日々、在りしことども



燕去月三十一日
久々の晴天。蒼天の下では早くも稲を刈る姿も。
コンバインに大きなビーチパラソル(ゴルフパラソル?)を日除けにつけるのが流行っているようだ。接続器具とセットで農協辺りが売り出したのだろうか?

白メダカ、本日も産卵の気配なし。これはもう、水槽を室内に置いたのが間違いか。また、水槽内のミナミヌマエビの稚エビ、全滅の模様。先日の水質悪化で参ったか、メダカに残さず食されたか。
睡蓮、未だ伸び上がらぬ花芽は腐ってこそないが、池の水質がやや悪化。メダカは底に、エビは水面で、半死半生。
一方、月半ばまで熱帯睡蓮を入れておいた巨大バケツで、ミジンコ繁殖に成功する。
綺麗に洗い、水道水を満たして一日二日。種となるミジンコ少々と、発酵鶏糞の代わりに睡蓮肥料を砕いてその欠片を投入。また、種水としてメダカ池などの水を入れていたところ、恐ろしい勢いで増加中。
子を産んで増えるのは良い。ただ、それが大きくなるまで二三日――かかっているのか?
白メダカに生餌としてたっぷり与えているが、食い残しどころか一晩たっても大量に泳いでいる。このまま馬鹿をやれば水槽内でも増やせそうだ。


メダカ睡蓮エビミジンコと、この夏の風情を記して、本日もこれのみで終わる。
燕去月三十日
ここ数日、とても寒い。八月の終わりとは此処まで冷え込むものであったろうか?

ブルーベリー酒を本年は大量に仕込んだ。あの色合いと風味、そして夜目に良いという薬効がとても気に入っている。ウヲッカで三瓶。本年は実は大きいが甘さが不足していた。それでも氷砂糖は控えめに、甘さを抑えて仕込む。
勿論、まだ飲めぬ。寝かすのは最低三ヶ月。今飲んでもあまり美味しくない。
反面、度数が高いためつい飲みすぎて二日酔いになりやすい。

――と、既に瓶一本分の、三分の二ほど干した愚者の言。我慢が足りぬわ。
燕去月二十九日
各地で集中豪雨の被害が出ていると聞く。この辺りにも、警報が出た。
が、何故かしらピンポイントに雨雲が避けていっているらしく、曇り空からたまに ぱらつく程度。睡蓮池に、ざっぱざっぱと降り注いで欲しいものだが。

鷺草の下に長く伸びている緑色の蜜袋。蜜は目で影が見え、押すと筒の中を動く。――さて、どんな味がするのやら。
燕去月二十八日
瓶の黒メダカも一匹御昇天。やはり酸欠か。
燕去月二十七日
メダカ飼育記。

白メダカは本日も産卵せず。痒いのか、体を擦り付けるような仕草をするものが――って、もしや白点病の初期症状っ!? 
現在、暗い部屋隅で震えながら経過観察中。なお、同水槽でミナミヌマエビの稚エビを発見。メダカの口には微妙なサイズ。もし食われないのなら、二桁単位で増えていくことになる。抱卵個体は三匹前後。
ミジンコをこれでもかと投入し――全部食われたが――明朝の抱卵を期待する。

ヒメダカ、どうも一匹が雄のようなので、少ないヒメダカ稚魚を増やそうと一つの瓶に入れる。昨夜、すぐに産卵を初め、今朝には二匹とも死んでいた。……水質が悪化したようにも見えず、突然死に困惑と悲しみを覚える。なお、一緒に放り込んでおいた薄水色のミナミ二匹は、体色変化も見せず、変わらずに元気。

屋外だが、産卵が止まりかけているよう。採卵用に束ねた毛糸は、エビ達が群れぶら下がっている。笹や葉の付いた小枝を束ね、水に沈めて小魚やエビを獲る柴漁を思い出す。
燕去月二十四日
本日も冷え込む。夏の終わりではなく晩秋の域。

屋外メダカ池の清掃と整理。正確には、温帯睡蓮と熱帯睡蓮の手入れ。
前者はホームセンターで初夏に入手したもの。結局花の一枚もつけなかったが、肥料を与え日向に移したところ、最近になって急に勢い良く育ち始めた。
盆を過ぎ、適度な温度になってから再び盛んに花をつけることもあると聞く。事実、引き上げた鉢には始めてみる蕾が頭を起こしていた。追肥して、期待と共に水に戻す。

熱帯睡蓮は狭く汚れていた巨大バケツから、超巨大四角タライへ移動。
犬だって洗えます。幼児ぐらいなら泳げるでしょう。明らかに一般家庭には不要すぎる120リッター、こんなん買う馬鹿の顔を、私は毎日飽きるほど見ている。
まあ、睡蓮池の広さはあればあっただけ良い。まだまだ咲く気で複数の蕾を用意しているドーベンにも追肥を施し、水の足らぬタライへ移って貰う。毎日のように花は咲いていてくれるので、次は複数の花を同時に見たいと、ささやかながら贅沢に望む。


で。睡蓮より面倒なメダカ作業。
既に底の泥に潜って冬眠準備を始めている連中が――しかも図体の大きい奴らから――居たとか、子メダカが孵化した割には残っていないとか、アオミドロのはびこっているところにもミナミヌマエビは数匹いたがやはり連中が力を発揮するのは二桁からかとか、屋外ミナミの孵化はことごとく失敗――捕食済み? とか、そんなこんな。
孵化したばかりのメダカを移動。そこそこ大きくなったものを熱帯睡蓮の方へ投入。
店買いのミナミ四匹を取り出して、先日採取してきた琵琶湖産を同じくどっさり投入。
一番大きな――産卵要員であったヒメダカ二匹雌と黒メダカ雄二匹、そして少し育ったヒメダカ一匹を部屋で愛でるため、瓶へ。このサイズなら、両者共になかなか美しく、鑑賞できるだけの貫禄がある。黒の尾びれ上下ふちに一本ずつ走っている緋の線が、婚姻色というやつだろうか。

一リットル容器に4,5匹投入という愚行をどう解決すべきか。ただそのことにちと頭を悩ませながら。
燕去月二十三日
地蔵盆。急に深まった寒さと雨に数年前を思い出す。

鷺草は満開。細く長く伸ばした全ての茎先で白い羽を広げている。一片の悔いも無し。満足。

白メダカ到着。大きな成体が雌雄ばらけて計五匹。しかも夜には――どこかに落ちてしまったが――既に卵を二個ほどぶら下げていた。楽天のフォーカスなる淡水魚店で購入したが、良い買い物、良いメダカ、良い店であったと記しておく。

白は白でもピュアホワイトと呼ばれる色素の完全劣性体なため、透明メダカにややピンクがかっているような案配。雪のような白が欲しかったが、まあ黒メダカと掛け合わせることで理論上は全ての色(メダカ)が出るそうなので、子メダカが増えたら試してみたいと思う。
室内の水草水槽に投入。エアーは相変わらず二酸化炭素だが大丈夫であろう多分。
なお、エアストーンは近場で手に入ったスドーのバブルメイトの小さなものに換えてみた。そう悪くは無い。

他、採卵用にアクリル毛糸を束ね、メダカ池に投入。
熱帯魚店で見た純黒のグッピー。その黒く大きな尾の水中で優雅に揺れる様が、夜会で貴婦人が纏う黒いドレスの裾に似て、とても素晴らしかったと記し、本日も人生を適当に走り書いて、終わる。
燕去月二十二日
水槽に酸素ではなく二酸化炭素を送り続ける。水草の生長を助けるためで、二酸化炭素添加といい、かなり一般的なことらしい。最近ではボンベの入手も容易いそうだが、貧乏趣味人らしく発酵式CO2添加を行うことにする。
ペットボトルに濃厚砂糖水とイースト菌を入れ、出てきたガスを蓋の穴から伸ばしたチューブで水槽内に送り込むというもの。簡単に完成し、現在電気も使わず無音で動き続けているが、あと少し満足には足りない。最初はストローと割り箸でエアストーンの代用品としてみたが、ろくに泡が出ず、またこの方法は発酵式には向いてないと知ったので、半額売りされていたのを近所で入手。が、ガスが少ないのか水につける時間が足りなかったのか、糸のような泡の流れは出ているが、 今ひとつ面白くないのである。
ペットボトルを1.5リットルサイズにし、寒天で砂糖水を固め、最後にいぶきエアストーンを設置すれば――かなり良いものであるらしく、べた褒めな文句ばかりを目にする―― もっと楽しめるものになるのだろうか? ……まあ今でも泡に寄って来たミジンコが、急に巻き込まれて向こうにすっとんでいく光景など、楽しんではいるのだが。

水槽を自室に持ち込んだのは正解。ただし、このまま二酸化炭素を添加し続けて、植物以外の生体には悪影響がないのか、それだけは心配である。
燕去月二十一日
外出。郵便通帳の統合更新や、馬鹿でかい風呂桶のようなプラスチックのたらいをつい血迷って入手したり。
季節はすっかり秋。風は肌寒く、空は高く青く、頭を垂れる稲穂は黄の衣を纏いつつある。
去り始めると、無性に物悲しく、物足りなく覚えるのも、また同じ。

散々迷った挙句、今、脇に小さな水槽がある。現時点での内容物は、琵琶湖流木に活着挑戦中の水草(ウィローモス、南米ウィローモス、ウィンドロブ)達、そして昨日採取してきたばかりのミナミヌマエビ抱卵個体含、だ。
台は使われていない親の花台を物置より強奪。
水槽サイズについては最後の最後まで迷ったが、『一体何匹メダカを入れる気だ』との自己突っ込みで、理性を取り戻すことに成功。

二酸化炭素を加えるのは明日から。とりあえず500mlペットボトルの蓋に穴を開けて準備し、本日は寝る。
燕去月二十日
犬上川河口にて再びミナミヌマエビを採取。雨がぱらつきだすと、風向きが変わったのか音たてて白波が琵琶湖から押し寄せてきた。やや離れた場所での光景だが、それなりの迫力があった。

どうやら自分が美しいと感動したのは、ただのウィローモスであると判明。手元にあるのは南米ウィローモス、しかも順調に枯れ続けている。
水草水槽という素晴らしいものが世間にはあり、更に室内でメダカやエビの遊泳する光景を楽しむのもまた楽しかろうと、――つまり本だらけの自室に現在の小さな容器ではなく、大きな本物の水槽を持ち込めなかろうかと思いつき、モス探索と合わせて店を見て回る。
まずは湖岸道路沿い稲枝に近頃開店したという熱帯魚店だが、高く綺麗なものが色々揃っていた。ただ、熱帯魚や海水魚のような珍しいものに力を入れているようで、メダカや安いあれこれは存在せず。自分の求めるものとは噛み合わないので、去る。
次いで、カインズ。水槽などは安かったが、モスは佃煮のようなパック詰めで三千もする値札が貼られていた。色も良くは見えず、どうも生体全般が今一のよう。
旧ダイエー現ミドリ下のナフコは、生体は皆無だが、物については安かったり洒落ていたりするのがそこそこ揃っていた。

で、本命のビバシティ横アヤハ。ウィローモスが350から。相変わらずここはとても良い。品だけでなく、雰囲気から。
水槽も、手頃な値段で色々在りった。どうも最近は、簡単なフィルターやポンプ付きで最初から安く売っているものがあるらしい。もっとも自分は、水槽のため二酸化炭素の添加をしようかと考えているので、それはいらないのでライトを、もしくは値引きをと心中にて呟く。
さて、水槽ならここかカインズか――と迷う目に、注意を促す貼り紙が。曰く、『水槽は馬鹿重いので気をつけて。下手な場所に置くと歪んで割れます』と。
色々装置を付ければ、60センチ水槽で90キロ。二桁三桁当たり前。台は必須と。そこまでは考えていなかった。
そして、現実に戻る。
予定は水草、メダカ・エビ。大きいものは美しいが、実際最小の水槽で十分なのである。というか、本だらけの二階自室に持ち込むなら、そちらが当たり前。

大きくて安い水槽がある。素敵に洒落ていて重い水槽がある。小さくてあんまり安い訳でもない水槽がある。さて、如何にすべき。
燕去月十九日
鷺草。蘭の一種だけあって、顔を近づければ甘く良い香りがする。卓上にこれを群れで舞わすことの、なんとも風雅な贅沢さよ。
燕去月十八日
ウィローモスが枯れてゆく。室内の瓶にモスと水だけを放り込んだものが、かろうじてマシか。二酸化炭素不足、光量過多。思いつく可能性はそんなところ。
燕去月十七日
鷺草は良い。

メダカが昼過ぎまで卵を水草に付けなくなった。食べられてしまうのか、数も少ない。水温が下がってきたせいか、水草の量が足りてないのか。――だが、それ以前に雄の数が少ないように感じる。確か雄が二三倍居た方が理想的だとか何とか。目に付く大きなヤツがどいつもこいつも卵塊をぶら下げているなんて、何か違う。

何処ぞで見掛けた釘子なるメダカの生まれたての稚魚を呼ぶ語にいたく感心を覚えるようなこの頃。
燕去月十六日
ついに鷺草が一つ開く。白く精緻、可憐な佇まいに、さらに嵌る。

なお来年からはもう少しだけ日当たりの良い場所に出して、開花を早めるべきかもしれない。
燕去月十五日
昼は暑く夜は秋。暑さは要らぬが、もう少し色々と夏の花やメダカを楽しみたい。

月さやか 物狂わんと 夜気を呑む
燕去月十四日
ドウベン、二つ目の花が開く。花芽は、新しく伸びたもの。
ウィローモスの活着を室内で行うことにする。屋外だと、どうもアオミドロに取り付かれて痛んでしまう。むしろ、夜でも明かりの灯るこちらの方が成長する可能性もある。
一緒に、ミクロソリウムの改良品種、ウィンドロブも流木に括りつける。水中に広がる広い葉っぱの先が、手指のように裂け分かれている、割と見覚えのある水草。
ウィローモス購入時に、丸めて芯のように入っていた。かさ上げで騙された訳ではなかろう。元気な緑で無かったとはいえ、これはこれで一つの商品であるし、下手にウィローモスを団子にしたら、多分中は光が足らず枯れる。どういう経緯を経たかは知らぬが、むしろ得したのだと考えている。
水中に広がる緑の葉は、生まれたての小エビが乗ると実に映える。一ミリ前後の、しかし完璧なエビ姿の奴らは、余りに小さく透明すぎて見えているのに見えない。見つからない見つからないと、輝く目を頼りに探していた時、そんな光景を見てこの種の水草の良さを学んだ。

水に満ちた容器をパソコンや本棚の上に置いて回る。地震に備え、最悪の事態でショックを受ける心構えの想像練習をした日。
燕去月十三日
昼暑く、しかし軽くお湿りのあった後の夜は早くも秋の寒さ。本日も、流星群を見ず。(追記:後、流れ星は見る)
ウィローモスは、どうにも上手くいってない気がする。洗いなおして、残っているモスを今度は釣り糸で活着させるべきか。
燕去月十二日
暑い。汗が絞れるどころか、何故服を着るのか理解できない。
猛暑のせいか、日向に移したメダカ池など最早お湯。エビが昼間っから浮かび上がっていた。
午後、あっちの方で火事。夜、雲と月で流星群は見れず。
燕去月十一日
暑さの余りか子ミナミが二匹ほど死ぬ。店買いの抱卵個体から最初に生まれ残った者達だっただけに、ちと残念。
睡蓮だが、熱帯は小さくても、まぁという意見もあり、温帯睡蓮の方だけいじる。鷺草を別容器に。メダカ池の場所を移動し、日当たりの良いところで睡蓮と水草のみを育てることにする。
子メダカの処置にいよいよ困り始める。川に放流し、生態系を乱す人の話を聞くが、今の自分には彼らの気持ちが良く解る。絶滅しかかっているメダカを救いたい訳じゃない。容器で次々孵化しては育っていく連中が、いい加減鬱陶しくて、先も終わりも見えず、そんな炎天下のメダカ無間地獄につい――

子メダカだが、一部の色が薄い。子供だからかとも思うが、同じサイズで既に綺麗な緋を発しているものも――一匹だけだが――居る。ウチの場合、ほとんどの子は雄黒めだか、雌黒・緋・緋のまだら、その交配パターンとなる。
早生まれには両親緋の卵もあったかもしれないし、理論上はヒメダカ同士から色々な子が生まれてくる可能性はあると聞く。

白メダカ生まれてないかなと、顔を水面すれすれに近づける夏の夕。
燕去月十日
早朝焚き火。夕、図書館へ。
メダカ池、色々微妙。ミジンコと、子メダカの孵化のみ順調。つい、前者の餌に青汁粉末を調達してみる。

睡蓮だが二株とも生育が良く、次々葉を広げていっている。
此処に至って遅まきながら違和感を感じ始め、夜遅くにやっと気付く。
――水面の広さが足りておらぬ。
最低直径50センチは欲しいですね、というものらしい。片方は鷺草を引っ越しさせればいいが、もう一方はどこで間違えたかそもそも深さを(――結局無駄になったが)重視した容器。直径だいたい37。
足りておらぬわ。
大き目のプランターで縦横を誤魔化すか。でっかい漬物樽でも探してくるか。
ぬぬぬぐぎぎ。
燕去月九日
水質が安定してきたのか、幾つかの小水槽の水が底まで澄む。ミジンコの餌が尽きたように感じられ、結構不安だ。
熱帯睡蓮容器にマツモムシが出現。先日一匹駆除したはずなのに、飛んできたか土から涌いたか、気付けばまた二匹。片方をなんとか取り除くが、その間、始終悪臭が鼻についた。
そういえば夕にも臭ったような気がする。見えぬだけで水が腐りでもしたか。それともどこかで油粕を大量に撒いたのだろうか。
と、足元を見る。二十数センチ超はあろうかという魚の死体。夏、腐乱。
誰か――横の細道を通りすがった馬鹿ガキが捨てでもしたか、あるいは御近所の野良猫がくわえて運んできたか

鷺草の首がとても高く伸びて嬉しいと、清めの話題で終わる。
燕去月七日
今年は家のブルーベリーが豊作らしい。……甘みは足りぬが。
ウヲッカで仕込む量を、更に一瓶分増やす。今度は奢ってフィンランディア。

店買いミナミヌマエビは現在五匹+子エビ二匹が生存。うち、親二匹が再び抱卵していたので、この機会にドウベンの容器へと引っ越しさせる。無事、移ってくれると良いが。
アオミドロ大掃除、ドウベンの花、腐る? ムカゴからの生育は、NHK法も含め、順調。
そういえば昨日今日辺りがそろそろ立秋。確かに、稲穂に黄を感じるようになってきた。
燕去月六日
ドウベンの花が開く。購入時に伸びていた花芽の二つ目(一番大きなのは駄目になってしまったようだ)で、正確に記すなら昨日に引き続き、ということになる。――昨日夕前、閉じかけている蕾を見て遅まきながら開花したと気付いた。
熱帯睡蓮らしく、午前に開いて午後には閉じる。睡る、というより時間を巻き戻したかのように硬い蕾状にきっちり戻る様は、花らしくなく、しかし熱帯睡蓮のツンと鼻先で気取ったような雰囲気には良くあっている。
また、浮き葉の一枚には早くも中心から小さな葉が出ていた。ここから更に葉と根が増え伸びて新しい株となる。ムカゴ種は簡単に増えるというが、幾らなんでも早過ぎだ。NHK講座の葉っぱ裏返し発芽法と組み合わせると、秋の終わりにはメダカ並みに増えていそうで、嬉しくもちと恐い。

以下、水槽観察日記。
一部にてアオミドロ発生。不愉快だが、直射日光と水草不足が原因のよう。ウィローモスの生育も感じられないし、苔掃除用のエビは役に立って――いや、頑張っているからこそ、この程度で済んでいるのか? 一番大きいメダカ池では発生している様子が無いし――いるかどうか実に微妙なところ。少し掃除し、バクテリアの巣になれーと炭の欠片を投入する。
ミジンコだが、実に順調だ。ミジンコだまだとか、ミジンコわらわらという言葉の意味が感じられるようになってきた。小さなスポイトで吸い上げてみたところ、先が詰まった。
ただ、これは子メダカがミジンコを食えぬほど小さいから(もしくは親ミジンコの巨大さは異常だ、とか)かろうじて成り立っているバランスであり、これから減少していくのだろう。大メダカの池でもこれぐらいミジンコを増やしたいものだが、流石にあちらは食料になってしまうらしく、それなりに入れたこれまでの全てが影も形も無く消えている。
餌は十二分にやっているが――連中の動く餌への食い付きは野生の欲望を感じさせられるものがある。ミジンコ、とてもでっかく見ていて面白いものなのだが。

そういえば鷺草は順調。各自、三つぐらいの蕾が先端に重なって出来ているように見える。一方で、葉先がやや黒ずんできているようにも感じる。睡蓮から溶け出した肥料による富栄養化、か?
それがやたらと小心者めいて気になっているここ二三日。本日も、以上。
燕去月五日
長浜の花火を見に行く。家人達も、ということなので車に同乗し、適当な田中に停め、一人歩く。大層な人。
煙害、というものがここまで実感できる花火は初めてだ。風が悪かったのか、良く見えない。
湖岸に近づきすぎると、今度は枝や人々で花火が隠れる。しばしの彷徨の後、程よい場所を見つけ、佇み尽くす。
なるほど、規模は大きいが、近寄り切らなかったため、彦根の方が短くも美しかったように感じた。次は独りで、と結論する。
帰路、やたら混む。空で雷が時折フラッシュのように光っていた。
燕去月三日
明るい家族計画に失敗した。メダカの話である。
連中はよく死ぬ、よく食われる、だからぼろぼろ毎日のように卵を産む。
――それを、親にすら食われぬよう隔離し、死なないよう、気遣って育てればどうなるか?
メダカ池の方も雄を入れた効果がようやく出てきたようで、再び産卵が始まった。卵は今も孵化し続けており、気付けばそこらの水槽には、新しい楔形文字が浮かんでいる。
五十は越えたはずだ。まだミジンコすら満足に啄ばめぬような小さなものも多いが、夏はこれから。産卵期もまだまだ。

大自然は私に何を望んでいるのだろう――

屋外ウィローモスの生育状況に若干の不安を覚えつつ。
燕去月二日
衝動的にテナガ釣り再挑戦。今回は短い竿も用意した。蒸し暑い日の、夕暮れてすぐ。 テナガ専用の仕掛けに、鑢でカエシを潰した針。
この好条件で意気込んだ釣果は――

雑魚、一。
網による捕獲、多数(そこら辺をのんびり歩いていた鋏の大きな雄含む)。

――あー……もう、いいや。

昨日追記覚え書き:軽自動車のことではない。
燕去月一日
誘われて彦根の花火を見に行く。意外と混んでおらず、砂浜最前列で、湖面を活用した半円形の火の咲き広がる姿を堪能する。――もし、最後に目に映す光景が選べるなら、こういうものがいい。
金亀公園の裾で魚が泳ぐ小さな水溜りなどを見て、帰宅。


夕よりのこと。
ドウベンという睡蓮がある。ドーベン、ドウベニアナとも呼ばれる熱帯睡蓮で、白く広がる花先がほんのりと青く、美しい。葉の中心にムカゴを作るなどして増やしやすく、最近挑戦する人が多くなってきたという熱帯睡蓮の栽培において、初心者向けとしてティナと共にまず押される品種だ。

買っちまった。

いや、蓮を二鉢、睡蓮一鉢既に育てているが、前者は適当放置のため今年も葉しか伸ばさず、後者も未だ花芽なし。先日訪のうた『みずの森』で印象深かった睡蓮は温帯性のコロラド――ピンク、ややオレンジを混ぜ込んだような。丸みのあるプラスチックを連想する。日常生活や自然の中でまず目にしない、それでいてとてもごく自然で美しい色合いの、一目で視線を留めることとなった花 ――だが、つい。あの青とか、熱帯睡蓮って、憧れだし。

花火前にホームセンターで沈める方の容器を探す。そこそこの深さを求め、巨大なバケツ状のプラスチック容器が五百円特価だったため、入手。帰宅後、既に蕾が三つも付いている睡蓮を、そっと沈めてやる。
香りも素晴らしいのだとか。明日からがとても楽しみだ。

追記:睡蓮はもっと浅くても根元まで光が当る方が良いとの話も聞く。二三日、注意しておくとする
追々記:メダカ、本日も抱卵せず。ウィローモスは今一、子メダカ、稚エビ、ミジンコ、全て順調。
朝顔も、ネットにつたいだしている。春先に発芽した藤、植え替えたパイナップルのヘタ、源平枝垂れ、それぞれそれなりに。
琵琶湖で、小さな流木と水草を拾ってきた。 最近、ただ生きていることが楽しい。
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