日々、在りしことども



雨月三十日
胃癌検診。前夜、時間ぎりぎりに水をがぶ飲みしておいたので辛くは無かったが、 どうもバリウムは口に合わない。先に下した炭酸のゲップを我慢しなければもう少し 我慢できそうな気もするのだが。
これ以上に不味いバリウムを飲み続けてきたという世代のことを考える。――ああ、そりゃ 発展もするさ、日本。

『夏越の大祓』。
以前から一度『茅の輪くぐり』をしてみたかった。よって本日、水無月末日、多賀大社へと赴く。
早めに一度訪れてみたところ、既に茅の輪は設置されており、早速くぐってみた。 まずは左へとくぐり、戻って今度は右手へと抜け、再び左へと、八の字半を描いてから、最後に 正面へ抜けて、参拝。他に人も少なく、問題なく終わる。
ついでに『夏越の大祓』の方も受けてみた。 大勢の人と共に大祓の祝詞に頭を垂れ、配られた和紙の中の、紙吹雪の様に四角く切った和紙と、 麻か藁の様なものを短く切った、その二種(切麻、大麻と呼ぶらしい)を身に振り掛け穢れを落とし (多分だが)、大勢の神職の方々(二十を越えていたのではなかろうか)、数名の巫女殿に続き、 先導に導かれるまま、皆で茅の輪をくぐる――くぐろうとした――頑張ってくぐってみた。


想定:先に述べたように、正式な茅の輪くぐりはいささか面倒です。『本年は珍しく多い』という 言葉が漏れ聞こえるほどの人々が、蛇のように列となって狭い参道の茅の輪を順々にくぐっていくとどうなるでしょう?
結果:皆が一くぐりするまで一度待つので、行列の最後尾が延び歪みます。具体的には、左手へと抜けるはずなのに、右手の列最後尾へと真っ直ぐ向かわねばならないような。

仕方ないけど、いいんだろうか? 先に一度済ませておいて、良かった。
そのまま、『夏越の大祓』ということで、本殿ではなく右手の荒神だか火之迦具土 だかを祀っている社へ向かい、最後に御神米と長寿箸を頂き帰宅。
暑さでへばる。

ダーウィン、再び咲く。やはりしみじみ美しい。
もう一つは其処まで感じ入った覚えが無いので、実のところあれはパチモン風『ローズアレー』 で正しかった……とはやはり思えぬ。青メダカ並みの写真詐欺になってしまう。
明日には先月購入した黄と、本年始めて蕾を伸ばした鉢のも綻びそうである。実に嬉しい。
――しかし未だ上がらぬ蓮の花芽にじりじりと焦りつつ。
雨月二十八日
睡蓮、複数の蕾が上がり出す。期待、大。
屋外に戻したクチナシだが、出来かけていた小さな蕾が落ちていた。あの鉢の花期はもう終わり、 ということだろうか。

図書館の蔵書目録を調べて、『何故お前の本棚は二巻からしかない!』と昔、私に叫んだ御仁の 気持ちの一端を理解する。
雨月二十七日
駄目になった新生姜の香りは、人間の嗅いで良いものじゃない。
雨月二十五日
蓮はまだ咲かないどころか、花芽も上がっていない。
雨月二十三日
『幻人ダンテ』読了。矢鱈と読みやすく、楽しんで味わえた。
『レンタルマギカ』といい『イスカリオテ』といい、やはり自分はこの作家氏の諸作品が好きなようだ。
ただ、今回読んでいて、ふと『D.D.D.』や『脳噛ネウロ』が脳裏の端を過ぎった。私が悪いわけじゃないと思う。

それにしても、何時の間に本はこんなに高くなった。最近の講談社は詰め込まなくなった代わりにぼったくりという 感じがしてならない。――まあ、図書館様の御本なのだが。
雨月二十二日
一日四十七時間ぐらい寝たい。

この時期、厚着で寝る健康法をなんとなくやる。盛んに汗をかく辺りに健康を感じたり、この過剰な熱気が 温泉でまどろむのを連想させたり。
ただ、寝て一時間ぐらいで息苦しさに目覚めることも時々ある。
自分は、肉体からの声に率直に耳を傾けるべきなんだろうか?
雨月二十一日
夏至。

昨夜、CPUの冷却ファンの音が余りに耳に付くので、取り外して清掃。これで少しはましになるかと 思いきや、冷却ファンの取り付け具を破壊。よって探しに出る。
帰宅後、取り付け方法を確認すると『接着面に冷却グリスを忘れるな』の一文。そういえば面の汚れを綺麗に 拭き取った覚えがある。あれがそうかと、再出撃。現在、こうして再び使えてはいる。

部品は全く置いてなかったが、大型家電店で羽無し扇風機の実物を見る。大層面白くは合ったが、 体感的な涼しさというのは安定した送風より、波がある方が良いのではと思う。

ネムは二十ほども花をつけている。盛りより、日持ちして欲しいと願う自分は贅沢か?
雨月二十日
雨。
赤蝦は孵化するのもしないのもあり。積算温度ついては、もう少し上を見る。
合歓、幾つも咲く。ああ、初夏だ。

『アリシア・Y』読。
色々古い部分もあるが、実際昔の作品なのだ。普通に楽しめた。
気合も入っているし、続編とか別に出しても出ててもおかしくないと思うんだが、その辺りどうなのだろう?
雨月十七日
暑い。

レッドチェリ−シュリンプの脱卵を見つけたので少々気落ちしたが、夕に複数の孵化を確認する。
ミナミヌマエビの孵化までの積算温度が620度というからもう少しかかると考えていたが、予想外に早かった。 18日の28度として500度ぐらいか。実際には、更に少ないかもしれない。まあ、一つの目安として記しておこう。
雨月十六日
睡蓮三つ目――一つ目の二番花が上がる。昨日開いた方は、調子が悪い。普通、三日ほど楽しめるものだが、 雨での水位変動が不味かったか?
鉢関連を整理。ここまで無計画に種撒いたり差し芽した馬鹿は誰だ。
何がどうなっているのか、自分でも解らなくなってきた。根付いたり、芽吹いた鉢の中に正体不明が幾つかある。誰か教えてくれまいか。

ジャスミンは流石に花も終わり、盛んに伸び始めた。クチナシは、今花を作っているんじゃないかというぐらい、 まだ咲く。存外早く朽ちる花だが、ここ三日ほど保っている珍しいのがある。花期が終われば挿し芽して増やすつもりだ。是非、そういう性質持ちになって欲しい。

夏至近き頃。
雨月十五日
睡蓮、別の花が開く。白、三〜四層多弁、中央ピンク。ダーウィンに思えるのだが、しかしすると理屈に合わない。
先日真っ先に開花した別植え付けもダーウィンのようであり、同じならば共に調子を合わせ盛んに花が上がるのも理解できるが、此処に仕込んでいるダーウィンは断言出来るが一つだけなのである。
――昨年の嫌なことを思い出す。コロラド、ダーウィン、ローズアレー、シャーレンストローンと植え込み、前二つが咲き、残るは二つ。そして、ついに花開いた三鉢目。黄色ではないからこれはローズアレーか――

『……どう見てもダーウィンですがどうよ。』(当時原文)

メーカーにクレームつけて返金求めるべきかあの時は真剣に悩んだ。やっておくべきだったと、今にして思う。
花はちゃんと美しいんだがなぁ。
雨月十四日
蝦だのメダカだのミジンコだので、色々死ぬものが増えてくる。例年、暑くなれば起こることではあるのだが。
蓮、立ち葉らしきものが上がり始める。ついでに、明らかに種類の違う葉も伸びてきたので、ドーベンでも 土に混じっていたかと、喜んで堀り上げ、もうとっくに容器の空きが無いと気付いて固まる。
何とかはした。どうなるかは知らん。

朝顔だの撫子だの、発芽だけさせて植え替えや間引きを全くしていないと気付く。大分溜まっている。どうしよう、面倒だ。
雨月十三日
おかえり。
雨月十二日
はやぶさが、帰ってくる。
雨月十一日
蛍と思しきほのかな光を草むらの蔭に見る。もうそんな季節。

パソコンの冷却音が煩いので、中を覗く。この無駄なコード類をどうにかできれば風通しもよくなるんだが…… と唸りつつ、ふと左上を見れば謎のフック。試しに使ってみたら、それだけで綺麗に問題が解決した。
メーカー品が高いのは、こういった部分で冴えた気遣いと賢い解決法をするからかと、少々見直した日。

スナックパイン、三つ目のヘタを今度は水耕栽培で挑む。挿し芽した前二つはどうも今一のようだが、 さて。
雨月十日
日差しの澄み具合はまさに夏。
室内で楽しんでいたクチナシに水をやり忘れて、萎れるというより折れたように下向く花部に慌てて 走る、そんなこの頃。まだ楽しめる、何て素晴らしい花か。

近所の本屋が店を閉めると知る。一番手頃で、雰囲気も気に入っていたのだが。
そういえば、そこの近くの古本屋もぷっちり潰れた。
ハア……
雨月九日
蓮や睡蓮の植え替え。如何に安く手軽に済ませられるかというのも目標であり、 プランターに直植えなどしてみる。他、先日買ってきた大きな容器に移し替えて沈めたり、 本年は調子の上がらないドーベンを土に植え付けたり。
結果、それでも容器の数が足りないと判明。――まあ、睡蓮って阿呆みたいに増やせるしなぁ……

バケツ睡蓮でもやって、フリーマーケットで売ろうかね……
雨月八日
ようやく一つ睡蓮が咲いた。恐らく、『ダーウイン』。
水位が下がって蕾が水上に出たのが理由か?
明日は早くから愛でて確かめたい。
なお、一点。自分の持っている睡蓮を確かめてみたところ、昨夏既に黄色を入手していたことが判明。 ……あれ、どうしてもあと一色、欲しい色があるって気に掛けていたのは、黄じゃなかったっけ? 熱帯 睡蓮系の濃い赤や青だったか? 
結論:先月格安だと喜んで購入した黄色睡蓮は、むしろ失敗。

そういえば本関連で思い出したが、華不魅氏の『鉄錆廃園』が愛蔵版で完結してた。 一年ほども前に。
積読が部屋の外にまで広がるこの現象を何と呼ぶのだろう? 
雨月七日
『アリシア・Y』入手。名前だけは有名なクトゥルー系漫画。
手に入りにくく――五千も積めば即購入できるが、私はそこまで御大尽ではない――ネット古本屋の入荷報告 メールを登録だけしておいた。大体、二年に一冊ぐらいは連絡が来て、誰かが先に買っている。
で、今回運良くメール到着一分後にチェックして、反射的に購入したら、成功した。
読むのはもう少し先になる。

赤蝦、抱卵個体数、計四。こうも順調だと、今度は脱卵が心配になる。

睡蓮の季節になった。早い地方では五月から喜びの声が聞こえ、今まさに花期に突入。うちは脱落。
――どうにも、例年自分の所は睡蓮と蓮の花上がりが悪い。
解ってはいる。もっと巨大な浅く広い池と、馬鹿のように大きな沈め鉢が、次々に咲く花を楽しむには要るのだと。
バケツ睡蓮を行い、普通のプランターで温帯睡蓮が咲くか実験している(どこまで小さくとも温帯睡蓮が咲くかの見極め)以上、枯れないのが限度に近いのだと。

解っていても衝動買いしたり、発作的に意味不明な行動とることって、誰にだってあるよね?

気が付けば巨大プランターや応用できそうな容器を抱えて帰宅。沢山植えれば沢山咲く――ハズだ。

『人間は考える葦である』という言葉はあるが、『人間は我慢できる猿である』という言葉は未だ無い。
雨月六日
ハゴロモジャスミンはまだ蕾を開く。クチナシは一晩で黄色く朽ちるが、こちらも変わらず芳香を 楽しんでいる。共に大当たり。

この一週間、無駄であった。久々に本を読んで、どこか緊張が解けたよう。駄目だ。
雨月五日
睡蓮、一鉢だけ二つ蕾をつけたのだが、それ以上変化なし。毎年のこととはいえ、自分は何処を 致命的に間違えているのか。
赤蝦、二匹目抱卵。二十五度ぐらいの高温がいいのだろうか? 大量に入れたミジンコの御蔭で、水質は 安定している。連中の食欲と増加力は、かなり凄い。
雨月一日
某氏が父親になられたそうだ。めでたし。
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