日々、在りしことども



七夜月三十一日
両顎の付け根が痛い。久々に五分以上喋ったせいか。

図書館に咲く藤の花。前も見た。剪定の影響か、案外時期の狂う木だ。
七夜月二十九日
深夜、いきなりヒグラシらしき鳴き声が二度響いた。窓外にスピーカーを置いたかのように 異様にくっきり、大きく。――何のホラーだ。
七夜月二十六前後日
図書館で借りた『もやしもん』を七八と読む。七巻は、そこらへんに埋まっていたような気もする。 八巻は、これこそ自分で買って読むべきだったと後悔した。
十年前、もっと自分は酒の味にこだわっていたと思い出した。また、あんな風に呑めるだろうか?
七夜月二十七日
もちもちした揚げだし豆腐、成功。
だしつゆをかけるのではなく、だしつゆに入れて煮ることで、衣の片栗がとろみを持つようだ。
まあ何時のもさっぱりした口当たりの方も悪くは無いので、これは芸(選択)がまた一つ増えた と。
七夜月二十六日
夜も蒸し暑い。
七夜月二十五日
睡蓮容器の水位が連日下がる。熱帯睡蓮は育たず。
朝、温室と化すため目が覚める。
冷房と炬燵にはもう何年も縁が無い。何故だ。
七夜月二十四日
『日本人の知らない日本語』、楽しむ。
で、畳化なる言葉を知る。フランス語で、発音は微妙に違う。タタミなんたらだったか。日本にしばらく滞在したりなどした結果、思考や行動が日本化してしまうことらしい。どこの国でもありえる ことだろうが、「何が変わるか」が日本人も気付いていない日本の特異な所を示しているだろうから面白い。
後、敬語等を理論的に分解し、簡潔に説明しているところや、その関連から見た「誤用とされる言葉遣いの含み持つ正しさと擁護」なども興味深かった。『〜です』が江戸花町言葉だとは知っていたが、昔の横暴警官の代名詞でもある『オイコラ』がただの軽い呼び掛け意の方言だとか、等々。
こういう日本語学校なら、日本人の自分もつい通ってみたくなる。多分、文法関連の成績は 彼等以下だろうし。
七夜月二十三日
『飛び出し坊や』という看板がある。この県は、全国的にも多いらしい。自分も日本の一般常識的な 代物だと、長らく疑いもしてこなかった。
本日、隣町を通る。
町外れのグラウンドに新しい飛び出し坊や――否、少女が出来ていた。手製らしい。おそらく、『けいおん』とやらの登場人物だろう。しかも。猫耳付き。
……あの町は一体何処へ行こうとしているのか。

新装開店と成った書店へ赴く。広くなり、レンタルコーナーも出来ていたが、長く立ち読みに耽るという雰囲気では無いので、今ひとつ残念。
ただ、店内の一角に本の買い取りコーナーが出来ていた。今月末から、ブックオフのようなことを 書店の中で行うらしい。蛸が足を喰らうように、それは何か大きな問題を孕んでいるような気もするのだが……
七夜月二十一日
蓮と睡蓮を見に、例年通りみずの森へ。睡蓮は丁度見頃、蓮は順調に咲きつつあり、矮性サルスベリ の花も盛んで――うちは蕾すら付いてないのに。
のんびり、ぼんやりと本年は眺めて楽しむ。温室では勾玉のような実が連なる青空豆(仮称)の 木もあった。実がなっていないことを残念思う。

帰路、望んだ琵琶湖が海の様に真っ青で、少々感動した。

室内水槽が三十五度に迫り沈むエビが出てきたとか、やはりライトつきでちゃんと水草水槽に挑戦 してみるべきかとか、夏打ち切りのスイッチは何処だとか、扇風機を窓際に据えつけて廊下目掛けて動かしているとか、他そんな雑多なことども。
愛用していた書店は去る十一日に終わったそうだ。合併先の新店舗は明後日からだとか。 静かだと良いのだが。
七夜月二十日
汗が流れる。蛇口は何処だ。
七夜月十六だか七日
一気に梅雨開けて猛暑に。景色は美しい、温度はいらん。
朝顔咲く。慌てて網を立てる。蓮の花が綻び始めている。隣りの家のだが。
うちのは今年も花芽が上がらず。元は琵琶湖の野生蓮の実生だが、これでも容器が小さいというのだろうか。
夜、花火焼き鳥。
七夜月十五日
納戸の整理。梅の隙間に酒を注いだような仕込み瓶を取り出す。家人に聞いたが、私の作った 梅酒で間違いないようだ。恐らく、七八年もの。
梅酒は飲まないが、一応酒瓶に移してみた。その際、梅を味見した家人曰く『焼酎ではない』。 また、酒の方の出来も別の家人から好評頂く。と、なるとブランデーと蜂蜜の仕込みか。陰干しのときにウヲッカを振り掛けもしたはず。
もう一瓶、飲み干したんだか乾燥したんだか、容器三分の一ほど入った梅までひたひたに酒を注いだものも、僅かだが瓶詰め。味からして、こちらは多分氷砂糖を抜いた焼酎か何かだろう。

飲む予定は無いので、共に納戸へ戻す。ちなみに大体十年物が既に一瓶、ずっと寝ている。
檸檬や珈琲や柚子は寝かす間も惜しんで美味しく呑み干したが、梅酒だけは良さがわからないため溜まっていく。もう二三十年も生き永らえば、両手に捧げ持った器からの梅の実の香りに、顔を 綻ばせるようになるんだろうか。
変わりそうだし、変わることもあるだろうし、変わらぬ生は寂しい気もするが、さりとて思って 成るようなものでもなく――解らん。
七夜月十三日
……髭の伸び具合が気になる。最近、こまめに剃るようにしているが、毎日こんなに伸びるもの だったか?
白髪が増えるとか、毛が薄くなるならわかるが、髭は逆に伸びる代物であったか?
七夜月十一日
選挙。橋の無料化は面白そうな試みなので、誰が当選してもやってみて欲しい。
一応、各候補の主張などに目を通し考えたが、昔の地元選挙を思い出し『立派なことを しっかり主張できる人間が、本当に正しいとは限らない』と、ごそりごそり気が削がれた。
歳とって、悪い意味での経験も増えた。
七夜月十日
朝方、近所の路上で猫、寝そべる。二匹。 前にも同じ場所で似たようなことがあった。暑いのか、寒いのか。そんなに あそこは居心地が良いのだろうか? 猫、転がる
七夜月九日
夜、少々出る。夕の雨で大分、涼しい。
書店にて地元を舞台とした本の特集が組まれており、某氏のサイン色紙があった。隅には、これまた見慣れた紙人形の写真。
物凄い時間の流れを感じる。

産まれたばかりの某氏娘さんの写真を拝見。もっと小さいかと思っていたが、髪の毛もふさふさで随分元気そうだった。

隣りの御老の畑に蓮の立葉が見える。うちとは違い盛んに茂っているようで、なんともうらやましい。
異常、本日雑感。
七夜月八日
コロラド、咲く。ようやく。若い葉に班の入っているので正しかった。
七夜月六日
新しく睡蓮咲く。どうやらダーウィンもどき。コロラドはまだ。 シャーレンストローンは、それらしい蕾が上がってきているので、楽しみ。
七夜月五日
蝉の声。先月の三十日に山の方でも聞いたが、この近辺でも耳にする。
しかし、本当に耳が遠くなった。少々、悲しい。
七夜月三日
新しい容器の睡蓮が咲く。色は白。
結局、残り二つ。一番楽しみにしていたコロラドが未だ咲かず、昨夏蕾を一つも付けなかったシャーレンストローンが、今年もまだ。 一度、葉の間引き時に鉢の位置を変えるとするか。

先日、金属製の調理ボールに穴が開いた。何かにぶつかったというより、長年の自然な磨耗の結果に見える針ほどの穴。
聞けば、下手をすれば自分と同年代だとか。そういうこともあるのだなと思いつつ、金属ゴミ行きのところを睡蓮の植え込み鉢に とかっぱらった。
本日、良く使う別の大き目のボールの底にも覗き穴が出来ているのに気付く。
金属製の調理器具が次々腐食し穴が開く。一体、最近の自分は何を食べているのだろう?
七夜月一、二日
先に買った黄睡蓮が咲く。熱帯の血が入っているのか、浮いて咲くのではなく水面高くに蕾を伸ばし、 尖った花弁を幾重も重ねる。
端的に言って当たりであった。良い花だ。

ゴーヤカピタとやらを試してみる。普段捨てていたゴーヤの中のワタと種をそのまま溶き卵に入れ、塩胡椒、パセリを加え フライパンで薄く焼く。それだけだが、問題なく食べられた。意外なことに苦味は全く無し。種も硬くなど無く、サクサクと いける。
普段ゴーヤを扱うと何故かしら苦くなる。これはこれで面白いレシピが増えた。ところでカピタとは何ぞや?
追記:カピタではなくピカタだそうだ。

赤蝦死亡一歩手前、水温三十度前後。落ちるものあり、少数だが卵を持つものも。
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