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ラムサール条約

湿地保全管理の統合的パッケージ



ラムサール・湿地ワイズユース・ハンドブック 第2版(2004)第8巻「湿地の保全管理」の図1

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ラムサール条約湿地ならびにその他の湿地の保全管理のために条約が提供するツールの統合的パッケージ概要図

図1 湿地情報票 生態学的特徴 管理計画策定指針 湿地再生指針 モントルーレコード 湿地モニタリング計画 湿地リスク評価 環境影響評価

図1を文章で表現してみます.画面ならびに印刷には反映されません.

図1の表題は「ラムサール条約湿地ならびにその他の湿地の保全管理のために条約が提供するツールの統合的パッケージ概要図(原注1)」です.

図1には4つのボックスが2段2列に並んでおり,左上のボックスから時計回りに文脈が成り立っています.その順に,左上は「登録時における当該湿地の記載」と「記載の更新」について,右上は「保全管理計画の策定」,右下は「モニタリングの実施と影響評価」,そして左下は「保全管理行動」についての説明です.

ではボックスの各々の内容を箇条書きの書式で順に述べます.

  1. 左上「登録時における当該湿地の記載」と「記載の更新」
    • 「登録時における当該湿地の記載」
      • ラムサール条約湿地情報票を用いて記載し、条約湿地指定基準を満たすことを証明する。[この項目から右上のボックスの第1項目へ矢印が結ばれています.]
      • 指定範囲を示す詳しい地図を添える。[この項目から右上のボックスの第1項目へ矢印が結ばれています.]
      • 当該湿地の生態学的特徴を明瞭に示す(決議Ⅵ.1)。[この項目から右上のボックスの第2項目へ矢印が結ばれています.]
    • 「記載の更新」
      • 6年ごとに(適切な場合はそれ以前にも)当該湿地の記載内容ならびにその生態学的特徴の明示を最新のものにする。
  2. 右上「保全管理計画の策定」
    • 決議5.7ならびに決議.14に採択された条約の指針を適用した管理計画を策定する。計画書には当該湿地の記載や地図も含める。
    • 当該湿地の生態学的特徴を維持することが、保全管理行動ならびにモニタリング体制の基礎となる(下記参照)。[この項目から右下のボックスへ矢印が結ばれています.]
    • 利害関係者との協議のもとに保全管理計画を策定し、それによって分野横断的な管理委員会の設立が導かれる。
  3. 右下「モニタリングの実施と影響評価」
    • モニタリング体制は、保全管理計画の一部をなし、同計画の定例見直しの基礎を提供する(決議Ⅵ.1参照)。[この項目から左下のボックスの第1項目へ矢印が結ばれています.]
    • モニタリングの結果必要とされる場合に、湿地リスク評価を実施する(決議Ⅶ.10参照)。
    • 必要な場合は当該湿地への影響評価を、当該湿地範囲の内外で計画され当該湿地に悪影響を及ぼす可能性がある活動提案に対して実施する(第11巻参照)。
  4. 左下「保全管理行動」
    • 当該湿地の管理活動の一環として、保全管理計画の定例見直しに反映させるために、規則的なモニタリングを行なう。[この項目から右上のボックスの「記載の更新」の項目へ矢印が結ばれています.]
    • [適切な場合は、管理対応として再生や回復計画を立案する(決議Ⅷ.16参照)。]
    • 適切な場合は、条約事務局あるいは締約国会議に対して、当該湿地の生態学的特徴の変化あるいはその可能性を通知し、モントルーレコード(原注2)に当該湿地を登録し、条約の諮問調査団(原注3)の支援を受ける。
    • 諮問調査団の報告に基づいて保全管理計画を改定し、管理の取り組みを改善し、その生態学的特徴のその後の変化(改善されるか悪化を続けるか)をモニタリングする努力を高める。
    • 適切と判断された時点で、モントルーレコードから当該湿地の登録を削除する(決議Ⅵ.1、Ⅷ.8)。

原注

  1. この図はラムサール条約第7回締約国会議文書25所載の図を更新したものである。
  2. モントルーレコードとは、決議5.4で設立された「生態学的特徴が既に変化しており、変化しつつあり又は変化するおそれがあるラムサール登録湿地の記録(モントルーレコード)」である。
  3. ラムサール諮問調査団は、以前に管理ガイダンス手順と呼ばれた。

以上で,文章での図1の表現は終わりです.

この図はラムサール条約第7回締約国会議文書25所載の図を,2002年の第8回締約国会議に採択された決議やその付属書等の情報を組み込んだラムサールハンドブック第2版のために更新されたものです.個々の湿地でその保全管理に取り組むための追加資料として,同ハンドブック第8巻に収録されています.
 個々の湿地での取り組む際には,このパッケージに対話・教育・普及啓発(CEPA)行動計画づくり☞ 追加手引きを適切に組み込むとよいのではないかと思われます.
 図の文中の引用の部分に当該の指針等和訳ページへのリンクを張ってありますので,ご参照ください.



[英語原文:ラムサール条約事務局,2004."Summary diagram of the integrated package of Convention tools for the management of Ramsar sites and other wetlands", Figure 1 (on page 7) of Ramsar Wise Use Handbook 2nd edition Volume 8: Managing Wetlands, May 2004, Convention on Wetlands (Ramsar, 1971). http://indaba.iucn.org/ramsarfilms/lib_handbooks_e08.pdf
[和訳:琵琶湖ラムサール研究会,2006年2月;この図に第9回締約国会議で採択された手引き等を組み入れた試案を解説「湿地の賢明な利用」新しい定義の図3に示した,2006年10月.]

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URL: http://www.biwa.ne.jp/%7enio/ramsar/cop7/cop7_doc25_f1jr.htm
Last update: 2006/10/06, Biwa-ko Ramsar Kenkyu-kai (BRK).