日々、在りしことども



雪見月二十八日
午後、父の車の後ろが潰れたと連絡があり怪我は無し。ほんの数日前には駐車場で がりがりっ、と他の車との友好を深めたばかりで、更に購入した一年半ほど前には 直後に横半分がひしゃげ、それぞれ誰も負傷者がいないという素敵なジンクスを持つ 車だが、そろそろ物理的に限界だろうと思う夜。

そういえば少し前には叔父が、対向車線から空を飛んで降って来た車と正面衝突し、 現在入院中だったはず。
厄年というより、良く走る車が日本中に増えたということだろう。人の安全意識などに期待はしない。安全装置の機械的な発展をより願う。
雪見月二十〜二十六日
大雪。
下の本の整理。
雪見月十九日
本日更に大雪。
昨日、父が嬉々として買ってきた除雪器具を使う。シャベルの先がブルトーザー前部のような形状をしており、掬い上げることには向かないが、ひたすら押すだけに特化はしている。
成程、多くの通路が舗装されている現代日本において、これほど便利な除雪器具もない。
モップ掛けのような気楽さと格段に少ない労力で白い道路を黒く変えた後、今度は普通のプラスチックシャベルで普通の雪どけを堪能する。

――幸せだぁ。
雪見月十八日
あのようなことをほざいたためか、本日起きれば雪景色。久々の雪掻きへと駆り出される。
雪見月十七日
ここ数日、えらい寒気だの大雪だのと日本は大変らしいが、この近辺は連日夜になっても 雪雲どころか塵一つ感じられない絶好の放射冷却日和。
『今晩夜半から〜』と地域天気予報は言ってくれるが、やはり雲など天蓋の端にしかなく、 雪好きの当方としては悪辣な異世界に迷い込んだかのよう。例年になく早目の初雪に、心から期待しているというに。

午後、祖母の見舞い。
大分車に弱くなっていたようで、小学生並みに酔う。運転している場合はまだ大丈夫なのだが。
雪見月十六日
最近見つけた小さな幸せ:軽い運動で筋肉が張ると、体がぽかぽかして暖かい。
雪見月十五日
影が出来るような満月の夜というのは、やはり別物だ。
雪見月十三日
朝、薄っすらと周囲は白。
雪見月十二日
水仕事をする者の常として、手荒れがある。まあ今冬はさほどでもないが。
朝方、風呂の灯油タンクの底に溜まった十数年分の変質灯油を除去する。
ゴム手袋を用いたものの、すべすべになる右腕。これで体に害がなければ今頃化粧品 業界を席巻していように。
雪見月八日
『終わりのクロニクル』最終巻を入手。人が伝説となる瞬間に立ち会った。何だこの分厚さ。
分冊とか文庫本という言葉に悪質な喧嘩を売り尽くした結果の形。或いは書籍がサイコロへと進化する途中の証明。糊付けの包み製本でここまで可能という技術力には正直見直したものがあるのだが、それでも長期保存、幾度もの読み返しに耐えられるとは到底思えず。読者に余り優しくない作り。真ん中辺りで二つに裂いて読む人間がいても、こればかりは余り怒れそうに無い。
雪見月六日
早くも初雪。
ただ、薄っすらと白くなっているだけで、降ってくるその場を確かめたわけではなし。
昨夜からの雨を考えるとみぞれに近いか?

炬燵で寝る。最近、長らく使っていなかった日本人DNAがやや活性化。
――温度調節が微妙に快適で、上布団部の長い睡眠用炬燵なんて出来んもんだろうか。
雪見月五日
ここ数日、極めて冷え込む。
夜、雨。雷の響きが気持ち良い。

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