日々、在りしことども



鳥来月二十七日

鳥来月十九日
『王様の仕立て屋』を読む。
馴染みの無い分野の薀蓄に、矜持や生き様、人間ドラマを絡めた作品ならば、『ギャラリーフェイク』や『ソムリエ』辺りがまず思い浮かぶが、その二作に比べるとこれは漫画的な面白さが強いように思う。無論、どちらが良い悪いではなく、『そこも魅力なんだ!』と力説できる要素としてだ。
結構な巻を重ねているが、まだまだ弛み終わるような気配も無い。是非、これからもあと二十冊三十冊と続いて欲しいものである。

追記:マルコはこの場合、実は女の子でしたってのが定番だろうとずっと思っていた自分は、 パターンだとかに色々大分毒されているようだ。そう、色々と。
鳥来月十四日
夜の散歩、霧、蛙、四辻。
鳥来月十三日
追記:
下の雑記など、どうでもいい。MADは芸術だ!

もう長らくMAD鑑賞は稀という程度のものになっていたが、某競宴を聞きつけ、早速拝見する。
二次創作がどうした、過剰加工が何だ、空気の浄化にも植物の成長にも天体の運行にも関係せず、ただ 人の心を振るわすというのなら、それが芸術以外の何ものであろうか!!

興味が無くなった、それがただの錯覚に過ぎないと脳を揺さぶってくれる本物に耽溺しながら。



アジアというのがイスラエルさえ含んだ地域の呼称だと、今頃になって知る。
トルコが、という話は聞いたような覚えもあったが、ユーラシア大陸からヨーロッパを除いた 全てをさすとは、流石に思わなかった。イラクもサウジアラビアも亜細亜とは。
日本国内にしてもそうだが、苦手だった小学生時分の白地図が少しずつ、この歳になって埋まりなぞする。
恥を自覚するのも、また趣き在り。

――日本のほかには、南北朝鮮に中国。それがアジアだと言い切って顧みない彼等は、別に世界における日本の姿とか、本当の意味でのアジアの気持ちとか、実際のところどうでもいいんだろうな、ただ罵ることができれば。
鳥来月十二日
筋肉痛にはプロテイン。
鳥来月十一日
紫外線の力か、それとも単なる日照時間の長さによるものか。窓近くのネギが異様に伸びている。
夕刻、久々に走る。体力より視力の低下が目立っていた。
鳥来月十日
体調を整えるため本能に従って大量の生野菜を摂取。

『リリアとトレイズ W』読了。
伏線は投げかけているものの、話自体はきちんと収まっており、よろし。
これはまあ昔からだが、山菜料理を味わっていたら、中に毒草が紛れ込んでいたかのような 味わいも、変わらず。
特筆すべきはトレイズ。普通、これだけ動いていたならばヒーローとして主人公の面目も立つものだが、 印象はものの見事に『へたれ』の一言に尽きる。筆者氏の力量もあろうが、人間、押さえるべきポイントを一つ外してしまうと、他の評価もそれに伴って不当なまでに落ち続けるものだなと、古い知人の顔を思い出す。

徒然なるままに本日以上。
鳥来月九日

鳥来月八日
日きつく麦高し。
正直、こんな季節はいらない。
鳥来月六日
明日は雨らしいので、日が暮れて後、まだ明るさの残る頃合に近所の藤棚へと赴く。
丁度咲き頃で、例年のように熊ん蜂もおらず、頭に掛かる花房を避けつつ真下にて佇み、 ほのかな香りと共に季節を堪能す。
ここは余り規模が大きいわけではないが、花豊かで人も居らず、それなりの穴場だ。
穴場過ぎて、不審者として通報されても文句一つ言えないような場所にあるが、まあ今のところ それはまだない。

付近の花壇なども愛でつつ帰る。名も知らぬ鮮やかな青が曇天の下、とても強く焼きついた。
視力の低下なども感じつつ、本日以上。
鳥来月五日
明朝の日の出は四時台だとか。紫外線も、この頃が一番きつい。
肌で世界を感じ取っていた時代では、夏至こそが夏であった。
現代では暦と残暑に悩まされるが、ひょっとすれば彼等こそが正しい。

筍を頂く。
大たらい一面に浮く姿は、何と言うか小さな一般家庭向けの光景ではない。
それを、『えぐみが抜けきってないんじゃないか?』と呟きつつ皿一杯の焼き筍を平らげ、更に 薄味で煮たところに木の芽味噌をつけて口へ運ぶ親爺殿もまた、あまり一般ではなかったよう。

老若男女、皆好物は別腹か。
鳥来月四日
花一題、台所設備二題ほか。

玄関を潜る時、足元の鉢に揺れる藤の花。すっかり忘れていた時節に、驚く。


冷蔵庫が壊れた。昨夏から騙し騙し使っていたのだが、冷凍庫の上段が全滅。
整理も兼ね、山のようなじゃこを、同じく凍らせておいた山椒の実で炊いてみたところ――入れすぎて舌が痺れる。
深更に分解して木槌で奥の氷解を破砕。アルコールで清掃しながら(意外なことに良い芳香)、昨年も似たようなことをやっていたと思い出す。

ついでに書けば、先日ガスコンロが新調された。新機能が付いており、何でもある程度放っておくと自動に消火機構が作動するという、現代的な安全設計。成程、これなら火事の心配はない。結構なことだ。 思うに、このガスコンロ設計者は料理を余りしないのだろう。長時間煮込むとか、次から次に火を使ったり。
早速新機能に頼んでもいない調理のサポートをされ、ちと戸惑い。
この古姑は、新しく家にやってきた気配り上手の嫁が気に入らないらしい。他人ごとみたいな感じだが。

他、電信読書少々あれど、以下略。
本日のこと、徒然適当に。


追記:
『月巫女〜』の、読了。結構楽しめた。
あまり読まないが、スニーカー文庫は岩佐まもる氏や麻生俊平氏、そして今作のように地味な良作が結構隠れているように思う。そして、隠れたまま消えていっていると、しみじみ感じる。
――うわーっ、馬鹿ーッ。絵師の萌え絵度数が全てじゃないんだーッ。何で読んでちゃんと楽しいのに、表舞台から消えてくんだーッ!
甦れ、『星虫』の如くと、月に呪いをかけながら。
鳥来月一日
今更だが。このサイトの月の異称は大半が故意に間違えられている。
大体、前月にもちうべき呼称を流用しているとお考えいただきたい。
理由は、旧暦と新暦の差であり、現実の季節感に合わせた結果である。
他、細かい説明及び理由は割愛する。
以上、徒然と早くも暑い初夏の日に。

夜。酒屋にて叔父と遭遇。彼は先に会計を済ませた後、何故かレジに置いてあった業務用加湿器の 交換用と思しき大きな透明のプラスチックタンクを持ち上げる。
『……なんです、それ?』
『おお、これか。焼酎八リットルよ』
確かに量り売りはしているが、叔父貴。酒豪とはいえ、一人暮らしのあんたがその量の買い物は色々不味い。
使い込まれているタンクの姿に、色々思う初夏の宵。



さて。正直なところ、この場所では政治を語りたくない。あれには結局のところ果てというものが無く、適当なところで無理矢理落とし所を作るしかないからだ。
が、自分の暮らしている地元で良質のネタ、もとい無言無関心ではいられぬ件があったため、本日不本意ながらもこうして筆を取ることとした。

稀に新聞に挟まれている地方紙がある。といっても、旨い店や祭事、新名所と成り得る場所の紹介をする地域活性の――タウン誌、とでも呼んだか?――それではなく、一枚紙の裏表にひたすら文章を刷った、政治色の強いものだ。地方議会ネタを取り上げたりして、いささか主義主張が強く攻撃的な感はあるが、 政治啓発の広告新聞など大体そんなものではなかろうかと自分は思う。
で、本日のこととなるが、普段とは違う、見慣れぬ新しいソレが新聞の間に挟みこまれていた。
新しく発行されたもののようだ。議論が活発になるというのは、視点が広がり交流が増えるということでもあり、実に結構な話だ。そう、笑顔で手にとって読み始め――顔がひきつった。
新聞綱領を引き、民主主義を支える「知る権利」の柱となるのは公共メディアだと、冒頭少なくない紙面を裂いてはいるが、残りで訴えているのは先日の新町選挙と現在の議会人事の問題点を強く指摘した……つもりなのであろう。多分、本人は。実質、感情的な誹謗中傷である。
よほど今の町長と、もう片方の町長を攻撃した別一枚地方紙が憎いらしいが、完全に逆の効果が働いている。むしろこれではまるで、品性を落とすため敵陣営が騙った怪文書。

……誰か、止めてやる友人はいなかったのか?

別地方紙の行為を非難するが、選挙に関連して問題のある候補を指摘したり、それに関わるスクープをすっぱ抜くのは報道関係としては別に普通のことだろう。発行物の公平性が云々と誰より私情満載の文章で書いているが、メディアに必要なのは客観性と正確性と常識的な公平性であり、主義主張を持ってはいけないという訳ではない。
共産党がお嫌いらしく、皮肉じみた書き方をしているが『何か裏で大きな力が働いたのか、あるいは何があったのか疑いたくもないが、今日までの同党の言動などから勘ぐりたい』素直すぎて言いたいことが良く解る。少なくとも自称新聞社の記事として載せて良い文章ではない。
さらにはスポーツ新聞並みの扇情的で要点を省略した意図的誤誘導見出しの、論点が明後日方向の個人攻撃をしており――これが噂の同和利権関係者というやつか。でなければ、何年も前に当人ではなく親戚の人間が同和問題に関わったというだけで、ねちっこく掘り返し、現在の彼の人間性まで否定するこの文章は同和問題を悪用したやくざの所業である。是非、同和に関わる人権問題として取り上げて欲しい。

――自分が子供の頃は、本人に何の責任もない生まれで差別することを戒める教育を受けたものだが、最近ではそうでもないらしい。彼が差別したわけでもなく、そのように勧めたのでも、それどころか問題解決のため尽力したとあるのに、それが理由で就職差別を受けるとは。嗚呼、悲しいかな社会も変わったものだ。

閑話休題。 ちなみに、前選挙で共産党は同和利権終結を強硬に主張していた一陣である。

他にも、よっぽど頭にきているらしく、色々人名をあげて非難しているが、中にはそれが誰なのか説明されていない文章もあった。執筆者にとっては説明の必要もない不倶戴天の敵なのかもしれないが、一般市民にとっては初めて見る名だ。ちゃんと、それがこれこれこういう立場であり、このような形で取り上げ非難されるべき公人であると、書くべきであろう。肩書きなら数文字で済む。紙面には埋まっていない空白もあるし、こんな感情的で下手な文章なら、幾らでも整理し削る余地はある。誰が認めたかは知らないが、仮にも自称新聞社を名乗るならば、その程度の労を惜しむことは許されまい。

ともかく、そんなこんなで実に面白い。論功人事や肩書き詐称など、一町民としては気になる記事も幾つか取り上げているというに、徹頭徹尾こんな内容のため、結局は誹謗中傷のため手当たり次第に掻き集めてきた胡散臭い話の一つに落ちてしまっている。

成程、真摯な敵より、ロクデナシの味方こそが、真っ先に潰すべき害悪なのだ。

見れば、既にこれは四号なのだとか。不覚である。こんな面白い存在に今の今まで気付かなかったとは。
この突っ込みどころ満載の私情怪文書が、裁判や議会で袋叩きになった挙句、警察にしょっ引かれ発行停止になるのが先か、それともなんらかの奇跡的な力が働いて、地方論客の一角を担うようになるのか――

優しい目で見守って生きたいと思う。

――三流の踏み台悪役も、たまには話を面白くするんだなと、物語の妙に感じ入りつつ。
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