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かわら版
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かわら版 2003.Dec

 エッセイ 鉄とクライミング

 上記の写真は芹谷の「誘惑のカギ穴」を登るN氏。なかなか力強いクライミングだ。
こういうこ気味のいいクライミングは、見ていても気持ちがいい。
人が見て気持ちいいと感じるクライミング、誰でもできるものではない。付け焼き刃でカッコつけても、人の心は動かない。
 「心・技・体」揃っての登りにこそ、我々は感動を覚えるのだろう。

 「鉄は、熱いうちに打て」とよく言う。
これは、鋼(はがね)を創る時のように若いうちに鍛えれば、将来いい人間になるという諺である。
世に言う名刀と言われる日本刀も、素材の善し悪しがすべての決め手になっている。そうしてたたき上げたものは、見た目の美しさのみならず、切れ味、強さ共にいいものになり、やがて多くの人々からそう呼ばれる。

 自分はどうか?

 残念だが、どうひいき目に見ても素材的に良いものとは言えない。
鉄で言うまだ熱い時に、十分たたいて冷やさなかったのがいけなかったのか。
いわゆる「なまくら」(切れ味の悪い刃物という意)である。

 そんな「なまくら」でも、自分もクライマーの端くれ。

 良い登りを目指して、今日も自分のクライミングに磨きをかける。
素材が悪い分、ちょっとサボると刃こぼれしたり切れ味が鈍る。
やわいのによく研ぐ分、チビリ(削れて小さくなってしまう事)も早い。チビった刃物は、見てくれも悪い。
 だが長く使ってる分、愛着はひとしおだ。
きっと名刀にはなれないんだろうが、クライミングを目指す限り鍛練を欠かす事は出来ない。

 研ぎ続ければ、まだまだ切れるはずだ。