
ラムサール条約を活用しよう
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◆ 琵琶湖ラムサール研究会編
●第2部● どんな取組みが行なわれているのか?
ラムサール条約の主要な決議・勧告・手引きの一覧
2008年の第10回までの締約国会議の決議と勧告ならびに指針や手引きの主要なもの、ならびに関連する「ラムサール条約技術報告書 Ramsar Technical Report (RTR)」等の出版物情報を下表に一覧し、本プロジェクトによる解説文を該当する決議等のところに示します。経時的に進展した決議等については後年からならべ(但し追加的指針等は下に)、解説文も時系列にあう位置に示しています。和訳の無いものは条約事務局HPの英語原文へのリンクを与えてあります。なお、ラムサール条約と他の国際環境協定との共同作業の下に策定された指針類が参照する(例えば、ともに用いるよう規定しているなど)他の国際環境協定の資料も一部含めました。
下表のテーマ分けは、条約の湿地の賢明な利用ハンドブック第4版(2010年版)の構成(cf. 同紹介頁)等を参照して組立てました(○印に下表内へのリンクを付与してあります):
表の下に、決議Ⅸ.1付属書Aの図1に示される、湿地の賢明な利用とその生態学的特徴の維持のために適用するラムサール条約の手引きの枠組みを示し、図中に位置づけられる各々の手引きと下表の一覧とを(ページ内)リンク付けしてありますので、参考にしてください。
ラムサール条約の主要な決議・勧告・手引きの一覧表
決議・勧告 | 解説 | 決議・勧告 | 付属書等 |
---|---|---|---|
条約の戦略計画 | |||
2009−2015年戦略計画 | 【解説10】 | 決議Ⅹ.1(和訳11) | 戦略計画(和訳11) |
条約が必要とするデータと情報のための枠組み | 決議Ⅹ.14(和訳11) | 枠組み(和訳編集1) | |
2003−2008年戦略計画 | 決議Ⅷ.25(和訳7) | 戦略計画(和訳7) | |
湿地の賢明な利用(ワイズユース) | |||
湿地の賢明な利用とその生態学的特徴を維持するための概念的枠組み | 【解説8】 | 決議Ⅸ.1(和訳10) | 付属書A(和訳10) |
ワイズユース実施の指針 | 勧告4.10(和訳1) | 指針(和訳2) | |
ワイズユース実施の追加の手引き | 決議5.6(和訳3) | 手引き(和訳3) | |
国の湿地政策 | |||
国家湿地政策の策定 | 決議Ⅶ.6(和訳5) | 指針(和訳6) | |
勧告6.9(和訳4) | |||
国内委員会 | 勧告5.7(和訳3) | ||
法制度 | |||
法制度の見直し | 決議Ⅶ.7(和訳5) | 指針(和訳6) | |
湿地CEPA | |||
2009−2015年交流・教育・参加・普及啓発(CEPA)プログラム | 決議Ⅹ.8(和訳11) | プログラム(和訳11) | |
参加型行動計画策定と助長技術の手引き | [条約事務局,2008年:英語PDF 2.6 ㎆] | ||
2003−2008年広報教育普及啓発(CEPA)プログラム | 決議Ⅷ.31(和訳7) | プログラム(和訳7) | |
湿地CEPA行動計画作りの追加手引き | [条約事務局,2004年(和訳1)] | ||
2006−2008年のCEPAプログラムの実施状況 | COP10文書16[英文] | ||
2003−2005年のCEPAプログラムの実施状況 | COP9文書25(和訳1) | ||
1999−2002年普及啓発プログラム | 【解説2】 【解説7】 | 決議Ⅶ.9(和訳5) | プログラム(和訳5) |
参加型湿地管理 | |||
地域社会の参加指針 | 【解説1】 | 決議Ⅶ.8(和訳5) | 指針(和訳5) |
勧告6.3(和訳4) | |||
参加型環境管理 | 決議Ⅷ.36(和訳7) | ||
奨励措置 | 決議Ⅷ.23(和訳7) | ||
決議Ⅶ.15(和訳5) | |||
河川流域管理 | |||
湿地と河川流域管理のための統合的指針 [下のふたつの指針をひとつにまとめて置き換わる] | 決議Ⅹ.19(和訳11) | 指針(和訳11) | |
河川流域管理/クリティカル・パス法に関す る事例研究(RTRに刊行予定) | |||
河川流域管理指針 | 【解説4】 | 決議Ⅶ.18(和訳5) | 指針(和訳5) |
河川流域管理:追加の手引きと事例分析の枠組み | 決議Ⅸ.1(和訳10) | 付属書Cⅰ(和訳10) | |
水の配分と管理 | |||
条約の水関連の手引きを統合する枠組み | 決議Ⅸ.1(和訳10) | 付属書C(和訳10) | |
地下水管理指針 | 決議Ⅸ.1(和訳10) | 付属書Cⅱ(和訳10) | |
水の配分と管理の指針 | 決議Ⅷ.1(和訳7) | 指針(和訳7) | |
決議Ⅵ.23(和訳4) | |||
農業への水資源利用と湿地 | 湿地と農業との相互作用の評価報告書 (RTRに刊行予定) | ||
統合的沿岸域管理 | |||
統合的沿岸域管理 | 決議Ⅷ.4(和訳7) | 指針(和訳7) | |
勧告6.8(和訳4) | |||
マングローブ生態系の保全 | 決議Ⅷ.32(和訳7) | ||
潮間帯湿地の保全 | 決議Ⅶ.21(和訳5) | ||
サンゴ礁生態系の保全 | 勧告6.7(和訳4) | ||
泥炭地保全 | |||
泥炭地に関する地球的行動 | 決議Ⅷ.17(和訳7) | 指針(和訳7) | |
湿地の目録・評価・モニタリング | |||
湿地の目録と評価ならびにモニタリングの統合的枠組み | 決議Ⅸ.1(和訳10) | 付属書E(和訳10) 追加資料(和訳1) | |
湿地目録の枠組み | 決議Ⅹ.15(和訳11) | 枠組み | |
決議Ⅷ.6(和訳7) | |||
湿地目録の優先順位 | 【解説5】 | 決議Ⅶ.20(和訳5) | |
湿地リスク評価の枠組み | 決議Ⅶ.10(和訳5) | 枠組み(和訳5) | |
湿地の脆弱性評価の枠組み | RTR5(英語PDF 1 ㎆,2011年) [概要(和訳1)] | ||
湿地価値評価の手引き | RTR3(英語PDF 1.6 ㎆,2006年) [概要(和訳1)] | ||
湿地生物多様性迅速評価指針 | 決議Ⅸ.1(和訳10) | 付属書Eⅰ(和訳10 )[概要(和訳1)] | |
湿地モニタリング計画の枠組み | 決議Ⅵ.1(和訳4) | 枠組み[附属書第2. 10段落](和訳4) | |
「湿地の目録と評価ならびにモニタリングのための安価なGISソフトやデータ」 | RTR2(英語PDF 2 ㎆,2006年) | ||
環境影響評価 | |||
生物多様性を組み入れた環境影響評価と戦略的環境評価の指針 [下の決議Ⅷ.9の指針と置き換わる] | 決議Ⅹ.17(和訳11) | 指針(和訳11) | |
CBDの Akwé:kon 自発的指針(和訳8) | |||
環境影響評価に生物多様性関連事項を組み込むための指針 | 決議Ⅷ.9(和訳7) | 指針(和訳7) | |
戦略・環境・社会的影響評価 | 決議Ⅶ.16(和訳5) | ||
環境アセスメント | 勧告6.2(和訳4) | ||
防災や資源管理 | |||
自然災害等の予防と影響緩和 | 決議Ⅸ.9(和訳10) | ||
決議Ⅷ.3(和訳7) 決議Ⅷ.35(和訳7) | |||
2007年3月会議報告書「水、湿地、生物 多様性、気候変動」(RTRに刊行予定) | |||
湿地と人間の健康 | 決議Ⅹ.23(和訳11) | ||
RTR6(英語PDF 4 ㎆,2012年) | |||
高病原性鳥インフルエンザへの対応 | 決議Ⅹ.21(和訳11) | 指針(和訳11) | |
決議Ⅸ.23(和訳10) | |||
侵入種と湿地 | 決議Ⅷ.18(和訳7) | ||
【解説3】 | 決議Ⅶ.14(和訳5) | 背景文書(和訳1) | |
漁業資源の保全と持続可能な利用 | 決議Ⅸ.4(和訳10) | ||
条約湿地の指定 | |||
戦略的枠組み ○選定基準 ○湿地タイプ別指針 ○湿地情報票 ○湿地分類法 ○空間データの指針 | 決議Ⅹ.20(和訳11) | ○指針:2009年版 ○湿地情報票: 2009−2012年版 (和訳編集1) | |
決議Ⅸ.1付属書B (和訳10) 決議Ⅸ.6(和訳10) 決議Ⅸ.21(和訳10) 決議Ⅸ.22(和訳10) | |||
決議Ⅷ.11(和訳7) 決議Ⅷ.33(和訳7) | |||
決議Ⅶ.11(和訳5) 決議Ⅶ.13(和訳5) | |||
水鳥の個体群推定・選定基準6 | 【解説9】 | 決議Ⅷ.38(和訳7) | 日本の水鳥一覧 (和訳9) |
湿地の保全管理 | |||
保全管理の統合的パッケージ | 追加資料(和訳1) | ||
管理計画策定の指針 | 決議Ⅷ.14(和訳7) | 新指針(和訳7) | |
決議5.7(和訳3) | 旧指針(和訳3) | ||
ゾーニング | 勧告5.3(和訳3) | ↑決議Ⅷ.14指針の 第Ⅹ章へ組込 | |
湿地管理への文化的側面の組入れ | 決議Ⅸ.21(和訳10) | ||
COP10に報告された開発途中の手引書 [英語PDF 6 ㎆] | |||
決議Ⅷ.19(和訳7) | 指導原則(和訳7) | ||
生態学的特徴の変化 | 決議Ⅸ.1(和訳10) | 再定義[付属書A] (和訳10) | |
決議Ⅵ.1(和訳4) | 定義[附属書第1 節](和訳4) | ||
勧告4.8(和訳1) | |||
湿地の生態学的特徴の記述の手引き・ラムサール条約生態学的特徴記述票 | 決議Ⅹ.15(和訳11) | 手引き(和訳11) | |
生態学的特徴の変化の検出、報告、対応策の枠組みと手引き | 決議Ⅹ.16(和訳11) | 手引き(和訳11) | |
モントルーレコード | 決議Ⅵ.1(和訳4) | 指針[附属書第3 節](和訳4) | |
決議5.4(和訳3) | |||
湿地再生の指針 | 決議Ⅷ.16(和訳7) | 指針(和訳7) | |
【解説5】 | 決議Ⅶ.17(和訳5) | ||
国際協力 | |||
国際協力の指針 | 決議Ⅶ.19(和訳5) | 指針(和訳1) | |
地域イニシアティブ | 決議Ⅹ.6(和訳11) | 運用指針(和訳11) | |
決議Ⅸ.7(和訳10) | |||
決議Ⅷ.30(抄訳7) | |||
水鳥のフライウェイの保全のための国際協力 | 決議Ⅹ.22(和訳11) | ||
アジア太平洋地域の水鳥と生息地の保全 | ↑決議Ⅸ.7に組込 | ||
決議Ⅷ.37(和訳7) | |||
【解説6】 | 勧告7.3(和訳5) | ||
未来の湿地イニシアチブ | 勧告7.4(和訳5) |
和訳1: | 本プロジェクト.琵琶湖ラムサール研究会,2001−2012年. |
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和訳2: | アジア湿地シンポジウム議事録.財団法人 国際湖沼環境委員会,1993年. |
和訳3: | ラムサール条約第5回締約国会議の記録.環境庁,1994年. |
和訳4: | ラムサール条約第6回締約国会議の記録.釧路国際ウェットランドセンター,1996年;環境省HP収録,2006年. |
和訳5: | ラムサール条約第7回締約国会議の記録.環境庁,2000年. |
和訳6: | 日本弁護士連合会 第45回人権擁護大会 シンポジウム第3分科会基調報告書 資料編「うつくしまから考える豊かな水辺環境−湿地保全・再生法制定に向けて−」.日本弁護士連合会,2002年. |
和訳7: | ラムサール条約第8回締約国会議の記録.環境省,2004年. |
和訳8: | 青柳 由香・田上 麻衣子 共訳.2006年.原住民の社会及び地域社会により伝統的に占有又は利用されてきた聖地、土地及び水域において実施するよう提案された開発又はそれらに影響を及ぼす可能性のある開発に係る文化的、環境的及び社会的影響アセスメントの実施のためのアグウェイ・グー任意ガイドライン.知的財産法政策学研究 Vol.10: 221-245, 北海道大学法学研究科『21世紀COEプログラム:「新世代知的財産法政策学の国際拠点形成」研究プロジェクト』.[on-line] http://www.juris.hokudai.ac.jp/coe/pressinfo/journal/vol_10/10_8_2.pdf (82 ㎅). |
和訳9: | アジア・太平洋地域渡り性水鳥保全戦略国内事務局((財)日本野鳥の会 自然保護室),2007年. |
和訳10: | ラムサール条約第9回締約国会議の記録.環境省,2008年. |
和訳11: | ラムサール条約第10回締約国会議の記録.環境省,2011年. |
湿地の賢明な利用とその生態学的特徴の維持のために適用するラムサール条約の手引きの枠組み
全地球 | ![]() |
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条約地域 | ![]() ☜ 国際協力指針 |
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地元 | ![]() |
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人類の福利と貧困削減
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間接変化要因
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特に ☞ なし |
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直接変化要因
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地球上の生命−生物多様性 |
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図1.湿地の賢明な利用のために適用するラムサール条約の手引きの枠組み.ミレニアム生態系評価の概念的枠組みに基づく湿地の賢明な利用とその生態学的特徴の維持の枠組みの基本図において,矢印(紺色)で示される影響に対して適用できるラムサール条約の手引きを位置づけた,決議Ⅸ.1付属書Aの図1に,第9回締約国会議で採択された手引きを加え,ミレニアム生態系評価の枠組みの生態系の恩恵/サービスの図を組み込んで改変.図中に位置づけられる各々の手引きに,上表の各テーマへの(ページ内)リンクを付してある.