日々、在りしことども



雨月二十九日
雨というのは存外馬鹿に出来ぬようで、そう激しく降った様子も無いのに、しっかりと深く水が張っている。
鷺草の位置を最終的に決める。浮かべているのでぷかぷか動くが、本来なら太陽の当る方向すら変えはいけない植物のはず。正しい浮舟式栽培箱ならばそのようなこともなく、改めてあの良く完成した構造に敬意を抱く。
雨月二十八日
鷺草と睡蓮の植え付け。池は、自分が赤子の頃、風呂として使われていたプラスチックのものを小屋から引っ張り出す。
鷺草は重く感じたので、土から取り出して水苔に埋め直すという暴挙に及ぶ。
発泡スチロールの意外と強力な浮力により、無事に浮かぶ栽培箱が完成。睡蓮は適当に普通の鉢に植え込んで、池の隅に置いた。
後は水を張るのみ。幸い、本日から雨とのこと。バケツ等の容器も並べ、現在採水中。

――と締めたいが、『一時間に百ミリを越す』のは『大雨』で、半端なお湿り程度のこのざまでは、明朝まで掛かって一センチを越えられるかどうか。睡蓮の葉が浮くようになるまでは半月を待つ必要があるやも知れぬ。
夕立起これと、切に願う。
雨月二十七日
鷺草と睡蓮を購入。前者は昔に枯らしたが、このたび『浮舟式(猿渡式)栽培箱』なる素晴らしい栽培法を聞き知り、今こそ再挑戦すべしと天啓を受けた。ちなみに最大の敵は水道水、そのアルカリ性と殺菌カルキだとか。
後者は、気が付いたら白色のを手に取っていた。
鷺草と睡蓮と源平枝垂。年老い果てるまでに育ててみたかった植物三種に、本年一度に手を出した。これで人生、もう大分悔いが無い。

やって解る。――私の死ぬまでに一度してみたかったは、大概どれもとても安い。色々と微妙なラインだから、あえて急ぎやる必要も意欲もなく、ずるずると気付けば十年越しの悲願とかに育っていたりする。
我ながら、阿呆だ。

明日は早朝より工作・植え付け。麦酒ケースぐらいの棚が欲しいのだが、さてどうしよう。
雨月二十五日
花について思うこと在り。
雨月二十一日
夏至。

雨。あと、暑い。何故か汗が噴き出して止まらぬ。

夜、何年振りかに回転寿司を食いに行く。色々な具が在り面白かった。
このカルパッチョやマヨネーズ和えや焼いてるのは、つまり干乾びた具の再利用かと 思うと、更に楽しかった。味? 次からは別の系列に行こうと、個人的結論。
帰路、喫茶店を探すが彦根の洒落たところはまた貸切。結婚関連らしく、手紙の朗読だか贈る言葉 だかが聞こえてきた。

住宅地の中で、初見の店を訪れる。柚子茶があったので、それを嬉々として頼む。
出てきたのは透明な甘い飲み物。入っている柚子皮は金柑のように甘く、茶葉の要素など何処にも無い。
此処に至ってようやく柚子茶とは柚子皮の蜂蜜漬けを水に溶いたものと知る。
そういや韓国の主要輸出品の一つだったかとようやく思い出す。
まあ、雰囲気など悪くは無し。次は機会があればモーニングでも頼まんと思フ。
雨月二十日
雨。そう強くないように思っていたが、止まず降り続けているため、それなりのよう。
雨月十八日
図書館にて珍しくも骨董屋の若旦那にお会いする。併設館が結構買ってくれるのだとか。
「お久し振り」といって腹を叩こうとする。「ぱっと見、誰か解らんかった」と笑いながら腹を叩こうとする。「また飲みに行かん? 四番町の方に良い店が」とそれでも腹を叩こうとする。

――自分の腹はそれ程ですか?

追記:『正春』の柚子リキュールを近所のスーパーにて入手。先日は、量販店でも見かけた。結構、出回っているのかもしれない。
雨月十五日
夏至が近い。夕の空気が特に心地良し。
今日も太巻き。
トマト病。好きでもないのに食べだすと止まらない。連日食卓に供し、何も付けずに貪っている、――ビタミンが足りてないのか?
雨月十四日
源平枝垂れの枝が異様に伸び、かなり大きな鉢植えなのに幾本か先が地面に擦っている。で、さっくり落としてみた。
その枝を、赤玉土へと挿し木してみる。
桃は接木するものだとか、季節も、挿し木にする部分もよろしくないとか、否定的な面ばかり思いつくが、この道の先人曰く、
『十本やってみて一本でも発根したらラッキー』

植物に関し、実に含蓄溢れる名言だと思う。
雨月十日
本日も蛍狩り。
昨夜の場所に行こうとしたら、家前の川の下流にたくさん居たと情報を聞く。
薔薇園の向こう、川が曲がり始めている付近。土手の雑草がちと邪魔だが、二三十匹の群舞を見る。これならうちの前まで迷い込むものも出ようか。しばし季節を堪能す。
雨月九日
夕食後、蛍狩りに。近所で源氏蛍が大量発生したそうで、『御旅所北側の水路に看板を立て〜』と有線放送で紹介されており、ぶらりと歩き行く。
雨上がりであったが冷え込んでおり、時期はやや遅れ、時刻はちと早目。それでも細い川に数匹の光があり、呆と眺めているうちに、草むらに佇むもの、木枝に灯るもの、やがて飛び来るもの、少しずつ数が増える。
近所の家族連れなども居たが、子供が大喜び。歌うはしゃぐ道に転がって親に叱られる。正しい在り様。
帰り道、家前でやはり源氏を見る。ただし、どうも気力に欠けて見える。

昔はもっといた。時折、増えて湧く年がある。これが一時のものでなく、また増えていく始まりであればいいなと思う。
異常発生して嫌がられぬ虫も珍しいと思いつつ。
雨月七日
そろそろ蛍の季節。例年の名所より家の近辺で飛んでいると聞いたので、深更、何気なく出てみて本当にすぐ家前で見る。川の上を飛んでいるの、少し下流の橋下で光るもの。
明日は、違う川の周りを歩いてみるか。
雨月六日
鉢植えにした源平枝垂れの下の枝が育ち過ぎていて、そろそろ枝先が地に付きそう。本体の幹は全然育っておらず、何と言うか本末転倒。

午前、出る。麺類が馬鹿に高い。近所のブックオフがどうも潰れているように見える。
眩しい中、ぼんやりと空を見上げ、雲の中に青を探した日。
雨月三日
メモリを買いに。正月から千円ほど値上がりしていた。
容量倍、さらにそのデュアル。動きが改善される。
アンチウイルスソフトの再インストールは後回し。DVD再生の方をいじるが、音楽CD、データDVDは読めても、動画DVDはそもそも認識しない。あれこれ試行錯誤を繰り返し、本日敗退。いきなりの二枚差しで壊れた窓の修理に、色々もっていかれたせいでもある。

なんで他人のパソコンのためにここまで苦しまにゃならんのだと、愚痴っても心動かず。紅茶だけが私の味方だ。
雨月二日
梅雨入り・朝顔も発芽。

メタボ付き健康診断。身長が記憶より一センチほど伸びていたのは、この十年の間に足裏の皮が厚くなったで済むが、体重が――96。
連日、背中で手を繋ごうと四苦八苦しているのが背中の筋肉を広範囲にわたって動かし、燃焼を起こしているのだろうか? ここ数日減酒減麺ついでに夜食をとっていないような気もするが、それならば偶にあること。
リバウンドが待ち遠しい。
もし、このまま体重が幻の95を切って、さらに90を目指すというなら――
とりあえず月末には病院へ行こうと思う。

糖尿病や癌でも人は痩せる。
雨月一日
体重が落ちている。しかし、何かをした覚えは無い。
むしろ体調管理に失敗し続けているような気しかしないが、数字は確実に下に。
鏡に映った自分は妙に老人めいていて。
ああ、筋肉が落ちたのか?
髪も、ごっそり薄くなってきているような。
空気が嫌に暑い。
これが最期の夏か。


準日常食だった麺とウイスキーが足りてないからか?
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