日々、在りしことども



雪待月二十八日
死を想う。――多分、自分のそれがむしろ楽だ。
周囲のそれとは違って、終わってしまえば以降はなく、思い出したり悩むようなことも ない。ただ、どうしようもない現実というものを受け入れればいいだけ。

思い残すようなことなど一つだけ。『まだ完結していない新刊が!』
雪待月二十六日前後
手荒れ蛍光灯異音少々、これといって相も変わらず書くようなこととてないが――
……図書館に住むにはどうしたらよかろう?
雪待月十九日
『メモリアノイズの流転現象』読了。
つい先日、溜まっていたブギーポップシリーズも一通り読み終えたところだが、そろそろ山場の予感を漂わせつつあるあちらとは違った味わいで、こちらもかなり楽しめた。
前巻は紹介編というか、身は詰まっていたものの今一つ気に入った印象がなかったが、 今回は何作も本を書き上げた作者ならではの筆力というか、自然に最後まで流れるが如く読み切ることができた。
正直、氏のは名の売れているブギーポップより『しずるさん』とか『〜事件』をちょっとした楽しみに思っている。作家として脂がどんどん乗っており、これからもますます書き綴っていくだろうことを思うと、経営の安定した大手老舗茶菓子メーカーのような、幸せの存在をそこに感じる。

これからも良き茶のお供を。
雪待月十八日
大分体調はマシになり、夕にはほぼ峠を越した。
その頃になって初めて自分は『風邪薬』なる物体が世界に存在することを思い出し、 家人はこちらの風邪を疑ってきた。
――今冬の予行演習とでも思っておこう。

掲示板の不愉快な書き込みについてであるが、ここの掲示板は借り物どころか、何でまだ使えるのか、貸している方も借りている私も数年前より首を傾げているような代物で、 よって管理者権限による削除は掲示板の変更という手段によってのみ可能になるかと思う。
とりあえず放置し、不愉快が際限なく増すようならばそのようにするが、それまではどうか皆様、壁の模様ぐらいにお考え下さるよう、お願い申し上げます。
雪待月十七日
風邪気味で体調が悪い。
しかし体温など確認したわけではないから、気のせいかもしれない。
病は気からと言うし、きっと気のせいだろう。
いや、ならばこそ気のせいと信じれば、例え病気であったとしても健康になるのが道理。
なんだ、私は健康なのだ。健康だ、健康だ、私は健康健康健康あはははは。


『シフト』読了。
なんか途中ですぱっと違う方向に話が走って終わっているが、面白くないわけでも詰まらないわけでもなく、それなりに満足した一読者としてはあれは尻切れ打ち切りトンボではなく、起こりうる日常や定番的展開を排除し最高のエッセンスだけを提供したのだと、自分を誤魔化したり。
――大長編として最後まで描き切れば、冲方丁の『ばいばい、アース』に匹敵する一大異世界ファンタジーを構築しそうな予感があっただけに、ちと残念。

珍しい御仁より電話、図書館に本。本日以上――にあらず。


いや、寒気がするんですけどね、そんな体温が上がっているように感じないし、幾ら着込んでも寒いだけで、そういやまだストーブ出していないし、これは冬近くになるとやたら眠くなる毎年の冬眠現象……
大体、発熱や悪寒というのはひいてしまった風邪を治そうと体が動いている証拠であって、風邪の引き始めどころか最早手遅れな状態だというのは事実であっても後ろ向きな考え方でしかなく、病人がそれではいかんよレッツ・ポジティブシンキングということで、本当に風邪であってもそれは既に終わっており現在この体は治療中。そう考えれば何の不安も無く後は元気になっていくだけ、この苦しみもむしろ嬉し喜ばしってもんよヒャッホーヒャッホーええい、だから寒いんだよこん畜生!

さらに状態が悪化した時に備え、スポーツドリンクを枕元に。本日以上。
雪待月十四日
日常、自分の住んでいる地方を意識することは無い。
が、日頃聞いている京都発のラジオにて『ブッシュ大統領の入洛に伴い』の一言を 耳にする。
常は訛りの無い綺麗な発音だが、それでもやはり地域というものは背後に存在するようだ。
雪待月二〜六日
二日ごろに久々、人と飲んだ。
一日前後に、『電話』ネタについて妄想を巡らし、脳内麻薬の分泌に一人で成功する。
……この技術が日常にまでなれば、さぞ幸せに自分は過ごせようものの。
雪待月一日
『Fate/hollow ataraxia』了。
まだ少し埋め切れてはいないが、粗方食い終わった。マニュアルの方に、『最もFateを弄くり、こねくり、はっちゃけられるのはタイプムーンなんだッ』というコメントがあったが、まさしく そういう作品。
存分に楽しめたが、出来が良い分、ついこれがファンディスクということを忘れ『Fate/stay night』と対になる、あるいは続編のような目で眺めてしまい、物語長編王道一本槍だった あちらとの比較で、やや食い足りなさを感じてしまいなどもした。


以下、放言。
何故かネコ氏に一目で強く惹かれるものがあったとか、慎二の魅力はあの余りのへたれっぷりにありとようやく気付いたり、港での一連の騒動が笑えたとか、エロを入れるなら入れるで割合とかもう少し色々考えるべきではなかろうか質は問題ないけど、
などと、思い付きなどしたり。

まあ、十分に満足のいく出来ではありました。御馳走様。
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