据えたプログラムが実施されている.他地域でも同様のプログラムに着手することが推奨されている.
目録 inventory
湿地ごとに,その概況や生息する湿地性の動植物,その湿地の機能と価値,保全状況等に関する科学的知見や情報をとりまとめ,地域や国,あるいは地方ごとに編さんされた情報集.国際的に重要な湿地を見きわめるためのの基礎資料となる.
(湿地の)モニタリング monitoring
『ある一定の期間にわたって、特定の湿地における生態学的特徴の変化を測定する過程』(賢明な利用の概念実施のための追加手引き).この過程は管理計画策定とその実施の重要な要素と位置づけられ(決議.7),決議.1の附属書には「湿地モニタリング計画を企画するための枠組み」が提供されている.
モニタリング手続き/管理ガイダンス手順 Monitoring Procedure / Management Guidance Procedure
モントルーレコードに登録された生態学的特徴の変化が起こっているあるいはそのおそれがあるような湿地の保全や回復を促進するために,条約が技術的支援を行なう制度.条約の科学技術委員会が中心になって,助言や現地調査による指導などを行なう.勧告4.7で「モニタリング手続き」として創設され,決議.14で「管理ガイダンス手順」と改称され,決議.12において,「ラムサール諮問調査団」と再び改められた.
モントルーレコード Montreux Record
登録湿地の中で,特にその生態学的特徴の変化が起こっているあるいはそのおそれがあるような湿地を,締約国政府が登録し,条約の支援を受けて,その保全や回復を促進しようとする制度.1990年のモントルー会議の勧告4.8にて創設されてこの名称がある.条約からはその小規模助成基金の優先的な配分を受けたり,その諮問調査団(旧称:管理ガイダンス手順)をはじめとする技術的支援を受けることができる.その運用に関する最新の指針は決議.1で採択されている.モントルーレコードに登録された湿地のリストは条約事務局HPに常に最新のものが掲載されている.
ラムサール湿地保全賞 Wetland Conservation Award
湿地の保全とワイズユースの促進に多大な貢献をなした,個人や非政府機関,政府機関を認識し,その栄誉を称える表彰制度.湿地保全へのよりいっそうの継続的な支援を促すために決議.18で設立された.第7回締約国会議で第1回の表彰があり,以後3年に一度の(通常)締約国会議ごとに贈呈される.自薦,他薦を問わず推薦でき,常設委員会が受賞者を選定する.
リスク評価 risk assessment
湿地生態系の悪化(生態学的特徴の変化)を招く危険性(リスク)を,調査やモニタリングによってできるだけ早く察知し,そのリスクを取り除くことによって,悪化を防ごうとする湿地管理手法.
ワイズユース wise use
その湿地の生態系が持つ生態学的特徴を損なわないような方法で,その湿地が与えてくれる恩恵を将来の世代に引き継ぐことができるように,その湿地を活用すること.条文定訳では『適正な利用』と訳されているが近年は『賢明な利用』と使われることが多く,また英語表現『ワイズユース』がそのまま使われることもある.
渡り性水鳥 migratory waterbird
定期的に国境を越えて移動する水鳥.湿地を生息環境として利用するこれらの渡り鳥を象徴として,湿地環境保全の国際的な枠組みづくりがすすめられてラムサール条約に結実.
ワールド・ウェットランド・デイ/世界湿地の日 World Wetlands Day (WWD)
ラムサール条約が締結された2月2日を記念して,1997年から設けられた記念日.条約と湿地保全の普及啓発の機会として活用することが,条約の戦略計画ならびにCEPAプログラムに位置づけられている.
Swan 琵琶湖水鳥・湿地センターラムサール条約ラムサール条約を活用しよう●資料集●
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Last update: 2009/08/29, Biwa-ko Ramsar Kenkyu-kai (BRK).