日々、在りしことども



如月二十八日
出る。何時の間にか春が訪れていたようで、各所で白い花を見掛けた。
梅、だと思うのだが春の花木は梅桃桜ぐらいしかぱっと出てこぬ無教養の身、ただ枯れ草茶色の田畦に立つ白を遠目に眺め、目尻に皺を寄せる。

百円ショップ。睡蓮や蓮を入れる容器を初夏に備え、そろそろ集めておこうかと思い、覗く。
当初はバケツ睡蓮ぐらいのつもりだったが、案外普通の半球形寄せ植え鉢が使えそうである。底の穴はパテで埋めるのではなく、大き目の袋を内側に敷いて誤魔化すつもりだ。幸い、薄手だが大きいのが沢山ある。念を押して二三枚も重ねれば十分だろう。
しかし円高か、原料高か、はたまた不況か、プラスチック系の品の小型化と値上がりが目に付いた。百円ショップなのに二百円から五百円まで一部多彩な品揃えというのは、何か間違っているような気がする。――まあ、助かったが。
蓮用に二百円のプラ製十二号植木鉢を一つ入手。大変良い。試してみて、不都合が無かったら睡蓮用にもう二つ三つ求めようかと思う。

あと、デザインの良かった背の高い陶製コップと、水槽用に特大スポイトを入手。
前者は、小さな睡蓮を挿しても良さそうだ。

陽光の中、たまに花粉に苦しみつつ。
如月二十七日
加温している水槽の中に落とした睡蓮のムカゴ株は三つ。うち二つは底の砂利に埋めてある。 ムカゴ株だから、浮いてようが沈んでようが、水につけておくだけでそこそこ育つだろうし、肥料食いとまで呼ばれるその力で水質浄化に貢献して欲しいものだ、そう考えていた。
ついでに、少々ぐらいならエビ餌になってもいいか、とも。
現在三つとも、順調に細い葉を三枚、五枚と伸ばしつつある。屋外に戻すのは桜の終わった頃を予定しているが、それまでに水槽睡蓮の開花となったりするだろうか。

エビ餌に茹でた大根葉と人参薄切りを与えてみた日。
如月二十六日
昼前に一泊温泉旅行に出掛けたはずの両親が、大量のトイレットペーパーを抱えて帰宅。曰く、『高速乗る前にパンクした』。
結局、特売の買出しになってしまったという。

暖かく、日暮れは夕五時を過ぎて明るい。おかげでどうにも体内の時差と噛み合わない。 最早冬とは呼べないような日。
如月二十五日
ネットで知った筋肉料理人氏のレシピを試す。『ぶり大根ステーキ』。
プロの御仁らしく、いささか手間のかかるしっかりした品。玉葱ソースの自作で手間を食った(ミキサーなければ全部すりおろし)が、それだけの旨いものが出来上がった。 寝かせていないソースのニンニクがきついようにも感じたが、火入れすれば問題なし。
ただ、チーズなどでこってりしているため、数を食べるというよりは、味の濃い、酒の肴。

自分とは方向性も手間の掛け方も技術も全然違う。そして、美味しく、美しい。
しばらくはこちらで勉強させてもらうことにする。
如月二十三日
最近食った旨いもの:奈良漬(三重)

瓜の中に刻んだ野菜を詰めて、丸ごと漬け込んだもの。種類の違う奈良漬で作った烏賊飯のような感じ。聞くと、三重の方に出るとどこでも売っている品だとか。
昔は、うちの自家製奈良漬の中にもゴボウやニンジンを詰めて漬けたりしていたらしい。全然記憶に無い。
今回食したものは、多分紫蘇の実が混じっていたよう思う。

――輪切りにした瓜の部分を齧り、箸先でほぐした詰め物部分をほろほろと崩して口に運ぶ。

何故か無茶苦茶旨かった。はて?
如月二十二日
さんざん悩み苦しんできたウィローモスの黒髭苔だが、結局ただの『仮根』であったと 結論が出る。栄養が良すぎたか、光量が多すぎたか。

何日も頑張って、苦悩して、こつこつ対応し続けた結果が、しっかりした形として出た。良いことだ。
『結局、全部無駄でした』『杞憂』『ただの勘違い』――今は答が出たという満足感に浸って、深く考えないでおこう。

そろそろ屋外でプランターのホウレン草が発芽し始めている日。
如月二十一日
人生、勢いある流れに突然乗ってしまうことがある。まあ、下手な修辞を省けば雪吹き付ける早朝、寝不足二日酔い気味のまま歯医者の予約を取りに出て、昼前にはゴリゴリ削られている自分があった。……何で?

左下の根管治療だろうかと思っていたら、一通り口内を見回して医者殿言うには「右の下奥に虫歯がありますねー。ほーら、ココ」。全く気付いていなかったが、黒く大きな穴が開いていた。
で、左は削って銀冠を準備し、右は本日中に処置。手際よく処置しながら、時折医者の爺さんは人の頭の上で看護婦氏と雑談を交わす。道具の配置について、今回詰め物を別材料に替えた理由について。これも現場で学んでいることになるのだろう。ちょっと場を和ます「いや、もうわしも歳だし」「定番だと頭の上で眼鏡、眼鏡……ですね」アハハハハ、とそんな明るい会話。

――ちなみにこの老先生、私が小学生の頃には既にお爺さんであった。なんというか、洒落にならないを一周ぐらい進めた不可思議なやりとり。

午後、ブックオフ跡地に出来たブックオフが本日開店だとかで、覗く。店舗面積の狭さは相変わらず。系列店の長浜は品揃えがいいので、前よりは期待したい。
如月二十日
風強く、歯は根元のリンパが腫れているような気がする。

水を満たした容器に放り込んでおいた熱帯睡蓮ドウベンのムカゴ株だが、春近いせいか、それぞれ新しい葉を出し始めていた。幾つかを暖かい水槽へ投入。植えつける桜の終わりまで大きく育てと思う反面、越冬させている本来の株も含めると、二桁近いバケツ睡蓮を育てることになるのだが、さてどうしようか。
他に、温帯睡蓮の方で昨年買った白以外にも今年はコロラドを加え、熱帯の方も青と赤を一株ずつ増やす予定なのだが……

この二月、つらつら思い返すに、幾つか新しい料理に手を出してみた。
豚肉を、オイスターソースで甘辛く炒めたものは、付け合せのホウレン草お浸しとの絡みが絶品であった。
ダイエットに良いという豆腐温泉卵サラダだが、ラップに包んで保温中の炊飯器に一時間入れておけば、温泉卵が出来ると学んだ。
甘酢漬けは、一度作れば冷蔵庫で半年ほどもつそうなので、茹でたレンコンやゴボウを食べ終わったら新しく放り込んでいる。共に、材料として微妙につぶしが利かないので、重宝している。
カブラの千枚漬けにも挑んでみた。ついでに手抜きと、塩で水出しだけしたものを寿司酢に浸した即席千枚漬けを卓上に並べてみたが、好評。ただ、あの仁は寿司酢が好きなだけじゃねぇかという気もするので、期待は控えるとしよう。
如月十九日
浮いた歯の詰め物を噛み直して嵌め込んだものの、微妙に気になり、歯医者へ向かうのが正解と思いつつも、またあの日々かと憂鬱になり、鬱屈して膝を抱え座り込むのみ。
……かなり歯は磨いているはずなんだがな……なんで昔からこんなに脆いんだ……

料理、ドウベン。
如月十八日
『たま◇なま』最終巻読了。本当にこのシリーズが好きだ。こういうものがあるから、惰性に近付きつつあっても、自分はまた本を手に取るのだろう。

独特のノリで時々現れては暴走する、エロスや変態さ。そこも物凄く好きではあるが、同時に 真正面から真っ直ぐぶつけられてくる想いや言葉が、とても良い。
日常の馬鹿なやりとりや、ちょっとした部分部分で演出される味わい。
長文を読ませる、という古い形の作品ではないが、想いの籠もった物語の流れに、有無を言わさず引き込み、押し流し、巻き込んで堪能させるという、実にまっとうな小説だ。
惜しむらくは――もう少し別の題名は無かったのかという疑問もあるが――ここで終わってしまったこと。最後にあんな面白そうなものを放り込んでおいて、是非続きを……と言いたいが、しかしそれは口にするのが良くないような気もして、ううむ。

作者が生きているから、いいか。以上、本日結論。
(これだけの作品を云々綺麗に完成した一つの世界に余計な中略これが終わりではetc氏の新しい作品以下何時もの如し
如月十七日
牡丹雪。
如月十六日
一転冷え込み、雪、散らつく。昨年もこんな案配だった。
如月十五日
本日は、昨日と違いこの近辺でも非常に暖かかった。全国的にそうならば、さて 異常気象(――本年は旱魃を既に各国で聞く)か、早い春か、はたまたただの温い日か。

……言い訳なんぞきかんよなと、くしゃみを盛んに飛ばしながら。花粉、既に飛ぶ。
如月十四日
黒髭苔だと気にし続けているモスのアレは、活着するための根ではなかろうか。
思い至る冬終り近く。
如月十二日
台所水耕栽培していたネギと人参の葉っぱをプランターへ移す。

ミナミヌマエビがついに抱卵した。背に卵を作っているのが透けて見えていたのは何匹かいたが、実際腹に抱えたのはこれが初めて。色は、産みたてほやほや、蜜柑カビの腐った緑色。ぶっちゃけ、気持ち悪い。
そういえば水槽に一匹巨大ミナミがいる。三センチほど、小さなヤマトヌマエビぐらいのでかさ。限界まで育った個体なのだろうが、もうちょっと大きくなりはしないだろうかと、馬鹿な期待を寄せている。

餌。一番はニンジン。なければ繊維質のパセリでも構わぬよう。実に良く食う。
その群がり具合に、嗚呼これだけ始終貪っていれば、そりゃウィローモスも育たぬわ……と こぼれる溜息。ニンジン葉のお陰か、ここ数日、流木モスは新芽も目立ち、良く育っている。
今度こそ、あの美しい水草の森を。
如月十一日
エビ餌。昆布だが、ついに穴が開いてきた。一方、ザリ餌や練り餌は飽きたのか食いつきが落ちてきている。
無農薬な葉っぱも与えたいが、ほうれん草の種は先日撒いたばかり。夏でなし、すぐに発芽するのを期待も出来ず、適当に近辺を見回った結果、プランターで青々としていたパセリと、台所で水耕栽培になっていた人参の葉を茹で与える。後者はお気に召したようで、一晩たってわらわら群がっている。葉っぱが細かいため、エビに摘まれ揺れている様子が、また楽しい。
人参本体には、エビ色に良い成分が含まれているとかいないとか。しばらくこれで済まそうかと思う。

午後、出る。近くの潰れたブック・オフ跡地だが、新しくブック・オフが出来ていた。来週末ぐらいに開店するらしい。
……何をしたかったのかが、解らない。
如月八日
自家練りエビ餌だが、乾燥して硬くなり、臭いもなく、沈降性も大丈夫で、それなりの出来。
ただどうしても微小な粉末が僅かには漏れ、それが少し悲しい。
そして強風だか猫だかに陰干しの大半をやられた。それがとても悲しい。

追:さすが米、硬いのかばらけず長持ちしている。
――いや、これは食い辛いというのだろうか。そんな囁きが頭をよぎる。
如月七日
DIYする。ダンボール本棚。

部屋が本でどうしようもない・誰も使ってない本棚を狙うも、サイズが部屋に合わない・買えば馬鹿高い・木材やニスの自作で安く・安いっても高いよな・ああでもダンボールならタダ・アレ、紙魚の御飯になるから嫌なんだが・……この部屋じゃ今更か・で、こうなる。

ダンボールを箱本棚にして二段積みにしてはいたが、今回は新たに大きな箱にカッターを入れ、別ダンボールと木工用ボンドで縦方向や角を補強、中に仕切り板と支持脚を入れ、一箱を上下二段の本棚とする。

結果は、まあそこそこ。同じ信州林檎の箱が余っていたので、同規格が三つで見栄えは纏まった。また、林檎箱のダンボール紙が大小二重の貼り合わせになっていたため、意外と強度は出たと思う。
欠点として、箱内側に貼って中板の支えにもなる下部補強を、側面背面共にもう一枚やって厚みを増し、もっと上段をしっかり支えられるようにすべきだろうか。
中の板も、これだけはダンボール以外を考慮しておいた方がいいかもしれない。この方向の力の掛け方だとダンボールは弱く、文庫本とはいえ早速たわみ始めている。

で、その上に従来のダンボール箱本棚を乗せ(文庫本でも週間漫画単行本でもない、月間漫画単行本サイズ。……大判でないのは良心ではなく、物理的理由。)、コレ用に上箱用の支えも要るかと考えつつ、大判サイズの箱本棚をその手前や卓上に設置。
結果、本の詰まった本棚の詰まった部屋の完成。整然と圧迫感溢れる部屋が出来上がりました。

ついでにちと本棚もいじり、埃に咳き込みつつ深夜作業。
本当に必要なのは片っ端から売って、大切な本だけ手の届くところに揃え並べておくことだと悟った日。


チェリーレッドシュリンプが盛んに脱皮している。環境が合ってきたからだろうと、喜んでみる。エビがよくやる水質変化適応のための、必死の脱皮ではないと信じたい。
……抱卵する気配は全く無いのだが。
如月六日追記
エビ餌を自作してみた。といっても、市販の各種餌を粉末にし、つなぎでこね纏めただけだが。
食いつきは良いがばらけるザリ餌。
カルシウムたっぷりの浮いてしまう亀餌。
ビタミンとして野菜粉末、青汁の素。
そしてつなぎにはアルファ化したデンプン、つまり御飯を。
以上で製作。適当に小粒に丸めたり伸ばしたりして、陰干しに(日向だと風で飛ぶ)。
まあ、やってて思い出したが、練り餌である。違いは、ばらけるか否か、乾燥させて使うかどうか。そういえばあちらもグルテンのつなぎが売ってたはずだ。
練ったばかりの完成品を、乾燥を待たず一つ、水槽に落としてみた。食いつきは非常に良い。今までで一番やも知れぬ。が、微細な粒が水中に舞う。この辺りは、乾燥してからの硬化に期待。

とりあえず現時点での評価は、部屋の隅で独り胡坐をかいて何をやっているのか、製作中に我に返らなければ、そこそこの品。
切ないとか、侘しいとか、寂しいとかに似た、もっと安っぽくて下らない何か。
如月六日
種蒔き。プランターへ適当にばら撒くだけだから、『この一袋で発芽数およそ七百!』なんていわれても困るんだが……

風強く、冷え込む。数日前に春としか思えぬ日中もあったが、これが三寒四温ということか。

柚子塩を作る。塩、大匙一に卸した柚子皮を加え、電子レンジで少し暖めては潰すのを繰り返し、水分を飛ばす。
ずっと置いておいた柚子を用いたせいか、色の鮮やかさに比べ、風味は鈍い。また、もっと細かく潰さないと、塩辛さが強くなる。今後の課題とす。

水槽。今頃になって昆布が人気。たまに乗っては小さな手足を動かしている。心持ち、モスに群がるエビの数が減ったようだ。
如月五日
夕、出る。ホウレンソウとケールの種を入手。後者はキャベツの先祖に近い、青汁の元らしい。共に無農薬栽培し、エビの餌にする予定。

エビ餌の置いてある店を二件回る。……お試し用が一袋五百円ぐらいで売っているネットショップが、いかに良心的か学ぶ。二十数グラム千数百円の品ばかりって、何だそれは……
専門店は素晴らしい。ネット通販はとても素晴らしい。
とりあえずはザリ餌で。ばらけるのはメダカ稚魚の御飯に。

モスがエビの食害を受けて育たないなら、水槽内のモスの量を増やせばいいじゃない、と思う。そういえば数ヶ月ほど前に、余っているモスを古いティーポットの中網に被せ、水多目にラップで包んで窓際で活着させていたなと、思い出す。取り出してみたところ、良い具合にくっつき、茂っていた。CO2不足か、光量過多か、やけに明るい黄緑色をしているが、新芽は元気に育っている。水槽に投下。

そんなこんな。本日も雑多にエビ録。
如月四日
一方的に奪い続けるような関係を共存とは呼ばない。

小さな生き物は始終食べ続けてないといけない。そんな話をようやく思い出した。 幾つかに分割し、エサ投下。群がるが、独占する性質が強いらしく、喧嘩してでも 抱え込む。結果、よほど腹が減っていたのか、一巡する頃には消化しているのか、 ちまちまと何時までたっても食い止まない。
モスを育てたい以上、崩れぬのをいいことにエビ餌をこまめに補給し続けるべきか。

エビ餌屋の笑顔にふらふら釣られている。くそ、この試供品の掴みと依存性は、『試しに一回だけ』っていうドラッグと大差ないではないか。
如月三日
本日もエビ。雑に、端的に。

ウィローモスが茎だけになっていく……エビどもの止まぬ食欲。そのくせ、茹でキャベツや昆布に見向きもしない。ミジンコのみならず白メダカの稚魚も一匹、何時の間にか消えている。

ミナミヌマエビ水槽の方で、エビが盛んに壁に沿って上の方を泳ぎ回っていた。脱皮時の繁殖行動か、食後の運動かと顔を寄せ、鼻をつく臭い。
……そういえば水質悪化に対抗するため、脱皮することもあったっけ。
薄白く濁りアンモニア臭のする水を急いで換える。
如月二日
天気良し。布団を干す。

少し土いじり。肥料と植え替え。
肥料は源平枝垂れと藤(拾った種から昨年発芽。六鉢ほど、無駄に元気)に、輸入肥料『マグヴァンプ』を与える。一年二年とゆっくり時間を掛けて効き、睡蓮によろしいと評判の、長持ち自慢、何故かどこのホームセンターに行っても積んである、ひょっとしたらその筋では常識ものの有名肥料かもしれぬ白い小粒を、ぱらぱらと。
源平枝垂れは大鉢と地植えの他、昨年初夏、落とした枝を適当に赤玉土に挿しまくったものから一つ運良く根が出ていたので、黒ポットから鉢へ移してそちらにも混ぜる。
『二十挿して一つ成功したら、ラッキー』と先人は仰っていたが、大体そんな感じになった。まだ弱弱しく、完全に根付いたとは言い難いが、たまたま蕾のある部分を挿したので、上手く行けば春には卓上で三つほどの花を愛でられよう。贅沢な。

藤にせよ花桃にせよ、別の木に接いで台とし、病気対策としているのは知っている。それでいけば良くないこともあるのだろうが、まあ玄関においてあるパイナップル鉢と同じで、肩の力を抜いて楽しめばいいさと自分に言って聞かす。
なお、今の時期に与える寒肥のことを御礼肥と呼ぶらしい、実に良い言葉ではなかろうか。


エビだが、餌を色々と与えてみた。水質悪化に直結するから良くない、飢えて死ぬことなどまずない、水草があれば大丈夫だとは解っていても、先だっての夏に幾ら経っても育たないウィローモス水槽のエビの数を半分に減らしたらみるみる茂りだした悪い記憶が色濃くまだ残り、また、現在進行形でつまつまと新芽をむしってモス茎を量産し、流木までつつき続ける連中の光景に恐怖を感じたこともあって、――それに何となく楽しいし――投下。具体的には市販エビフード、従来のザリ餌、そして最後に昆布となる。

市販エビフードだが、どこぞのアクアリウムコーナーを覗けば メダカ餌一袋四十グラム百円とかの近くの隅に、『エビ』とか『シュリンプ』という名で並んでいる。こちらは大体、一袋四十グラム千円〜千数百円ぐらいで。

ぼったくりだ。

ザリ餌でさえ、やはり百円二百円。これは金持ちの道楽、無理して試してみる必要などないと考えていた。今までは。
今回、店舗の方から試供品ということで少々の『エビ玉premium』を頂いた。エビ玉――水槽に落とした途端、エビが玉になるほど群れ集まるということだが、黒くかなり硬いそれを、一欠け、とりあえず投下。

素晴らしい。――これはあえて買う人間の気持ちが解る。

何が良いって、何時までも固いままなのだ。クッキーと飴玉、共に水槽に落とし三十分後の光景を想像すればいい。水を汚さず、しかも奪い合ってエビがたかるその光景に、『エビ小さいんだし、なら長持ちするエサならこの量でも……』とか危険な宗教に目覚めつつある。


以上他、八重紅枝垂れや猩々楓に惹かれ、色々気のハイになっている夜。
如月一日
ミジンコが全滅した。水流がきつすぎた模様。我が部屋一の癒し生物が……

赤蝦の調子は良い。水合わせは上手くいったよう。流木モスの一部が枯れかけている。
何のために部屋まで水槽を持ち込んだのか考え、本末転倒という言葉を噛み締める日。
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