日々、在りしことども



雪見月二十六日
深夜、実はメールが送れなくなっていると判明。毎日のように迷惑メールを 受け取っていたのでとんと気付かなかった。
四苦八苦の後、何とか設定を復活させる。
機械にしろ設定にしろ、古いものに改修変更を重ねて使っていると、こうして一から立て直す 時にこんがらがって困る。

家人の風邪か、喉が痛い年末夜。
雪見月二十四日
クリスマスの雰囲気を味わおうと街へ出る。が、溢れる車が鬱陶しいだけ。

夕食。何年か前に気合いを入れて作ったら、『クリスマスは明日だ』と言われた覚えがあるので、冷蔵庫の都合も考えて洋食は翌日に回し、秋刀魚や納豆、ヒジキで食卓を埋める。
――ケーキやシャンパンを用意した家人達から漂う失意の気配。うるさい。
雪見月二十三日
冬らしく冷え込み、雪も舞う日々。洗濯物も半乾きが溜まってゆく。
雪見月十七日
日の出前より初雪。降りしきる。 ほんの数日とはいえ、例年より早いのではないだろうか。嗚呼。
雪見月十六日
『境界線上のホライゾン W 下』読了。
本当に読書スピードが落ちたものだと溜息を零すも、冷静に約一千頁を掴み直して、 間違っているのは自分じゃないと呟く。
翻訳小説以外で、冒頭登場人物一覧が役に立つ本っていうのは珍しいんじゃないだろうか。

他、頂き物で一番旨かった蕎麦乾麺一キロが黴果てていて落ち込む。簡易包装はともかく、 まさか密封されていなかったなんて……
雪見月十五日
タイヤ交換。本年も一ネジしくじって、自動車屋へと持ち込む。
雪見月十三だか四あたり
てぃーぽっと
雪見月十二日
ハンバーグ。合挽き肉に豆腐を加え、隠し味に味噌やマヨネーズを追加。 タマネギを軽く炒め、つなぎにはパン粉のみならず、より強力だという麩も 使用。さらに旨味を出すため牛脂を刻んで混ぜてみる。
他、スープに蓮根と生姜を摺り下ろし、とろみが出るまで加熱して葱を散らす。 風邪対策。

気合いを入れたぶん、ちゃんと料理になりはしたが、手指の荒れも進化する。 贅肉は皮脂にならぬのか……
雪見月十日
皆既月食。運良く、星を多く数えるほど空、澄む。
十一時過ぎ、完蝕。
三日月より、猫の爪よりも細くなってから夜空に赤い月影が現われた。 またこれも不思議。面白いものである。

雪見月九日
最近、近所でやたら背の高い紫色の花を見る。菊の花の一種かとも思っていたが、 どうやら皇帝ダリア(立木ダリア)というものらしい。 茎部分を越冬させて挿し木にすると増えるようなので、近所で分け合ったりしているのだろうか。
ただ、どう見てもあの花はピンクではなく紫だと主張する。
雪見月八日
今年の冬はやけに暖かいと思っていたら、普通に寒くなってきた。

近所の喫茶店、『ルワム』を初めて訪れる。何やら店を冬眠させるらしく、 ぎりぎり。
内装は実に良く、注文の品が出てくるのにやたら時間が掛かったものの、逆に最初から一時間 ほど腰を降ろしてのんびり楽しむつもりなら、心地よい居場所となろう。
ちなみに注文したのはタイ式ミルクティー。茶菓子の足型オカラクッキーらしきものと 良くあった。

幾つか店内に並ぶ東南アジア風の品の中、黒いトンボヤジロベエにやけに惹かれる。

なお、古い知人の本や作品もあった。写真をやったりしているのは知っていたが、 どうやら芸術家をやっているらしい。ついでに、スピリチュアルな人になっていた。


冬の風が吹く、少し曇った日。
雪見月五日
熱帯睡蓮が花開く。

昨冬はムカゴの室内越冬に失敗したため、今年は幾つかのムカゴと株を加温した水草水槽 に放り込んでいたのだが、根と葉をぶっちぎった株の方、付いていた蕾が見事に開く。
生命力という点では本当に凄い。
真冬の室内睡蓮……挑戦するのもいいやもしれぬ。
雪見月四日
たまの晴れ間に、溜まっていた洗濯物を外に干し、半時間後の雨で全力ダッシュ。

パソコンの調子が本当によろしくない。やはり電源か……
雪待月二十四日
図書館にて調べもの等。
神道関係の事典的なものや、江戸資料が結構貸し出されているようで、驚く。
何が頻繁に貸し出されているか、統計をとって整理してみると、案外不思議な社会の側面が 見えてくるのかもしれない。
雪待月二十三日
体調、不良。
雪待月二十二日
夜、本屋へ赴く途中の川沿いにて、車のヘッドライトに動物の姿が映る。 こんな吹きさらす寒い場所で……と目を向けたところ、猫にしては丸く茶色い。

多分、狸。

開発、進んでいるはずなんだけどなぁ。
雪待月二十一日
ここのところ冷え込むようになり、県内では初雪も落ちる。
雪、といえば案外遅くのクリスマス頃に見るものだとばかり思っていたので、 山の方とはいえ早いものだと昨今の異常気象をここでも感ずる。

――なお、この初雪は例年より○日遅く……

アナウンサー氏に異常なのは君の頭、と教えられる。いやぁ、生き恥生き恥。
雪待月十七日
深更、酒も入っていないのに二章半ばまで進めた話の主人公とヒロイン(性別については不問) の名を変える。
西洋の名前は言語や国、時代によってかなり変わるので変則的な誤魔化し付けをしてみたのだが、結果どんどん妙な感じになっている。

醤油が代用食らしいときく。正確には江戸初期、幅を利かせていたのは醤油とはまた違った 調味料なのだとか。
野菜の種類にしろ、料理にしろ、食べられる食材にしろ、江戸期、または開国以降で かなりの変遷をしている。……エセ日本食を擁護するわけではないが、確かに日本食の 定義も難しいんだよな……変化を否定したら、それは死んだも同じだし……
雪待月十三日
ワカメスープで頂く素麺が美味しいでござる。

ここしばらく何故か不調。頭痛がしたり、やたら野菜が旨かったり。
ビタミン辺りで不足しているものでもあるのだろうか。
雪待月十二日
発作、起こる。財布を握り締めて書店へ。

『王様の仕立て屋 32』『コーセルテルの竜術士 子竜物語 3』『ヘヴィー オブジェクト 死の祭典』『空の境界 未来福音』『のうりん 2』

買ってない新刊は多々あれど、ここしばらくの新刊ラッシュに欲望は押え切れず。 人が犯罪や借金に手を染めるのはこういう時なのだろうかと、明らかに足りない 財布片手に苦悩の選択をせんと店舗に突撃し。

――新刊? そんなものは無ェヨ。

……ああ、うん。田舎書店ってのは一部新刊や雑誌を数冊入れて返却する作業だよな。
本、無くて当たり前だよな。
ネット書店が重宝される理由が此処にあるよ。マイナーなうまい棒売ってる余裕があるのなら、 もう少し本置けよ。

貸本もやる、古本も売る、駄菓子CD文具にゲームもある。でもここ一月の人気新刊本が不足している。
……営業努力じゃない。本屋が潰れるのは、本屋を片手間にやるからだ。

――自分が全部悪いと理解した日。期待できないものに期待するな、とっとと引っ越せ。
雪待月十一日
ミートソースを積んでおいた本の山にぶち掛けた。
…………。
急ぎ洗ったが、紙はミートソ−ス色だしべこつくし。はは、あはははははは。
まあ、絶版本や図書館本、限定予約の類でないだけマシと言うべきか。

『王様の仕立屋』。掲載雑誌の再編で最新刊は『一部完』になったというが、 まだ買ってなかったのは良かったといえるのか?
雪待月十日
――大好きな漫画家氏の初単行本を鷲掴んだらエロ漫画だった。

……いや、同じ作家さんだけあって、あちらの作品に通じる良さのようなものは こちらにもあったんだが、趣味の良い、ほのぼのとしたハートウォーミングな物語を 勝手に期待していた身としては、全話消しの白いエロ漫画という予想外の一撃に不意討 ちされた。
しかも、そこそこエロいし。

まあ、そんなカルシウム不足気味な曇天の日。
雪待月八日
妙に冷え込みを感じるのでストーブを出す。もう少し寒さにだけは耐性があると 思っていたんだが……
雪待月七日
熱帯睡蓮が枯れながらまだ花を付ける。何というか、済まない。
父母の丹精していた菊が見頃を迎える。正直なところ、自分に菊の良さは解らないが、 長く改良され続けてきたことだけはあって見せる様々な色・姿は、まあ美しいか。

気付けばもう年末。早いものだ。
紅葉月三十日
ふいと誘われて朝から洞窟潜り。八時集合、廃村巨木巡り付きで十一時解散。
……こんな手軽な行事だったろうか。
なお、記憶に残っていた内部奥の深い亀裂が、実際にはただの数十センチの割れ目だった。 一体何をどう誤解したのか。

昼、曇天の下、地元の祭りを少し覗く。屋台人間共に多く、意外な活気に満ち溢れていた。
その片隅で、発動機愛好会とやらが茶色く古びた発動機を幾つも展示していた。 どうやら動かせるまでは手を入れてあった模様。しかしどういう繋がりで出展していたのだろう。
少し離れたステージでは、江州よさこい音頭の各チームによる演舞。長崎の祭り衣装を 連想させる、色鮮やかな布を用いた異国を感じる衣装。太鼓打ちだの特攻服にも 似通ったそれで、ポーズを決める壇上の方々。周囲にも、同様の各グループ。
……盆踊りの一種だと思っていたのに、何時の間にこんなアグレッシブでおしゃれな ものになっていたのか。

多少寝不足の一日。
紅葉月二十九日
天気良好。

地元で町祭り。本日は地味だが、明日は店を並べるのだとか。
図書館の古雑誌配布、二冊ほどを頂戴する。

川、魚影多し。何処から流れ込んだか白い鯉の影が見える。
紅葉月二十七日
花粉症ではなく、ちょっとした風邪だと思うのだが……

陽気の中、鉢植えの整理。枯れ切った豆盆栽を処分したり、根付かなかった挿し木を処分したり、 根付きすぎた挿し木を処分したり、伸び放題の枝を落としたり云々。
夏に薄紫の花がついていた、大鉢根本のリュウノヒゲだが、あの瑠璃色の美しい珠を冬に 見られるかと期待していたのに、雑草扱いで家人が全て刈り捨てる。芍薬の鉢といい、 どうも他人のものだと稀に解っていない節がある。

他、実生の紅葉がほぼ全滅、同じくハゼも残り一鉢であるのを確認。
手入れをさぼりすぎたかと、少々の寂しさ覚える秋の暮れ。
紅葉月二十三日
パソコンの挙動がおかしい。どうやらHDが死に掛けている模様。 熱暴走の夏でなく、それが収まった秋口に何故だかよく昇天するなと思いつつ、 出来得る限りのデータを移動させる。
珍しいことに、窓を乗せては上手く動かないものの、他のHDのおまけとして 倉庫扱いは出来たため、設定はともかく情報のほとんどは無事に拾える。

ただ、諸々設定し直すのがどうにも面倒くさそうで、やる気起こらず。
やけに軽快な新窓の動作に、小首を傾げる秋の夕。
紅葉月二十一日
なかなか届かないのでひょっとしたら記憶違いかとも思っていたサントリーの蕎麦一年分、 最後のが届く。
出雲生蕎麦、ツユ付き要冷蔵二十食分。
……一般家庭の冷蔵庫にこの量は、嫌がらせではなかろうかと一瞬思ってしまう。ここしばらく 凍も蔵も満杯であるが故、尚更に。
相変わらずの過剰包装――服を収めるような平べったい段ボール箱二つを、更に大きな箱に詰めて ――は、綺麗な内箱を今後何らかの収納に使うことに決め、これも贈り物の一種と考えて納得する。

……まだ、前回の茶蕎麦も、それ以前の蕎麦も大量に残っているのだが、取り敢えず感謝しつつ。
今晩は蕎麦だ。
紅葉月十九日
『竹光侍』読了。
紅葉月十八日

紅葉月十七日
書店へ。いつもの発作。

竹光侍。
紅葉月十六日
雨も上がって天気良し。神社では秋祭りだとか。この頃は秋らしく週末ごとに催し物の話を聞く。

また、蓋を割る。
小さいティーポットを使っていたが、注ぎ口の根本に網があるため、茶葉の交換がし辛かった。 百均で中の金属網を買ってきたのだが、そうすると今度はその網の厚さ分だけ蓋が浮いて 滑り落ちやすくなり、そうした二三ヶ所欠けた挙句、本日見事な半月に。
前の急須も蓋を失ったまま。ヘッドホンも断線して変な音に。どれから手を出せばいいのやら。


午後、図書館へ。最近の週末定番として、数冊貸し出しカウンターに積み、『そういえばこちら、 貸し出し期限が過ぎてますが延長しておきましょうか?』と示される真っ赤な画面を横目に スミマセンスミマセンエエ近イウチニ必ズ……と、小声で繰り返している。
……完全に延滞癖が付いた。
紅葉月十三日
長浜の向こうにある食べ放題の店へゆく。
感想:よろしいとは言えず。
基本的に御飯、麺、パンといった炭水化物系。それに汁物、甘味。おかずは少なく、 売りらしき大きな揚げ物も、別に美味しい訳でもない。
元を取ろうと、気負って挑みはしたものの、ほどなく無理して腹に詰め込む方が馬鹿らしくなり、 そこそこで終える。ちなみに一番美味しかったのは三種あった一口ケーキ。甘かった。

本日一番の驚きは、セルフの御茶。御茶が注がれるのではなく、冷水と黒っぽい液体が同時に注がれ、 一瞬で湯呑みの中に混然と御茶が出現した。
……無理してそうする理由なんてあるのか?
紅葉月十二日
生きては、いる。

つらつらと、近頃のこと。
本を読んだり、久々にテレビをちゃんと見たり、十日近くを無駄にしたり。
江戸時代辺りまでの日本の植物について調べているのだが、『どこかでこの説明は見たような―― 先日のあの本か。写真で再確認できて有り難いが、しかしこの引用は最早参考文献ではなく 盗作になりかねないが――大丈夫か?』と一人首を捻り、著者の名を確かめ、そうして頷く。
ああ、前の本を読んだ時、どこかで見た名だとしきりに悩んだが、此処だった訳か。

同じ人間が書いていれば内容も通じようし、二つを共に読めば理解も深まろう。

一人空回った挙句、解決し、理解に至る。……ぐるぐる回っているハムスターは、あれで案外 幸せなのかもしれない。
以前、在りしことども

2011年前期/
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