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かわら版
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かわら版 2003.Jun

 『時代の流れ』

 先日、「こうもり谷再開放」のニュースが、ネットやメディア等を通してクライミング界に流れました。ここは、関西でも大きなクライミングエリアとして、多くのクライマーに長年親しまれてきた貴重な岩場でした。しかし、所有者や地元住民との間でトラブルや諸問題がたびたび起こり、ついに3年前程からエリアが閉鎖されていました。
 その理由は単一な事情ではなく、駐車場の問題や所有者の事情、オーバーユースによるトイレ等の問題やマナー低下によるクライマーへの不信感など、複数の事情が絡みあったことのように感じます。そうした経緯もあって、地元住民側が半ば感情的にエリアを閉鎖したことは、今思えば致し方なかったことかも知れません。

 でも、このエリアを開拓し大切にしてこられたクライマー達にとって、エリア閉鎖は無念な思いでいっぱいだったと察します。そこで良識ある地元クライマー達が集まり、エリアの開放に向けた会を発足し活動を展開されました。その活動の詳細についてはここではあげませんが、地道で草の根的な粘り強い活動であったことは間違いなさそうです。
 対話を重ねることで、やがて硬く閉ざされていた所有者や地元住民のみなさんの心を徐々に解きほぐし、クライマーに対する不信感を払拭されていったようです。このたびの「こうもり谷再開放」は、これまで献身的な活動を展開してこられたクライマー諸氏の努力と、地元住民の方々のご理解があっての事だと言うことを、我々はけっして忘れてはなりません。

CLUB [GAZ]でも毎年夏、芹谷屏風岩周辺の草刈り清掃作業を行っています

 

 目を転じて、このような問題を抱える岩場は、全国各地にまた私たちの地元滋賀にもあります。言い換えれば、こうもり谷のようにエリアが閉鎖されてしまう可能性が、どの岩場でも潜在的に存在していると言うことです。

 いつも通う岩場が閉鎖に追い込まれるような事態になった場合、あなたはこうもり谷に集まるクライマー達のようにできるでしょうか、岩場を守れるでしょうか。もしあなたが、その時には誰かがやってくれる、と思っているならそれは大きな勘違いであり、あまりに無自覚であると認識すべきです。

 残念ながら、この日本でこのような問題に対し、積極的に対処してくれる団体はありません。そして、今後においてもそうしたものの出現は、期待は出来ないと思います。メディアにしても、記事として取り扱ったあと個々にモラルを促す程度で、何の手助けもしてくれません。

 すべてのクライマーは、地元のエリアはそこに集まるクライマー達で保全していかなければならない、と言うことを自覚しなければなりません。

 個々が独立した存在であるということが、クライミングのすばらしい部分であると私は思っています。反面、核となる組織が無い分弱さも兼ね備えています。
 こうした弱さを補うためにもクライマーひとり一人が、自己の人格や品位を向上させる必要があるように思います。

そうしたことを、社会は我々に求めているのです。

 大多数のクライマーは、一般常識を備えた方々だと私は思っています。しかし、現実に諸問題がおきている以上、こちら側に非があることを認めなければなりません。かつてクライマーといえば岩登りの達人として世間は認知してくれていました。でもこれからは、それと同時に高い人間性も認められることが必要になってくるでしょう。

 何がいけないのか、どうしていけば良いのか、ひとり一人が考えなければいけないそんな時代になってきているようです。

 あなたは、時代の流れについていけますか?

岩を見たらそこを登りたくなるのが
クライマーの性

いつでも登れる環境にしていく為にも
そこを訪れるものには、自覚とその行動に
責任が生じる